パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリスト

ランス・アームストロングを描いた「疑惑のチャンピオン」。
こちらと共に見ておきたいのが、
マルコ・パンターニを描いた「パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリスト」

「疑惑のチャンピオン」は、ベン・フォスターがランスを演じたのに対し、
こちらの映画は、実際の映像と身近な人達のインタビューで構成された
ドキュメンタリー作品です。

2人には共通点があり、
ランスは、ガンからの生還と、復活。
パンターニは、交通事故で重体になりながらも、復活。
そして、その後、ドーピング疑惑で世間を賑わせ、堕ちていきました。

ただし、知っておいて欲しいのは、2人だけの問題ではなく、
長い歴史の中で、始まった時からすでにツールはドーピングまみれだった事。

初期は、悪路に体が耐えられず、
痛み止めとしてありとあらゆる薬が使われていました。
それが次第に、勝つための手段として薬が使われるように。

戦後5回優勝したジャック・アンクティルの言葉
「ミネラルウォーターでは勝てない」

ジロ・デ・イタリアで最高峰となる峠は「チマ・コッピ」と呼ばれますが、
それは名選手「ファウスト・コッピ」の栄誉を称えたもの。
しかし、彼もテレビ番組で、薬を常用していた事を告白しています。

そして、ドーピングは次第に金儲けの材料として使われていきます。

パンターニは、プロと契約する前に1度「自転車をやめたい」と語っています。
理由はマフィア。

そして、色々な証言で、当時の裏側が形成されていくのですが、
若くて有望な選手に目をつけ、ドーピングによってスターに祭り上げ、
スポンサー料などの収入で莫大な金を稼ぐエージェントがいる事、
こちらは、疑惑のチャンピオンでも描かれています。
その中には、勝つためには薬をやれと強要する人もいたのでしょう。

どちらかというと、下ハンを持って、飛ぶように登って行く、
パンターニの凄い映像が観たくて買ったので、
映画の前半は、そんな迫力ある映像に驚いて観ていたのですが、
後半は、避けては通れないドーピング問題中心。
観ていて重苦しい感じになってきてしまいます。

そういう映像を純粋に観たい人は、
1998年のツールドフランスを観た方がいいように思います。

ただ、過去にはそんな間違った時代もあった事からは目をそらさず、
でも、今はクリーンである事を信じたいです。

SKYのクリス・フルームが強すぎてドーピングを疑われた時、
アンチドーピングを掲げるSKYは、
ランスの疑惑を徹底取材で明かしたジャーナリスト、
デイヴィッド・ウォルシュを帯同させて、チームを監視させ、
身の潔白を訴えています。

ともかく、今はクリーンと信じて、
今年のツールを楽しみたいと思います。

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疑惑のチャンピオン

ツール・ド・フランス開幕の日。

ツールで前人未踏の7連覇しながら、
ドーピングが判明し、全て記録が抹消されてしまった、
汚れた英雄ランス・アームストロング。
そのドーピングの裏側を描いた映画
「疑惑のチャンピオン」を観てきました。

当初からランスの成績や記録に疑問を持ち、
ドーピングを疑って来たジャーナリストのデイヴィッド・ウォルシュ。
孤立しながらも、告発を続けるうちに賛同者が現れ、
ランスの身内だった人間からも、次々に証言がされて行き、
ついに、偉業がドーピングによってもたらされた事を告白。

そんな自転車ロードレースのドーピング事情が描かれています。

同じくロードレースでのドーピングが描かれた映画
「パンターニ、海賊と呼ばれたサイクリスト」

こちらでは、金儲けを企むエージェント達が、
有望な少年に目を漬け、ドーピングでスター選手に祭り上げ、
スポンサーから巨額の金を手にしていく。
そういうシステムに巻き込まれた風に描かれており、
割と選手に同情的な立場でした。

逆に、ランス・アームストロングの方は、
ベテランの選手に、
「お前は勝てない!なぜならここにいる選手は、お前より赤血球が多いからだ」
と、すでにツールにドーピングが蔓延している事を暗に告げられ、
それに対し、ドーピングに勝つには、ドーピングだ!と、
自ら、中枢となったフェラーリ医師に近寄って行った事が描かれています。

ランスや、パンターニばかりが取りあげられますが、
バレ無ければいいんだと、蔓延していたドーピング。
栄光の選手と言われる人達も、本当にクリーンだったのか疑いたくなります。

1人の選手が勝ちたいから不正をしただけでなく、
金儲けの為にチームやエージェント、
さらには自転車界もが、盛り上がりに水をさすまいと黙認、
そんな大きな傘の下で、ドーピングが続いて行った事がわかります。

クリーンになったハズの今でも、年に何人かが検査に引っかかります。
いつになったら、この疑念は払拭されるのでしょうか?

ちなみに、僕が最初に好きになった選手、ジョージ・ヒンカピー。
この映画には出て来ないのですが、
彼もUSポスタル時代ランスの同僚で、その時代のドーピングを告白しています。

しかしUSポスタルを出てからはクリーンな走りをしていたと侘び、
僕の好きな2009年のHTCコロンビア時代の鉄人ぶりは、
本物だったと信じたいです。

さて、映画としての感想。

主役のベン・フォスターのアームストロングっぷりが凄いです。
走り方もそう、雰囲気もそう、
途中からアームストロングにしか見えなくなって来ます。
レースのシーンでは、本物の映像と、
ベン・フォスターを交互にフラッシュしていくのだけど、
ほとんど違和感無し!

自転車好きは、映し出されるマシンやメカにも注目したくなります。
特に、USポスタルに移籍して、マシンがトレックになった時、
おお!と思いました。

大画面で、ツールの映像を観るのは、とても美しく、
どこかの映画館で、ツールのパブリックビューイングやってくれないかなと。
終電無くなっても、観たい人は自走できて、自走で帰るから問題なし。
これって、需要あると思うなあ。

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