映画を観に渋谷まで自転車で。
渋谷での路駐は怖いので、ちゃんと駐輪場に入れます。
駐輪場マップというiphoneアプリで近場の駐輪場を探す事が出来ます。
Bumkamuraの近くという事で、この駐輪場をチョイスしました。
料金は1時間100円で、1日のmax300円。
高っけー!
公営だと駅の近くでも1日100円が相場だからね。
東急本店でお買い物するとタダになるコインをくれるそうですが、
Bunkamuraは除くと書いてありました。残念。
自転車はロード系とかが多いのかなと思ったけど、電動アシストが多かったです。
まあ、電動アシストも高いしね。
という訳でやってきたのは、Bunkamuraのル・シネマ。
第64回カンヌ映画祭でグランプリを受賞した
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の最新作、
「少年と自転車」を観るためです。
ツイッターなどでも良かったというツイートが多く、
評判も高かったので、ぜひ、観てみようと。
東京では、この渋谷にあるル・シネマでしか上映していない単館系の作品です。
もうすぐ12歳になる少年シリルの願いは
自分を児童養護施設に預けた父親を見つけ出し、再び一緒に暮らすこと。
ある日、シリルは美容院を経営するサマンサと出会い、
週末の里親として彼女の家で過ごすようになる。
自転車で街を駆けまわり、ようやく父親を探し当てたシリルだったが、
父親の態度はすげない。
そればかりか「二度と会いに来るな」と言い放たれる…。
ベルギーの映画ですが、
ヨーロッパ映画の特徴でもある、無理矢理の感動を入れ込む事なく、
淡々と描いて行くのが、いいです。
養護施設に預けられた少年の、尖った苛立ちが、
痛いほど、大人の心に突き刺さって来ます。
派手な看板のないヨーロッパの暗めの町並みに、
赤いシャツを着た少年が映え、存在感を出しています。
実はこれは日本の実話がきっかけで生まれた作品だそうです。
何カ月かに1度、親が児童養護施設に会いに行くということを約束したのですが、
その約束が守られず、少年は、いつも施設の屋根に登って親が来るのを待っていた。
…というエピソードを監督が聞き、制作に至ったのだとか。
実はかつて児童養護施設の文化祭をボランティアで手伝った事があるのですが、
その時、事前の打ち合わせで先生から言われた一言を思い出しました。
「ここにいる子供達は色々事情をかかえているので、
苛立ったり、少し乱暴な反応もあるかもしれませんが、驚かないでください」
嫌そうな大人の顔色を見て、さらに苛立つのだとか。
映画のツイッターアカウントが、
「涙でした」みたいな感想ツイートばかりをリツイートしてるけど、
正直、号泣映画ではないと思う。
最初、チクチクとした痛みを感じ、
あとでじんわりと暖かくなる映画だと思いました。
一瞬、その場はあっけなく思えた終わり方も、
後から、「成長したんだよな少年は」と思える。
ハリウッドのような大袈裟なドラマもなければ、
韓流のようなベタな展開もない。
どっちかといえば、地味な映画。
でもね、嫌いじゃないな、こういう作品。
さて、ここからは余談です。
自転車乗りのマニアックな視点だと思って勘弁してください。
自転車乗りだからしっくり来なかったのが、最初の導入部分。
少年が必死で探していたマウンテンバイクを、
赤の他人が
「あなたが言っていた特徴の自転車があったから買い戻して置いたわよ」
と、少年に買い与えるのです。
まあ、買い与えるのは、その場で出会った事と同情からありえるとして、
あんな大雑把な情報で、町で少年の自転車を発見出来るのか?
親を捜すより、自転車を探す方が困難だと思うけどね。
たいして特徴もない自転車なんだし。
それが物語のキーとなる自転車の導入部分だから、随分乱暴だなと正直思いました。
もっと無理のない導入の方法もあったろうに。
あと「あ!鍵かけろよ」と思ったら、案の定盗まれる。
こういうのは、自転車乗りの習性だからそう思うのでしょうね。
まあ、きちんとしていたら事件にも巻き込まれずドラマも起きないのだけど。
この映画を観て思い出した映画があります。
竹内結子主演のサイドカーに犬。
「少年と自転車」ほど深刻に描いていなくて、
軽くて爽やかな映画だけど、ちょっとニュアンスは似てる。
自転車がキーワードなのも一緒だしね。
以前書いた「サイドカーに犬」のレビューはこちら!
あと、ベルギーと言えば、昨日、
「北の地獄」と呼ばれる、自転車の「第110回パリ~ルーベ」で、
ベルギー出身のトム・ボーネンが独走を決めて4回目の優勝。
なんかベルギーと自転車づいていますね。
今日は、ベルギービールでも飲まんといかんかね。