※このお店は1度閉店しましたが、その後、リニューアルオープンしています。
池袋のジュンク堂で本を購入し、裏手のカフェへ。
いつもはamazonなんだけど、すぐに読みたかったので。
…という訳で近所の本屋さんに置いてあるタイプのものではないです。
この建物、左手の入り口は、カフェ・ポーズ。
そちらでも良かったのですが、右手の階段を上がった所にある
プラトーに行った事がなかったので、こちらをチョイス。
ヴィンテージ雑貨のお店とカフェがミックスされお店。
下のカフェ・ポーズの姉妹店です。
このカウンターの雰囲気は、カフェ・ポーズと共通していたり。
大きなテーブルにはアンティークの顕微鏡なんかも置かれていて、
座っていいものかどうか迷いましたが、
テーブルにメニューが置いてあるので、ここに陣取りました。
珈琲は400円。
静かな環境で、読書するのにはうってつけ。
ジュンク堂帰りに利用する事になりそう。
※リニューアルオープン後、営業時間が変わっています。
■プラトー(plateaux)
■東京都豊島区南池袋 2-14-12 2F
■営業:11:00 ~ 20:00
■定休日:月
■場所はこのへん
■オフィシャル・ツイッター
さて、どうしてもすぐに読みたかった本というのが、こちら。
ネットなどでもダークな漫画として話題になっていた
「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」
このマンガが酷い! 2013 ベスト1決定!!
ミュージシャンを目指して活動するも、
芽が出ないまま35歳になった女が、枕営業の末、
インディーレーベルプロデュースのJ-POPの
ボサノヴァカバーCDのなかの一曲を歌えることになったが……。
いい年して夢を捨てきれず、サブカルにまみれて自意識ばかりが肥大した、
残念な20代、30代男女の肖像をシニカルな筆致で描く連作短編集。
(amazonの紹介文より)
たぶん、この本を読んだ人の感想は大きく分けて3つに分かれるのではないかと思います。
(1)読んでいて「自分もある」「痛い」と思いつつ、苦笑いベースで面白いと思う人
(2)サブカルをバカにすんな…と怒り出し「そもそもサブカルとは…」とか言っちゃう人
(3)絵が汚くて、話しもわからない
つまり、サブカルをかじってると、それが起動装置となって1か2の反応を起こすけど、
サブカルにハマってない人には、(3)のようにピンとこない漫画かもしれない。
僕はどれかというと、(1)でした。
サブカルあるあるネタが満載なので、自分にあてはまる物もいっぱいある。
グサリと来るネタもいっぱある。
だからあてはまるネタは、胸が痛いけれど、
あてはまらないネタは、「いるいる!」と意外と笑い飛ばせたりする。
短編集と書きましたが、その他のタイトルは、
『ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園』
『空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋』
『口の上手い売れっ子ライター/編集者に仕事も女もぜんぶ持ってかれる漫画』
『テレビブロスを読む女の25年』
『ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園』
これは、うっかり笑いが好きというと
松本人志信者に、お笑い論をぶつけられてからまれるというネタなんだけど、
これなんか
『宮藤官九郎以外の脚本を基本認めていない芝居マニアの楽園』
読みながら、こういう風に脳内変換出来たりするかもしれない。
僕も、うっかり「あまちゃんが好き」と言ったばかりに、
頼んでもいないのに、クドカン論を延々と聞かされるハメになった事がある。
サブカルじゃなくても、野球でもサッカーでも、あてはまる物いっぱいあるでしょ。
『送りバント以外の作戦を基本認めていない手堅い野球マニアの楽園』
とか。
もちろん、僕も、自転車とかカフェとかアイドルの話題とか
頼んでもいないのに、能書き語る側がにまわっている事も、随分ある。
この方程式に何を当てはめたら一番わかりやすく「あるある」と思われるか?
そこで作者は「ダウンタウン」を選んだという事だと思う。
後書きには、
「リアリティーとしてのキーワード、作中のディティールという目的以外には、
特定の何かを貶めようとか、バカにしようといった意識では書いておりません」
とあるけど、レビューでは「いやバカにしてる」「してない」と論争になってたり。
・
いや、そこじゃないでしょ。重要な所は。
どっちにしろ、創作物に対する感想なんて、賛成反対あるわけだし、
そこは、どっちだっていい。
それよりも、そういう賛否両論で論戦して熱くなるサブカル厨は、
前に書いた、サブカルにはまった事のない(3)のタイプから観ると、
(1)も(2)も、キモヲタ一括りだ。
サブカルもヲタクも一緒にするなと言いたいと思うけど、
関係ない人からすると、どっちも同じに見えるという話し。
そういう風にみえる事もありますよ!という視点で書いたのがこの漫画だ。
魚がそんなに好きじゃないと、
全く違う魚なのに、カレイもヒラメも見分けられないとか。
んーこの例えは違うか。
作者も後書きで書いているけど、登場人物のサブカル厨は
「そういう生き方もあるし、こういう見え方もある」
と、言っています。
本来(1)か(2)の作者が、
(3)寄りの視点で自虐的に書いたのが面白いのだと思いました。
この本を読んだあと、怒りに満ちた(2)のタイプの読者は、
自分たちを正当化するために、さらにこじれた文章を書き、
サブカルのスパイラルに巻き込まれていっているように見えます。
この本を読んだあと、引いた(3)の視点に立つと
ネット上の熱い論戦が、どんどん滑稽に見えてきます。
そして、面白さがジワジワ後を引くんですよね。
いやー、面白かった。
(注)これは、僕にとって…という話しの感想ね。
忘れて欲しくないけど、これは個人の感想を綴っているブログであって、
何かのオフィシャルレビューのようなサイトでありません。
もちろん、違う感想を持つ人もいて当然と思っていますし、
それを否定する物でもありません。