SLというのは、非常にジブリ的な乗り物だと思います。
松本零士の銀河鉄道999の方が定番であるけれど、実はあれは電子制御です。
形はSLであるけれど、れっきとした宇宙船で、アナログ的な要素はほとんどありません。
ジブリ作品に登場する乗り物は、機械油のにおいがしそうな物が多いのです。
石炭で走ったり、飛行機は古いプロペラ式だったり、
トラブルが起きると、スパナでちょこちょこいじって直せそうな物。
電子制御ではなく、人間の力で操作して動いているという感じの乗り物が多く登場します。
そこがSLと、どことなく同じ匂い。
小金井公園には、そんなSLの他に、
ジブリのニオイのする、さらにアナログな世界が待ち構えていました。
小金井公園の敷地内にあるのが、江戸東京たてもの園。
歴史的な価値の高い建造物を移築し、復元・保存・展示する野外博物館です。
実はここ、宮崎駿監督が、よく訪れている事でも有名な場所。
千と千尋の神隠しに登場する「油屋」は、
全国のいろんな温泉や銭湯を参考に作り上げられたそうですが、
ここにある「子宝湯」も、そのモチーフの一つになっているそうです。
その他、神奈川県秦野市の鶴巻温泉の陣屋、道後温泉本館、四万温泉・積善館の本館、
渋温泉金具屋、湯原温泉油屋なども参考に描かれているという説も。
「銭湯=富士山」みたいなイメージがありますが、これは関東独特の文化で、
他の地方では、多くの場合タイル張りである事が多いそうです。
なのに多くの人が「銭湯=富士山」というイメージを持っているのは、
何でなんでしょうね。
ちなみに、この銭湯のペンキ絵を描ける職人さんは、全国に2人しかいないそうで、
絶滅危惧職種です。
真ん中の建物、三省堂は、元は薬屋さんで壁一面に薬入れの棚がびっしり!
千と千尋で、釜爺が居たボイラー室のモデルとなったと言われています。
その手前は、歴史的建造物風に作られた休憩処で、2階がうどん屋さんになっています。
最近、武蔵野うどんというのが静かなブームになっていますが、
2階の食べ物処「蔵」でそれが食べられるというので、寄ってみる事にしました。
武蔵野うどんは、「糧(かて)」と呼ばれる茹でた野菜が付くのが特徴。
付け汁で頂くのが本来の食べ方らしいのですが、
この日は、ちょっと寒かったので、温かい汁入りの方を選びました。
関東風のうどんらしく醤油の香りはするのですが、
関西人が「なんや!この黒い汁は!」と怒るほどでもなく、割と薄味。
逆に、ちょいと薄味すぎるかも。
食感は、うどんのもっちり系よりも、蕎麦寄りのような感じでしょうか。
食券の販売機の所に、
「打ち粉に蕎麦粉を使っているので、アレルギーの方はお気をつけください」
というような注意書きあったのですが、その打ち粉の影響なんでしょうかね。
■食事処「蔵」
■東京都立小金井公園江戸東京たてもの園内
■営業
11:00~15:30(平日)
11:00~16:00(土日祝)
■定休日:月
■お店のサイト
千と千尋では、海沿いを走る電車が登場しますが、こちらには、都電が。
あのシーンを見たときに、「はっぴいえんど」の「風を集めて」を思い出しました。
♪起きぬけの路面電車が、海を渡るのが見えたんです
それでぼくも風をあつめて、風をあつめて
荒川線や世田谷線も最新の車両になってしまったけど、
それでも、ノスタルジックな感じを醸し出しているのは何故なんでしょう?
あのゆっくりなスピード、そして刻まれるゴトンゴトンというリズムが、
きっと人間のもつスピードに合っているんじゃないでしょうか?
今、いろんなものが、人間の生理的なものより早すぎる気がします。
そういう意味では、自転車の速度も非常に人間的です。
園内の中央部にあるのは、第20代内閣総理大臣の高橋是清邸。
あの二・二六事件の際に、こちらの2階で青年将校らに暗殺されてしまいました。
こちらは、三井財閥の11代当主の家。
戦後GHQによる財閥解体で、莫大な財産を失う事になるのだけど、
失った数々のお屋敷の中から、お気に入りを集めて再構築したのが、この家だそうです。
…というお話を、ボランティアガイドの方が説明していました。
自由学園・明日館の時もそうだったけど、ガイドの人の話って面白いです。
ドラマの古畑任三郎で、最後に田村正和さんが、事件の解説をしたりしますが、
あんな感じで、普通なら見逃してしまうような所にも、意味がある事を教えてくれ、
謎解きをしているようです。
西ゾーンは、古い農家の建物から田園調布にあった家など、個人宅が中心。
江戸東京たてもの園に来て意外だったのは、一人の若い女性客が多かったこと。
そして何かを真剣に観察している姿が。
建築学とか勉強しているんでしょうか?
ショップでは、宮崎駿監督がキャラクターデザインした
江戸東京たてもの園のキャラクター「えどまる」のグッズも売られています。
ジブリマニアにお土産に買っていったのだけど、意外にも不評。
アニメに登場しないキャラは、宮崎駿といえど、ダメなんですか?
ちょいと、ガックリ。軽くへこみました。
ところで、今回訪れた小金井市の地名は、
「黄金に値する豊富な水が出る」ことから、
黄金井(こがねい)が小金井になったと言われています。
そういえば、いろんな所に湧水がありました。
こちらは、小金井街道と連雀通りが交差する前原坂上交差点そばにある
黄金の水(こがねのみず)という井戸水が汲める場所。
沢山の人が、ペットボトルやポリタンクを持って水を汲みに来ています。
方法がちょっと変わっていて、
まず、登録料500円を払い、専用の蛇口の栓を買います。
この蛇口にはくるくる回すレバーがついていないので、
自分で買った蛇口の栓をはめて、それをまわして水を出すのです。
一度、蛇口の栓を買えば、後は汲み放題。
ビジター用には、押すとコップ一杯分の水が出る所もあります。
こちらは無料です。
それで水を飲んでみたら、水を汲みに来たオバサンに話しかけられました。
「美味しいでしょ」
確かに…まろやかな感じ。
オバサンはこの水で珈琲やお茶を入れて飲むのが好きなんだとか。
「ペットボトル1本持っていく?」と言われたのですが、
その一本が、取っ手つきの焼酎、大五郎サイズで大きく、
自転車では、しょって帰れないので辞退。
自分の500mmlのペットボトルに入れて、持ち帰りました。
さて、今回のカフェは、こちら!
「はけの森美術館」の敷地内にあります。
「はけ」というのは、武蔵野地方で「崖」がなまった言い方らしく、
ブラタモリに登場しそうな高低差がある所には「はけ」という名前がついています。
この場所は、大岡昇平の小説「武蔵野夫人」の舞台ともなった場所だと
看板に書かれていました。
風情ある竹林の中の坂道を降りていきます。
すると「はけ」と呼ばれる崖下から湧き出す湧水の向こうに、一軒の家が。
こちらは同じ敷地内にある「はけの森美術館」を作った画家
中村研一さんの家だった場所です。
その家を利用して、市内にあるケーキ屋さんがカフェを営んでいるのです。
お店の名前は、オーブンミトン。
高原のロッジみたいな洋風の家ですが、靴を脱いであがるスタイル。
頂いたのは、メニューに一番人気と書かれたいた「はけの森セット」。
パウンドケーキとシュークリームのセットです。
飲み物付きで、 850円(税込み893円)
頼んだのはカフェオレだったので、こちらはプラス50円で、税込み945円になります。
パウンドケーキは、シンプルながら、しっとりと濃厚。
シュークリームも、小ぶりだけれど、こちらも濃厚。
だからこそ、小ぶりなんじゃないかと思います。
それが美味しさを味わうちょうどよい大きさという気がするのです。
よく自称グルメブログみたいなのには、CPとかコスパとか、
料理を量で語っている人がいるけれど、あまり共感できません。
美味しい物も量が多すぎるとまずくなると感じる派なので。
そういう意味では、濃厚さとサイズが、自分にとってちょうど良い感じでした。
これでいいのだ。
こちらのパテシエである小嶋ルミさんは、いろいろなレシピ本なども出されています。
■オーブンミトン・カフェ
■東京都小金井市中町1-11-3
■営業
10:00-15:50(11月~2月)
10:00-16:30(3月~10月)
■定休日:月火、第三日
■場所はこのへん
■お店のサイト
自転車で都内カフェ制覇の旅。
小金井市制覇!
>kurokamipianoさん
森の中に白熱灯の温かい明かりが見えるのが、いい感じでした。
湧水の周りはモミジでしたから、紅葉の季節はさらにいいでしょうね。
残念ながら水琴窟は見逃してしまいました。
…聞き逃してしまったという方が正しいですかね。
初めてコメント書きます。
オーブンミトンカフェ、私も昔行きました。
仕事で行った先のお客さんに教えてもらってその帰りに。
緑のきれいな空間に癒されました。外界と切り離されたみたいに、ゆったりした時間を過ごせました。
私が行ったときはもうランチタイム?が終わっていてテイクアウトしかできなかったので、カフェの周りをウロチョロしてただけなんですけどね(^^;)
カフェの玄関前にあった水琴窟の音は聴かれましたか?