あんこ屋・八(豊島園)

あんこ

※このお店は閉店しました

すっかりサヨナラしたハズなのに、あいかわらず、夏はそこにいた。映画館の脇の細い路地裏で秋から来た風にせかされながらも、夏にお似合いの赤い文字が踊っている。

少し前なら迷わず入ったのだろうけど、すぐに足は動かず、ただ眺めているだけだった。だって、夏は終わったんだよ。

しばし佇んでいると、夏の声も聞こえてきた。まだ蝉も鳴いているし、まあいいか。一歩足を踏み出す。

看板

…なーんてな!

こんな書き出しになったのはサワダのせいだ。サワダとは今、新宿駅の地下にあるベルクという喫茶店で、「ささくれの土地」という写真展を絶賛開催中のサワダだ!カリスマ美容師が、お気に入りのコにかけようとしたパーマよりも、しっかりといい具合にかかってしまったサワダだ。

いつもの店の隣の席でハイボールをあおりながら、「夏の終わりの感傷的シリーズ続いていますね」とヤツは言った。

そして、その店でバイトするカリスマのお気に入りのコは、そんな話などよりも、サワダの頼んだチクワ揚げに興味津々らしく、勤務中なのにガマンが出来ずに、二人の話の脇で、一つつまみ食いした。そして幸せそうな顔をした。

オレたちの話はチクワに勝てなかった。

話がそれた…。しかも、さっきまで読んでいた村上春樹も混線してきた。

そう、ここのところ文章を変えてみたのは、ヤツの影響が大きいという話だった。写真展が開催されているお店のフリーペーパー「ベルク通信」に、彼の写真展に寄せた思いが綴られていたのだ。

いちいちリンクへ飛ぶのも面倒だろうから、彼の文章を載せる。勝手に載せる。

「ささくれの土地」

このところ故郷の太陽はルーティンワークをこなしてるだけって印象で、ただただトタン屋根に波の影を落としては帰っていく。それをしらけた眼で見ている僕には、おそらく郷土愛ってものが備わっていないのだろう。
たまに帰省しても僕には散歩くらいしかやることがない。遠くに行くわけでもなく近所をぶらつくだけだが、何となく、僕が歩いていた故郷とは違う。しかしながら、ふと、影がふわりと横切っていくのを感じ、ぼんやりとしてしまう瞬間もある。
これを見て「だから何なの?」と問われたら、「故郷の光景です」と言う以外、僕には答えようがない。しかし、僕の中にある信じ難い微かな感傷を信じるなら、故郷の街路を好きな東京の街路へ晒すことは、もしかしたら、僕の、極めて僕なりの、少しひねくれた故郷への愛情表現なのかもしれない。少しだけ、そう思わないでもなかったりもする。
あ、でも、それも嘘かも。やっぱり、これは故郷の光景だ。ただの故郷の光景。

沢田勝信

なんで写真家の方が、いい文章書くんだよ…。おまけに写真もいいので、ぜひ足を運んでみてほしい

店内

結局、サワダにも村上春樹にもなれない、この文体はここまでとする。所詮、マネはマネでしかない。

ここから自分に戻そうとしたのだけど、自分の文体がわからなくなったので、勢いで書く事にする。クラシックでいう転調のような効果を狙っている訳ではないので、お断りしておく。ちょっと、疲れただけだ。

さて、このお店の前に僕を釘付けにしたのは「天然」という文字でした。

天然氷といえば、西武線では秩父の阿左美冷蔵。そして十条のたるまや餅菓子店。僕が知っているのは、そのぐらいかな。

なのに、こんなに近くにあったなんて。かき氷マニアの蒼井優ちゃんにも教えてあげたいぐらいです。

黒蜜ミルク

黒みつミルクは780円。思ったより大きかったけど、ふわっとしているので、口の中ですぐに溶け、スプーンは進み、どんどん山がけずれていきます。

シンプルな黒みつを選んだのは正解!

十条の「だるまや餅菓子店」は、同じ日光でも松月という氷室を使っているけど、こちらは、三ツ星の氷。でも、細かな削り口と、氷のまろやかさは似ている気がします。

かき氷専門となっていたので、秋以降はどうなるのか気になって聞いてみたら、甘味処となるそうです。そして、かき氷の終わり。23区で一番暑い練馬区にあるこの店の夏の終わりは、9月いっぱいだそうです。

※このお店は閉店しました

■食堂・八
■東京都練馬区練馬4-15-18
■営業:
16:00〜22:00(水木金)
12:00~21:00(土日祝)
■定休日:月火
場所はこのへん
お店のツイッター

結局、何が言いたかったというと、蒼井優ちゃんはカワイイという事だ。

何を言う〜!蒼井優〜!村上春樹のついでに、村上ショージもパクっておく。

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シャモニー(豊島園)

豊島園

※このお店は閉店しました

映画を観に豊島園へ。いつもはネットで予約してしまうのですが、頂いた劇場鑑賞券との交換だったので、少し早く出てチケット購入後、付近を探索する事にしました。駅前はチェーン店で占領されているのですが、路地裏などには新店も出来たりしているので、散歩してみました。

シャモニー

庭の湯の斜め前にあったのが昭和な感じの喫茶店、シャモニー。

泉麻人さんの著書に「東京ふつうの喫茶店」というのがあり、オシャレなカフェでもなく、コーヒー自慢の喫茶店でもなく、普通の喫茶店なんだけど、なぜかホッと出来るお店と、そこでのエピソードが綴られた物があります。

まさに、その本に出てきそうなお店。

店内

店の奥には、なつかしのテレビゲームがついたテーブルもあります。電源が入っていなかったので、なんのゲームかわかりませんが。そして、誰のものだかわからない油絵のレプリカも。でも、この雰囲気を作り上げるのに、どれも必要な気がします。

ナポリタン

やはり昭和な喫茶店とくれば、注文はナポリタンでしょう。単品だと500円ですが、ランチ時はドリンクがついて700円。

待っていると、ジャージャーと炒める音がしはじめ、野菜の香ばしい香りが。

料理の音が聞こえるお店って好きだなあ。

アイスコーヒー

お店のお母さんと、年配のお客さんが、外を見ながら天気の話をしています。確かにここの所、にわか雨が多かったりしますが、そうじゃなくても、年をとると天気の話をよくするようになりますねえ。

天気のことが重要なのか、それとも話題がないのか。昭和な喫茶店では、天気の話がよく話題になっている気がします。

※このお店は閉店しました

■シャモニー
■東京都練馬区練馬4-18-14
■営業:9:00〜19:00
■定休日:不定休
場所はこのへん

アベンジャーズ

さて、今回観に行った映画はこちら「アベンジャーズ」IMAXシアターで3Dという体験でした。

3Dって最初字幕が浮き上がりすぎて、読むだけで精一杯になってしまいます。そして首をどちらかにかしげると文字がずれて2重になって見える。だから正しい姿勢でみないといけません。さらに遠近感に焦点があっていないのか、目が疲れる。途中、片目を閉じてせっかくの3Dを2Dにして、目を休めたりしていました。

ところが、そんな事を考える余裕があったのは前半戦だけでバトルモードになると、画面に引き込まれ、いつの間にか、そんな不満も忘れて見入っていました。物語の世界に、すっかりと入り込んでいました。

アベンジャーズは、アメリカンな映画だと思う。こういうエンタメ、嫌いじゃあないです。日本人だったら、最後は、違うよね。たぶんお涙ちょうだいになっていたハズ。

七人の侍に通じる、ある種の能力にたけたキャラクター達が、それぞれの能力を発揮して戦うという話。それを大幅にデフォルメしたのがアベンジャーズだけれど、似たような構図は、身近にも転がっています。

例えば、僕の飲み友達。美容師だとか鍼灸師だとか、音楽家だとか、職業的な特殊能力もあるけど、僕が思うのはキャラクターの問題。

しゃべればイメージがちょっと違うみたいけど、見た目だけならイケメンいるし、どんな話にも入り込んで盛り上げる、賑やかし能力にたけたヤツもいる。情報通もいれば、いじられ役もいる。笑っているだけで、その場を明るく出来るコもいる。それがうまい具合に、それぞれの役割をはたし、楽しい飲み会が出来上がる。

映画と比べれば、規模はぐっと小さくなるけど、とある飲み屋で、酔っぱらいアベンジャーズ達によるドラマがひっそりと上映されているのでした。酔っぱらいだけに、再放送みたいなシーンが多すぎるけどね。

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