美術館のある損保ジャパン本社ビルってどれだ?
って思ってたら、昔の安田火災海上ビルの事か。
この高層ビル群の中では初期の方からあるだけに、
モード学園のコクーンビルなんかと比べると、ちょっと古めの雰囲気が。
こちらの47階にあるのが、損保ジャパン東郷青児美術館。
今回は、ゴッホが師と仰いだオランダのバーグ派の展覧会。
ゴッホといえば、こちらの美術館には、あの「ひまわり」があります。
バブルの時期に安田火災海上保険が、
ゴッホの「ひまわり」を53億円という高値で落札。
あの頃は今の中国みたいに、
日本が金に物を言わせて海外の物件を買いあさっていた時期。
この「ひまわり」の落札もひんしゅく買って大きく報道されたけど、
当時は美術に興味がなくて、
あるのは知ってたけど今日の今日まで見ずに来ました。
よし、今日は一緒に見て帰ろう。
美術館に入る前に小さな展望台のような場所が。
コクーンビルの横に見えるのが、もうすぐ大改修の始まる国立競技場。
ここにあの自転車のヘルメットみたいな新競技場が出現する訳ですね。
そして入り口で見つけたのですが、
東京ミュージアムぐるっとパスなる物が出来ていました。
2000円で二ヶ月間有効で、対象の美術館が見放題というもの。
ただし、常設展だけとか、人気展は割引きだけどとか、
制限がある物もありますが、2千円だったらすぐに元がとれます。
上野の国立科学博物館の常設展と、上野動物園の入園も無料だから
セットでまわるとか。
葛西臨海公園の水族館や、夢の島熱帯植物園もまわっちゃうとか。
いろいろ組み合わせを考えてまわるの楽しそう。
練馬区立美術館だと7月の「あしたのジョーの時代展」
ちひろ美術館を一緒にまわっちゃうとかね。
詳しくはこちら、ぐるっとパスから。
さて、オランダのハーグ派というのは、ハーグという村に住んでいた画家たちの事。
フランスではミレーの落ち穂拾いなどを生んだ、パルピゾン派に影響を受け、
自然の中での風景や、人々の営みを描いていきました。
なので、畑や農家などを題材とした物が多いです。
美術館めぐりをしている人ならわかる、あるあるネタとして、
見るペースが同じで、何度も同じ人と一緒の絵を覗き込む事があります。
それが綺麗な女性だったりすると、もうバーチャルデートみたいに、
勝手にドキドキしたりする訳ですが、
この日、そのバーチャルデートのお相手が、足を止め動かなくなったのがこの絵でした。
ヴィレム・マリスの「水飲み場の仔牛達」
牛を題材にして、自然の光を描いています。
水面や牛の体のデコボコを描く光が美しい。
そりゃー足も止まるわ。
オランダのハーグは海も近いので、漁師達の絵も描かれます。
こちらは、フィリップ・サデーの「貧しい人達の運命」
漁師に魚を買いに来る女性たちの中に、
貧しい格好をして、困った顔をしている女性が。
脇では少女が不安そうに見上げています。
少女の裸足が貧しさを表してます。
この時期って貧しさの中で生きる人達を描いた絵も多く、
逆に、そのたくましさから力を貰う事も多かったりするのですが、
この絵は、見ていてなんだか切なくなります。
さて、この日楽しみにしていた一つに、ピエト・モンドリアンの絵があります。
自転車乗りには、ツールドフランスのラヴィクレールや、
LOOKでもお馴染みのモンドリアンカラー。
こうしてTシャツなどにもなっています。
抽象画としていきついた所のモンドリアンなのだけど、
その前は、こういう絵を書いていました。
モンドリアンはオランダ出身なので、こうしてよく風車を描いていました。
最初はこういう、やわらかなタッチなのですが、
徐々に風車がクローズアップされ、迫力を増していきます。
そういえば、女性と写真を撮りに行ったりすると、
男性が全体の風景を撮りがちなのに対し、
女性は圧倒的にクローズアップが多いですね。
猫でも花でも、めちゃめちゃ近寄って、それだけを撮ろうとします。
そんな視点で対象物の魅力を分解していくと、抽象になるのかも。
なんとなくだけど。
さて、こちらの美術館の名前にもなっている東郷青児の作品「遙かなる山」
一見パッと見ただけでは、アニメに出てきそうな女性。
だけどこれは今から50年以上前、1961年の作品です。
東郷青児は、女性にモテるタイプで、数多くの女性との事件をおこしています。
エネルギーが有り余る人って、そういう人生送る人多いなあ。
作家の宇野千代は、この東郷青児の愛人で、
彼女の作品の「色ざんげ」とは、
東郷青児が他の女と起こした心中未遂事件を
男の口から一人称で語らせる物語。
後に、東郷青児がこれを読み、全て自分の言ったことだとつぶやいたとか。
自分にはエネルギーというか情熱が足りないの痛感するなあ。