今、若い才能を浴びたい時期で、それは文章でもいいし、演技でもいいし、喋りでも、演奏でもよくて、こんなに若いのに凄いなあと関心しながら、その反面で、なんて自分は平凡な人間なんだろうと、落ち込む事をを繰り返しています。
ちょっとしたSMプレイのような物で、素晴らしい作品と出会うと、その作品が自分に「この凡才野郎!」と、罵声を浴びせてくるような気分になり脳内で渦巻く罵声の中に身をゆだね、天才でも秀才でも鬼才でも無い、普通の自分を確認するという自虐的なプレイです。
「昔は良かった」なんて、若者の文句を言う人は、自分の方が時代から外れかけているのに、それに気づいていない事の方が多いですが、自分もそうならないようにするための、戒めでもあったりします。老害なんて言葉がありますが、経験だけで物を語らず、自分は若い才能に気づけるようになりたいと、正直もがいている最中です。
ちょっと前ですが、渋谷でAV女優の戸田真琴さんの写真展が行われていました。彼女は文才が凄い人で有名で、シンゴジラを見たときのブログの感想で話題になり、ネットメディアでコラムと映画評を担当する事になりました。
心の中を素直に漏らしている具合が絶妙で、ラジオのDJに、こういう風に自分の気持ちを喋らせたいなと思うほど。
その戸田真琴さんの今回の写真展は、ノンレタッチ、ノー修正の写真展で、人を生々しく映し出す事をテーマにおいた写真展でした。会場には、もちろんAV女優である彼女のファンも多かったのですが、写真好きの女性客も多く、少し不思議な空間でした。
インスタ映えという言葉が流行り、インスタには、自撮りを載せる人も多くいますが、プチプラコーデだったり、キラキラゴルフ女子だったり、美魔女だったり、何かのフィルターが一枚かかっているのですが、生身の自分を見て!と叫べる人は、どのぐらいいるのでしょう?
もちろんヌードもあるのですが、それよりも、服を着ていても素の自分をさらけ出せるという、肝の据わった感じが、写真からにじみ出てきていました。
ご本人も在廊していて、気軽に来場者と話をしていたりしたのですが、なんだかキラキラしていて、スター・ウォーズで、R2D2が映し出したホログラムのレイア姫みたいで、現実なのに仮想なんじゃないかという見え方がしたのでした。
さて、若き才能に打ちのめされた後、その写真展の会場の近くに、前から行ってみたいと思っていたカフェがあったので、寄ってみる事にしました。コーヒーハウス ニシヤ。カフェなんだけど、なんだかBARのような雰囲気がするお店。代々木公園のFuglen Tokyoとか、そんな感じ。店内には老舗のBARのような緊張感もあります。威圧的っていうんじゃなく、店主の筋の通ったポリシーなんだろうな。
こちらのお店、ホイップクリームの乗ったプリンがインスタでは人気なのですが、遅い時間だったので、当然売り切れで、カプチーノを頂きました。500円。
写真展の余韻に浸りながら、カウンターから遠い目で外に目をやったら、暗くなってしまった渋谷を映す窓ガラスに、店の明かりが反射して、パソコンを消したときのモニターのように、自分の姿が映し出されていました。
いきなり現実にもどされました。コレが俺か。ふー。
■コーヒーハウス ニシヤ (COFFEEHOUSE NISHIYA)
■東京都渋谷区東1-4-1 尚豊ビル 1F
■営業
11:00〜19:30(平日)
11:00〜18:30(週末)
■定休日:火曜
■場所はこのへん
■お店のサイト