空の色が、そろそろ帰り時刻だと告げています。
皆は夕食の買い出しに忙しい。
そんな十条仲通り商店街に、そのカフェはありました。
路地に控えめに看板が置かれています。
お店の名前は「リトルコ」。
手をさしのべるように、お店の奥から暖かな光が漏れてきます。
席はカウンターに5席だけという小さなギャラリーカフェですが、
都内のカフェの特集がされると、必ずといっていいほど載る有名店。
画家でもある女性店主が一人で切り盛りしているお店です。
内装は合板を貼り付けただけ。
接客も言葉少なめ。
2010年の流行語大賞にノミネートされた言葉に
物への執着を捨てる片付け術の「断捨離」がありましたが、
こちらも、お店から不要な物を全て取り去ったような、スッキリ感があります。
静かな店内で、コーヒーを入れるために、黙々と行われる作業は、
お茶の作法のように、厳かな雰囲気。
まず、注文が入ると器にお湯を入れて温めます。
目の前でコーヒーの豆を挽いた後、
ペーパーフィルターに入れ、
ポットをもったまま、お湯を注がずしばらく見ています。
手のひらで銀色のポットの温度をはかっているのか、
それとも精神統一しているのか、
しばらく眺めたあと、お湯をちょっとだけ注ぎました。
立ち上る香りと、少しずつ珈琲に染み渡る音を確かめるように、
また、しばらくじっと見つめています。
その後、細く出したお湯で、フィルターの中にお湯を行き渡らせ、
じっくりとコーヒーを出していきました。
こうして頂くコーヒー。
取っ手がなく、両手で包み込むようにして頂く器なので、
まさにお茶会のような気分です。
手触りで器の暖かさを感じ、
広い口の器でコーヒーの香りを感じる。
そして、美味しい。
お店の方は物静かな方ですが、聞けば何でも教えてくれます。
味が好みだったので、豆のことを聞いてみると、
マンデリンで、同じ十条にある豆屋さんから仕入れているとの事。
この味、覚えておこう。
自家製のケーキはコーヒーとセットで、750円。
この日は、ゴマのチョコレートケーキでした。
■リトルコ
■東京都北区上十条3-24-1
■営業:14:00〜20:00
■定休日:水木
■場所はこのへん
■お店のサイト