日野市から、ふたたび多摩川を渡って向こう岸へ。
やはり夏と違って、涼しいので走れる走れる!
朝は少し寒いかなと思いましたが、
走り出せば体が温まるので今ぐらいが丁度いいのです。
この勢いで、次に目指すのは昭島です!
河原へ出て多摩川サイクリングロードへ。
もっと下流は、人が多くて危なかったりする事もあるのですが、
この付近ともなれば、人もまばらなので、快適に走れます。
ただ、鉄橋やバイパスと交差する付近は、
一度サイクリングロードが切れてしまうので、
初心者だと迂回して次へ向かう道を探すのに、戸惑う事もあります。
そういう時は、前を走るロードレーサーに何となく付いていってみましょう。
慣れたるもので、裏道を繋いで続きのコースへ、スーイスイ。
僕はこのコバンザメ走法で、結構スムーズに走れました。
昭島に来ると、元々米軍ハウスだった建物がカラフルに塗られて、並んでいました。
その一番端にあるのが、目指したカフェ「ウインズブロウ」だったのですが、
何とクローズドの看板が!
ここに付いたのが15時30分ぐらいだったのですが、お昼の営業は15時まで。
夜の営業の再開は18時。
それまで待ってたら、真っ暗になってしまいます。
ダメだ…。
昭島まで来て、まさかの収穫なしか?と思ったのですが…。
その向かいを見たら、ちょっとレトロな喫茶店があるではないですか!
「茶廊てんとうむし」
よし、ここだ!ここにしよう!
今思うと、実は、前のお店がクローズしていた事は、
何かのお導きだったのかもしれない出来事が…。
山小屋チックなレトロな店内の一角に腰を下ろすと、
お店のお母さんが、オーダーを取りに来ました。
その顔を見て、僕はビックリしました。
うちのお袋ソックリ!
ソックリすぎる!
韓流ドラマで、よく死んだ恋人にそっくりな人が、一人二役で出てきますが、
そのぐらいのソックリぶり。
年配の女性独特のファッションも、似てる。
しばし注文を忘れて、ポカン顔ですよ。
まだうちの母親が健在だから良かったものの、
死んだ後に会っていたら、絶対涙を流しただろうという自信があります。
それほど、動揺しました。
よく世界には同じ顔の人が3人いると言われるけど、
あのお母さんと、うちのお袋は、そのうちの2人に違いありません。
お袋の顔が思い浮かんだというか、目の前にそっくりな顔があるので、
思い出のメニューを頼みました。
思い出のメニューと言っても、母親と喫茶店など入った事ありません。
幼稚園ぐらいの時だったと思います。
入園式とか、そういうおめでたい日の帰りに、
街のちょっといいレストランに連れて行ってもらったのです。
とは言っても、今考えると普通のレストランだったのですが、
岩手の田舎町なのでそういうお店は少なく、
洋服で言うところの、一張羅的なお店だったのです。
めでたい時は、ココみたいな。
そこのお店にあったのがクリームソーダ。
普段、外食といえば、駄菓子やとか定食屋がせいぜいだった子供には、
憧れのメニュー。
誕生日だとか、そういうのにかこつけて、
連れて行って欲しいとおねだりしていたそうな。
当時は、クリームソーダという名前を知らずに、
「ミドリが飲みたい」と、よく母親に言っていたそうです。
その思い出の味、クリームソーダは450円。
お店では、ラジオが流れていました。
何かの音楽番組の公開生放送をしていて、女性グループが歌うところでした。
「それでは、私達の曲、聞いてください」
という、MCに続いて、流れたイントロはBORN TO BE WILDじゃないですか。
あれ?カバーしてるのかな?と思ったけど、
あのギターのカッティングに続いての歌は、原曲のステッペンウルフ。
どうやら、お母さんが気を利かせて、ラジオから有線に切り替えたらしく
そのタイミングが「聞いてください」に、ドンピシャだったのです。
そして、ここまでは良かったんだけど、
この次に流れたのが、T.RexのGet It On。
えーー、コレ、オレのipodの曲順と一緒じゃん!
なんだかまた、鳥肌が立った。
お会計の時、「うちのお袋にソックリなんですよ」と喉まで出かかったけど、
言うのをやめました。
興奮しているのは、自分だけだろうし、
この魔法にかかったような気分が、解けてしまう気がしたからです。
そんな自分の中の小さなドラマを胸にしまったまま、お店を後にしました。
しかし、よっぽど動揺してたんでしょうね。
お店の営業時間とか定休日をチェックするのを忘れてました。
■茶廊てんとうむし
■東京都昭島市緑町2-29-3
■場所はこのへん
その帰り、まだ何かのお告げではないかという気分が抜けず、
いつもよりも慎重に、安全運転で帰路につきました。
途中、うちの田舎の風景にも似た、単線の線路が真っ直ぐと。
今日は、随分、懐かしい気持ちにさせてくれるなあ。
写真を撮っていると、武田鉄矢率いる海援隊の曲、
「思えば遠くへきたもんだ」が、頭の中で流れ始めました。
踏切りの側に咲く
コスモスの花ゆらして
貨物列車が走り過ぎる
そして夕陽に消えてゆく
十四の頃の僕はいつも
冷たいレールに耳をあて
レールの響き聞きながら
遥かな旅路を夢見てた
思えば遠くへ来たもんだ
故郷離れて六年目
思えば遠くへ来たもんだ
この先どこまでゆくのやら
自転車で都内のカフェ制覇の旅。
昭島市、制覇の巻!
お、あとボスキャラ3つを残すのみ。