自転車の購入にあたって

gios

僕が今乗っているのは、GIOSのanpioというクロスバイクで、
約2年前ぐらいに購入したものです。
お値段は8万弱。
クロモリという鉄製のフレームで、フラットハンドル、
コンポと呼ばれる変速機は、simanoのsoraという9段変速の物がついています。
はっきり言って、初心者用のクロスバイクですね。

あらためて、なんでこういう事を紹介しているかというと、
4月を迎えるにあたり、新入生、新社会人向けに
各自転車雑誌では新車購入の手引き的な特集がされているのですが、
それを読んだ上で、僕なりにアドバイスを書きたいと思ったからです。

初めて、スポーツバイクを買う方へ。

あくまでも僕個人がこれまでの2年間、チャリカフェをしてきた事から思う事で、
正しいかどうかは別です。
でも、スポンサーもしがらみもない一意見としては、
読んでも悪くないかもと思うのです。
ただ、最終的に判断を示すのは「家政婦のミタ」の台詞じゃないけれど
「あなたが決める事です」
という事になると思います。

まず、当時、この自転車をチョイスした理由。

学生時代に乗っていたロードマンという自転車に似た物が欲しかった。
それがクロモリ(鉄)の細いフレームで、
ホリゾンタルと呼ばれる、TOPのフレームが水平なスタイル。

同じような形で細いクロモリの、ルイガノも候補にあったのですが、
ジオスブルーと呼ばれる青いフレームが気に入って、購入を決めました。

で、2年間乗ってどうだった?という事。

ぶっちゃけ23区内を走るなら、これで十分です。
GIOSは初心者が買うバイクみたいなイメージがありますが、
23区内の走りに関して言えば、そんなもの関係ないです。
クロモリは重いと呼ばれるけど、23区レベルは重いも軽いも大差ないです。
コンポは初心者級のsimanoのsoraですが、
これの性能がギリになるのは、雑司ヶ谷の「のぞき坂」ぐらいで、
これより高性能な自転車で23区を走るのは、
フェラーリで渋滞を走るようなもんです。

つまり、走行距離50㎞以上走らない人は、スペックはそんなに関係ないと思うので、
自分が「素敵!」と思える自転車を買うのが一番だと思います。

逆に、マイナス要素だと思った事。

23区以上の長距離を乗ろうとすると、フラットバーはつらい。
フラットバーの方が楽そうに見えると思うのですが、長距離はつらいです。
ドロップハンドルって、誤解されているのですが、
曲がった下の部分を持つから、前傾姿勢で怖いと思っている人多いです。
でも、実は通常は上の方を持つので、前傾姿勢はフラットバーと変わりません。
しかも、持ち方を色々変えられるようにああいう格好をしている訳で、
フラットバーの場合、持ち方のポジションが変えられないので、
長距離走っていると、つらくなってきます。

あと、個人的コンプレックスだけど、長距離走った時に、
シティーライド的なフラットバーがダサく感じました。

なので、スポーツタイプを考えているなら、ドロップハンドルがオススメ。

ドロップハンドルで、フラットのクロスバイク的な乗り方は出来るけど、
クロスバイクで、ドロップのロード的な乗り方は出来ません。
最初は「怖い」と思うかも知れませんが、ドロップはすぐに慣れます。
最近、渋谷とか青山あたりを走ってると、ドロップに乗ってる女の子も多く、
そっちの方が、断然カッコイイです。

クロモリ(鉄)か、アルミか、カーボンかという素材の問題。
これは、自分がやりたい事を実現してくれる物を選ぶとよいでしょう。

この自転車で東京湾一周の200㎞とか完走しましたけど、
それ以上走ろうと思ったら、ヘタレな自分にとっては、
重いクロモリじゃなく、カーボンが欲しくなってきます。

自転車好きの中にはクロモリ教みたいな人もいて、
クロモリしか認めん!という人もいるのですが、
実は長距離を走るタイプではない人が多かったりします。
たまにクロモリでガンガン走れるカッコイイ人もいるけどね。

なので、自分がやりたい事にあわせて、機材を選ぶという事でいいと思います。
近場ならクロモリの方が乗り心地はいいですし、ロマンがあります。
でも遠くに行ったり早く走るならカーボンの方が優れています。
乗り心地は固いと言われるけど、軽くて早くて安いアルミもあります。

自分の目的は何か?それを達成するにはどっちがいいのか?
それを念頭に入れて選べばいいと思います。
人の意見は、参考程度に。
もちろん、僕の意見も参考程度に。

将来、1回ぐらいレースにも出てみたいとか長距離サイクリングしてみたいなら、
安くてもいいから、最初からドロップのロードバイクがオススメ。
街乗りしかしないというなら、クロスバイクでもいいでしょう。
または、マウンテンバイクの方がサスペンションが付いている分だけ、
快適に走れるかもしれません。

自転車の楽しみ方っていうのは、まさに色々あって、
次の僕の目標が、
●ツールド宮古島など、制限時間ありのレースを時間内完走
●東京から新潟まで日本列島横断的な、ロングライド
この2つなので、次はカーボンのロードを購入しようと思っています。

そして、いつかはクロモリのロードも手に入れるつもり。
デローザのネオプリマートや、チネリのスーパーコルサ、
地元練馬のビルダー、ラバネロへのオーダーも憧れますが、
自分の地元、岩手県の宮古市にあるビルダー「エンメアッカ」にオーダーするのが夢。

東北唯一のフレームビルダーなのですが、
あの津波で工場がやられ、一時は休業を余儀なくされました。
それでも、時間をかけ、生産を復活させたようです。

うちの家では、弟も盛岡へ移住したし、
僕の仕事も故郷では出来ないので、将来的には、実家を処分して
故郷から離れる事になると思います。

それしか方法がないとわかっていても、やはり故郷を捨てるのは心が痛みます。
ならば、なにか故郷の思いでとなる物が欲しいなと思うのです。
それが、故郷のビルダーが作る自転車。

もし、手に入れた際は、それに乗って、
宮古から盛岡まで約100キロの山道を走って帰りたい。
それは、中学や高校の時の思い描いた夢だけど、絶対出来ないと思っていた事。
でも、100キロオーバーを走れるようになった今なら出来る。
厨二病みたいな自分の夢にもケリをつけたいし、
ゆっくり走って見慣れた景色にお別れを言いながら、故郷を後にしたいと思うのです。

みなさんも、自分の夢を実現させてくれる物はどれか?
スピードでも、快適さでも、カッコ良さでも、ロマンでもいいと思います。
それで選ぶのが一番いいと、僕は思うのです。

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ツールドフランス2010

鉄道ヲタクと一口に言っても、撮り鉄、乗り鉄、音鉄、車両鉄、駅弁鉄と
いろいろ好みが分類されているように、
自転車好きも、割と細かに分類されています。

速く走るのが好きなロードレーサー(ローディー)、
山道を登るのが好きなヒルクライマー、
アウトドアのマウンテンバイクやシクロス
ひたすら長距離の挑戦するロングライダース
お散歩系が好きな、ポタリング、
自転車を現地まで運んで旅する輪行、
ファッションとして乗るピスト系、
ワゴン車のように荷物を積んで遊びに出かけるロングテール、
などなど、結構、好みは細分化されていて、
さらにカーボンが好きな人とか、クロモリ(鉄)しか認めんという人とか、
それこそ、自転車の好みは、十人十色。

そんな自転車の楽しみ方の中で、僕が最近、夢中になっているのが、
自転車レースを観ること。
特に、今までよく知らなかったツールドフランスのDVDを集めて、お勉強中です。

まず、頭に入れて欲しいのは、自転車のロードレースは、
個人戦ではなく、チームによる団体戦だという事。

そしてその中には、マラソン的な楽しみと、F1のような楽しみ、
競馬的楽しみ、プロレスのタッグマッチのような楽しみなどがあります。

今回は、ちょっとマニアックですが、ご容赦を。

今回買ったのは、ツールドフランスの2010年。

いくつかあるステージの中で、平地でのレースは、
競馬的な楽しみ、F1的な楽しみ、プロレスのタッグマッチ的楽しみがあると思います。

まずは、170㎞前後のステージを戦うにあたって、
競馬でいう所の逃げ馬的に、逃げで戦うのか、追い上げて差すのかという
見所があります。

そして、F1のように、スリップストリームに入って引っ張られる事で体力を温存し、
最後の勝負所で、すっと前に出てゴールするという見所も。

さらに、プロレスのタッグマッチのように、
エースを勝たせる為に、パートナーが相手を疲労させてたたきつぶし、
プロレスの3カウントみたいな、最後のおいしい所をエースに譲り、
スプリント勝負で勝たせるという見せ場も。

なので、ジャイアント馬場とジャンボ鶴田が組んだら最強とか、
猪木を勝たせるには、坂口征二なのか、藤波辰爾なのかみたいな、
エースとアシストの組み合わせの楽しみも。

2000年前後のランス・アームストロングとマルコ・パンターニが火花を散らしている頃は、
山岳コースが好きだったのですが、
2009年の、ツールドフランスを観てからは、
平地コースのスプリント勝負も好きになりました。

特に、HTCコロンビアというチームの
「ジョージ・ヒンカピー」「マーク・レンショー」「マーク・カヴェンディッシュ」の
トレインが綺麗すぎて、たまりません。
トレインというのは、後ろのエース(カヴェンディッシュ)を勝たせるために、
ヒンカピー、レンショーが風よけになりながら、チームで縦の列になって走り、
チームで、F1のスリップストリームのような状態を作り、
エースを引っ張っていく事を言います。

2009年のHTCコロンビアのトレインは芸術的すぎます。
それをまた観たいと思って買った2010年版は、
「ジョージ・ヒンカピー」が他のチームに移籍して、いなくなって、ちょっとショック。

だからチームでトレインを組んでも、
結構、間に他のチームの選手に割り込まれる事が多く、
あの芸術が観られないのが残念。

でも、アシストのレンショーと、エースのカヴェンディッシュのコンビは健在。
ここはプロレスのタッグマッチ的な楽しみです。

アシストは、ゴール前800メートルぐらい前から、
自分が先頭に立って、いいコースを確保して、
ゴール300メートルぐらいで、ヒラリと除けて後ろのエースに道を譲り、
ごっつあんゴールのお膳立てをするのですが、
これを自転車レースでは「発射」と言います。
だからアシストの事を、発射台と呼ぶことも。
このエースを勝たせるアシストの中で最強と言われているのが「レンショー」なのです。

レンショーは、ゴール前300メートルまで先頭で突っ込んできて、
そのまま自分が勝てるかのような勢いなのですが、
最後に、ヒラリとよけて、エースのカヴェンディッシュをパーフェクトに勝たせます。

レンショー

ところが、この2010年ツール・ド・フランス第11ステージのゴール前では、
ライバルチームが最後の最後に幅寄せして来た為に、
ブチ切れて、走りながらジャマした選手に、怒りの頭突を3発。
こうして、コースを守り、見事エースを勝たせました。

頭突きをしているのがレンショーで、
その後ろにいるのが、エースのカヴェンディッシュ。

ところが、この頭突きが違反行為となり、翌日にレンショー自身は失格に。

レンショー

協会は、頭突きしたレンショーが悪いと一方的に裁きましたが、
ファンの僕としては、相手がコースを塞いできたのも一因の気もしました。
上空からみると、エースはアシストであるレンショーの後ろにいるはずなのに、
幅寄せして来た影響か、相手チームの後ろにいます。
レースには進路妨害という判定もあるので、本人はこれを主張しましたが、
聞き入れられませんでした。

あくまでもこれは、僕がファンのレンショー側に立って書いています。
サッカーのワールドカップでも、
なんと差別用語を言われようと、頭突きしたジダンが悪いという事になりましたが、
ここでは、結果としてレンショーの退場で幕が下ろされています。

よく、格闘技以外のスポーツの事を、
「○○は格闘技だ!」みたいに言うけれど、
自転車のロードレースは、まさに、格闘技ですね。

以前、この動画は、You Tobeで人気を呼んでいたのですが、
ツールドフランスを仕切るフランスのスポーツメディア
Amaury Sport Organisation(ASO)からの依頼でことごとく削除されていて
今は観ることが出来なくなりました。

なので興味のある方は、DVDを探してみてください。

にしても、マニアックやなあ。
こういうのを語り合える男もなかなかいないのに、
女性にはどん引きされるでしょうね。
いたら、惚れる!

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