カネコ(虎ノ門)

カネコ

お店を巡っていると、そこでの発見がつながる事がある。…というのは、一つ前の記事で書きましたが、このお店との出会いが、ビビって入るのをためらっていた、目白のお店につながる事になるとは…。

虎ノ門の路地裏にあるKANEKO。
虎ノ門界隈は、早く閉まってしまうお店が多く、18時前後は、カフェの陸の孤島に。このお店も17時閉店なので普段なら無理なんですが、一つ前の収録が早く終わったので、時間つぶしにやってきました。

店内

この付近のサラリーマンやOLさんは、スタバなどのチェーン店に行くか、虎ノ門ヒルズに行くかで、雑居ビルの2階にある喫茶店は、スルーされているので実にのんびりとしたムードです。喫煙可でハラハラしていたのですが、サラリーマンは来なくて、定時退勤したであろう、年齢高めの(余計なお世話だ)OLさんが、のんびりお茶していました。

シンフォニー

頂いたのは、シンフォニー、560円。
シンフォニーとはなんぞや?というと、上からコーヒーゼリー、ホイップクリーム、コーヒーゼリー、バニラアイス。コーヒーゼリーに自信があるのか、通常のコーヒーゼリーもあるのですが、その豪華発展版がシンフォニーです。チョコレートパフェや、フルーツパフェほど甘くなく、黒、白、ベージュとモノトーンに近い層で、あまりインスタ映えもしない、男のためのデザートという感じ。でも、この甘く無い感じが好きです。

■カネコ (KANEKO)
■東京都港区虎ノ門1-8-4 虎ノ門オーディーエービル 2F
■営業:10:00~17:00
■定休日:日祝
場所はこのへん

虎ノ門

虎ノ門を突っ切る通称マッカーサー道路と呼ばれる環状2号線。太平洋戦争に勝った米軍GHQが、アメリカ大使館から竹島桟橋までの道路を計画していると噂され、この道の計画をマッカーサー道路と呼んで来たのですが、何の根拠も無く、ただの都市伝説。

東京オリンピックの選手村などが出来る、豊洲方面への接続路として整備されているのですが、道路を作るに当たり、この付近にあった雑居ビル等を、軒並み潰しました。その道の真ん中にあったのが、蔦の絡まる「般若」という喫茶店。そのお店を師匠とし、親戚筋に当たるのが、この日訪れたお店、カネコだという事がわかりました。

看板

道路拡張工事で建物を潰された「般若」は、しかたなく、実家を改装し、新たな喫茶店を作ったのだそうです。それが、目白にある「般若」。看板も当時の物を使っています。

般若

自転車で文京区方面に行った帰りは、自転車乗りの裏道として、よくこの前を通っていたのですが、「般若」という名前と、その雰囲気にビビって入れずにいました。だけど、カネコの親戚筋とわかっただけで、急に親近感。今度入ってみようと思います。

しかもブログでは順不同になっていますが、MACのphotoアルバムの日付を見ると、この般若の写真を撮った後に行ったのは、元あった場所の近くの喫茶店、新橋ヘッケルンでした。再開発が進む虎ノ門・新橋界隈で、残れたお店と、移転したお店。それを知らずに、数日の間に両店を目にしているのですね。そして、その事実が判明したのが、3年後。人は気づかぬドラマを持っていますね。こういうのが後で発覚すると面白いですね。

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イネガリテ

阿佐ヶ谷

久々に阿佐ヶ谷へ。
五反田もそうだったけど、高架下をオシャレにしようという動きがあり、阿佐ヶ谷も、オシャレなカフェが、色々出来ていました。料理教室なんかもあって、インスタ映えを狙ったような料理を作り、みんなで写真撮影という、ワチャワチャした姿が、ほぼ全面ガラス張りのスタジオから見えたり。ちょっと高円寺とは違います的なプライドが、街に漂っています。

ひねもす

そんな中、古い建物を使った古民家に近いカフェもあります。

看板

器とカフェの「ひねもすのたり」。以前来た事があるのですが、今回はカフェ利用ではなく、別の目的がありました。

ベルギーのブリュッセル王立音楽院に留学した友人がいるのですが、そこで学んだ日本人二人で、古楽器のトラヴェルソのデュオを組み、室内演奏会を行うというので、それを聞きに来たのです。それが「イネガリテ」というユニット。
フランス語で凸凹を表す言葉で、二人の背の高さからつけられました。今回は、同じくブリュッセル王立音楽院で学んだ方をゲストに迎え、トリオでの演奏。

元々、その中の一人が元江古田在住で飲み友達なのですが、いつものように店に行くと、ひょこり帰国をしていて、チラシを渡されたのです。クラシックとか、そういう教養は無いのですが、きっと何かの刺激になるだろうなあと思って行ってみました。

そしたらビンゴでした!
友人は、トラヴェルソの他に、ハーディガーディーという不思議な楽器も演奏しました。バイオリンのような形ですが、弓の代わりにハンドルを回しすと本来なら弓が当たる部分にある円形の部品が回り、音が出るというもの。そして、音階はネックの横についている鍵盤を押して鳴らします。

人生の中で初めて見る楽器ですが、演奏前の説明を聞いていると、農民や羊飼いが使ったり、盲目の乞食が物乞いの為に演奏する、貧しい人達の楽器なんだそうです。なので、農民の生活などを書いたブリューゲルの絵に出て来ると。え?あのブルユーゲル展で最後に展示されていた、農民の結婚式などで演奏されていた楽器なんだ!…と、少し点と点がつながりました。

そして、この楽器が後に宮廷に広まった理由も面白かったです。マリーアントワネットの頃のフランスでは、宮廷で働く人達は、ガチガチに働かされていたので、羊飼いを見て「いいなあ、楽そうで」と思っていたのだそうです。貧しい生活を知らずに、のんびりとした雰囲気だけで。

なので、仕事に疲れると、「羊飼いごっこしよう」と、だだっぴろい宮殿の庭で、羊飼いの格好をして、草原に寝っ転がり、のんびりとしながら、羊飼いが演奏していた、ハーディガーディーを演奏し、癒やされると流行っていたのだそうです。

こう聞くと貴族の話は世間知らずでバカっぽいけど、ウクレレに変換するとわかりやすいと思うのです。ウクレレの音色で南国を想像し、癒やされると。それで、休日に近所の公園に行って芝生に寝っ転がってポロンとやる。都会に疲れて、田舎に憧れる。田舎の実は排他的な人間関係を知らずに。形は違えど、そういう要素は、今もあるんだろうなあと。

僕らも9時5時の仕事ではなく、生放送、収録の時間と、その原稿を書く時間に稼働すればいいので、平日の昼間にぽっかり空いた時間に映画を観に行ったりするのですが、サラリーマンの友人に「いいなあ」と羊飼いをみるような目で見られます。
いやいや、その代わりに原稿が出来るまで、夜中まで調べ物をしたりしてるんだけど、と思いつつ、実は、毒舌なオードリー若林さんの言葉を思い出しました。

芸能人って、街ブラして美味しい物を食べたり、ビックリ映像をみて驚いたり、それでお金がもらえる楽な仕事と思われてるんでしょうね。その驚きのリアクションをどれだけのバリエーションを作り出す為に、どれだけ研究してるか知らないで。

新しいことわざをおもいつきました。「隣の芝生は青く見える」の応用編で、「隣の羊飼いは楽に見える」

さてさて、4月は毎日更新するというノルマを課して、無理矢理ネタ探しをしてきました。ネタを探すために動かなければいけない時期を作る事で、自分自信での発見しようとする力がつくからです。そういう意味では、何の知識も無かった中で観に行った、ブリューゲル展が、ここでハーディガーディーにつながったり、それだけでも大成果じゃないですかね。
またいつかやりましょう。

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