NHKの「チコちゃんに叱られる」が人気です。
「いってらっしゃーいってお別れするとき、手を振るのはなぜ?」など5才の女の子から問いかけられる素朴な疑問に答えられないと、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叱られるという番組です。
最近は、この人気に便乗する番組も増え、「出没アド街ック天国」で高円寺を特集していた時も、イノッチが古着屋で「洋服はどうして、男性は左前、女性は右前?」など、同行しているディレクターや、お店の方に聞くという演出を入れ始めました。乗っかるなあ。
雑学といえば、かつて「トリビアの泉」の「へ〜ボタン」が流行しましたが、トリビアが放送終了したのが2006年だから、12年前。干支一周回っての雑学ブーム再来です。2006年といえば、「脳トレ」もブームになっていましたから、クイズ番組の人気とかも、一周回っての周期なのかもですね。
小竹向原のクリオロ東京本店に行った時に、そんなチコちゃん風の雑学の演出に使えそうなネタを発見しました。
ショーケースで目に止まったのは「こだわり黒いちじくのタルト」570円。
ところで「いちじく」って「無花果」って書くけど、何で花が無いのに実がなるの?という疑問が持ち上がってきたのです。そこでイートインしながら、スマホで調べてみる事にしました。
「無花果」というと橋本治の小説「無花果少年と桃尻娘」が思い出されます。
女子高生の口調で書かれ、高校生の姿をリアルに描き出したと話題になった「桃尻娘」の続編で、今考えると「桐島、部活やめるってよ」とかの源流になっているのではないかと思うのですが、懐かしくなって少し読み返してみたら、
『大きな声じゃ言えないけど、あたし、この頃お酒っておいしいなって思うの。黙っててよ、一応ヤバいんだから。夜ソーッと階段下りて自動販売機で買ったりするんだけど、それもあるのかもしれないわネ。』
と、女子高生というより、オネエ言葉のようで、女子高生の言語がすっかり変わってしまったんだろうなと思いました。流行を取り入れるって、その瞬間はカッコいいけどあっという間に時代とズレて死んでしまうので、怖いですね。
話は戻って「無花果」の花が無い問題。
いちじくのタルトと一緒に注文したカフェラテが運ばれてくるまでの間、調べていると、意外な事実が判明しました。
実は、みんなが実だと思って食べている部分が花で、白いヒゲのような物が「いちじく」の花なのです。花が実の中に隠れて咲くという変わった仕組みになっていて、僕らは花の部分を食べている事になるのです。
刺身の脇に添えられている食用菊は、花びらだけをむしって醤油皿に入れる薬味だそうですが、あちらは添えられていても食べる人はほとんどいないのに、「いちじく」の場合、知らず知らずのうちに花を食べていたのですね。
外国産の「いちじく」の場合は、当初は下の部分に穴が空いていて、イチジクコバチという蜂が入ってきて受粉し、成長すると穴が塞がるそうなんですが、日本で栽培されているイチジクの品種は、虫が花粉を運ばなくても実がなる性質の単為結果性を持った品種なので、割っても虫が出てくる事はありません。ご心配なく。
花だったら花言葉はあるのかと調べてみると、無花果の花言葉は「子宝に恵まれる」「実りある恋」「裕福」などだそうです。
タルトに使われている黒いちじくは、風土的に日本での栽培が非常に難しく、生産者が極わずかに限られていて貴重な物だそうですが、糖度が高く蜜のようなねっとりした自然の甘味が幸せを運んで来てくれます。美味しかった。
ラジオとかでDJがしゃべるネタ探しをするのが、僕らの職業なんですが、こんな感じでいつも考えている訳です。
チャリカフェはネタ探しなんです。
■クリオロ 東京本店 (CRIOLLO)
■東京都板橋区向原3-9-2 サントスビル 1F
■営業:10:00~20:00
■定休日:火曜
■場所はこのへん
■お店のサイト