最近、千葉の木更津から房総半島の中心部へと向かう久留里線の赤字がニュースになったので、ローカル線はみんな赤字というイメージが持たれていますが、市原市の五井から出る小湊鐵道は、実は微増ながら黒字経営をしている珍しい路線です。
それは沿線に根付く、様々な面白い取り組みをしているからなのですが、今回もその取材をする為に五井駅に。bayfmとのスタッフの待ち合わせの時間に、早めに着いたので、一休みする事に。
小湊鐵道の待合室を改装してカフェにしたのが「こみなと待合室」
小湊鉄道の成功の理由の一つに「逆開発」というコンセプトがあります。近代化の為に開発するのではなく、ローカル線の良さを出す為に田舎の風景を作り出すという事。この待合室のまわりも木々が植えられ、枕木だった木材を敷き詰められたテラス的なスペースがあったり、お隣のJRの駅とは違う、田舎っぽさで迎えてくれます。
沿線にも菜の花のタネを蒔き、春には桜と菜の花のピンクと黄色のコントラストが人気に。秋は紅葉。荒れ果てた田舎の風景ではなく、観光しに来た人の為に、田舎っぽさをきちんと整備しているのです。
生活の足としての乗降客数は多くありませんが、土日祝、夏休みなどは多くの観光客で賑わいます。それがローカルなのに黒字という珍しい例となっています。
カフェの庭には、目の前に小湊鐵道の車両を眺められる席も。鉄オタや鉄道好きの子供が喜びそうなスペースです。
江古田付近でも、日芸前の線路沿いの道に、子供に電車を見せようとやってきた親子連れや、新しい車両を撮ろうとしている鉄オタなどが集まりますが、そんな需要に応えます。
小湊鉄道では撮り鉄の皆さんにお願いしているマナーがあって、通勤、通学する乗客が映り込まないようにして欲しいというお願いが。観光化と生活の足を両立させる為の暗黙の了解です。
「こみなと待合室」という名前の通り、小湊鐵道と、アクアラインを通って羽田や横浜に向かう小湊鐵道のバスの待合室になっていて、モニターには運行情報も。さらに可愛いグッズなども売られています。
カウンター席からも車両を望む事が出来ます。
カフェのカップやコースターなども、シンプルながら温かみのあるデザイン。この日のおまけについて来たのは、沿線の特産物の描かれたシール。鉄道を中心にしながら、沿線の農家や商店などの商品なども広める活動をしていています。
また小湊鐵道の高滝駅から歩ける位置の廃校になった小学校をグランピングのキャンプ場が出来たのですが、東京から来る若い観光客は車を持つという人が減っている為に、キャンプ場に向かうこの小湊鐵道に乗ることも、ひとつのアトラクションと捉える人が増えているそうです。
きちんと田舎っぽさを整備し、レトロなローカル線を非日常の体験に変える。小湊鐵道の取り組みは面白いです。
■こみなと待合室
■千葉県市原市五井中央東1-1-2
■営業:
9:00~19:00
9:00〜17:00(土日祝)
■定休日:無休
■場所はこのへん
■お店のサイト
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