かえる食堂(要町)

かえる食堂

池袋まで自転車で15分ぐらい。その帰りに、前々から気になっていた要町のカフェに寄ってみました。「かえる食堂」。

光文社のビルの角を入った路地にあります。路地からは行列が見えますが、それはお隣のラーメン屋さん。とは言いつつこちらも人気で、満員の時は外に待っている人もいます。店内はカウンター7席のみの、小さなお店。

看板

映画にもなった小林聡美の「かもめ食堂」や柴咲コウの「食堂かたつむり」にも共通するなんだか、ほんわかムードのネーミング。

勝手なイメージですが…ライオン食堂とか、ひぐま食堂とか、「肉食系動物+食堂」は、アクの強いオヤジがやってそうで、名前からも、なんだか面倒くさそうなオーラが出ている気がしますし、かといって「ミニチュアダックス食堂」とか「アメリカンショートヘア」食堂とか、愛玩動物も、親バカ飼い主のニオイがして、これも面倒くさそう。

「かもめ」「かたつむり」「かえる」には、あまり干渉しなさそうで、じっとしているイメージがあり、押しが強くなく、名前を見ただけで、素朴で癒される感じがします。

ちなみに、こちらの看板の「かえる」は、絵本作家の工藤ノリコさんが書いたものだそうです。

メニュー

美味しいごはんとお菓子のお店とありますが、メインはカレー。

いろいろある中、イチオシはチキンカレーらしく、黒板にはこんな説明がありました。

●手羽元をスパイシーヨーグルトに一晩漬け込みオーブンでタンドリーチキン風に焼いています。
●骨についている軟骨がコリコリして美味しいです!

という訳でチキンにしようと思ったのですが、そのチキンと野菜をプラスしたミックスというのを発見し、欲張りな感じで、そっちを注文してみる事にしました。

ミックスカレー

こちらがミックスカレー800円。

骨付きの手羽元2本とゴロゴロとした野菜がたっぷり入っています。

ひとくち食べると、スパイシーな香りが口の中に広がっていきます。サラサラ系だけど、サラサラまで行かず、かといってドロドロ系でもありません。サラドロという感じでしょうか。

骨付きの手羽元は、スプーンでも簡単に身がほぐれるほど煮込まれていて、やわらかくて美味しい。黒板に書いてあったように、骨もしゃぶって軟骨の部分も頂きます。うん。こりこりしていて、美味しい!上品ぶらず、しゃぶりつく事、推奨です。

野菜は、ジャガイモや玉ねぎというような、家のカレーのような感じではなく、玉ねぎのソテーとか、旬の野菜をふんだんに使ったものです。

皿にはレモンが添えられているのですが、出されるときに「途中でレモンを搾って食べると味が変わります」といわれたので試してみました。半分ぐらい食べてから絞ってみると、タイ風カレーにレモングラスが入っているように、なんだかエスニックな風味に変身。これはこれで面白いです。

このカレー、肉や野菜の甘さもあるし、少し辛くした方が、よりスパイシーさが楽しめるのではないのかな?と思いご主人に聞いてみると、辛さは調整出来るそうです。初めてだったので、一番標準のにしたのですが、お子さん連れも多いし、辛いのが苦手な方もいるので、標準の物は比較的マイルドにしているそうです。

ご主人がまかないで食べるときは、相当辛くしているのだとか。辛いのが大丈夫であれば、辛くするのがオススメだそうです。

ご主人はピンと一本スジの通った職人気質な雰囲気がありますが、実はとっても気さく。話しかけたら、野菜は、奧さんの実家で育てている物を送ってもらっているなど、いろいろ教えてくれました。

旗

カレーを食べたあとは、デザート。お店の外には「もちもちのシフォンございます」の旗が、風になびいてひらひらと。

シフォンケーキ

そして店内のガラスのショーケースには、シフォンケーキが。この日のケーキは、ミルクティーと刻みチョコの2種類でした。

この日は、ちょっと暑かったので、シフォンケーキを使ったシフォンサンデーというのを頼んでみました。

シフォンサンデー

シフォンサンデーは350円。このお店、追加注文するごとに100円値引きされるシステムで2品で100円引き。3品だと200円引き。よってこの日は、ミックスカレー800円+シフォンサンデー350円から100円値引きで1050円でした。

シフォンケーキのモチモチ食感と、アイスクリームの爽快感が絶妙にマッチ。これはたまらない。

こちらのお店、カレーがメインのお店なので、カレー屋さんと言ってもいいのですが、このシフォンケーキやコーヒーなどだけのお客さんもいるそうなので、カフェという言い方も間違いではないでしょう。

デザートを頂きながらまったりとしていると、小学生の女の子を連れたお母さんが来店。「このコがどうしてもお昼はここがいいっていうから」と挨拶すると「○○ちゃん、いつものでいい?」と、お店の奧さんが話しかけました。「いつもの」って、BARで常連のお客さんが言う台詞だけじゃないんですね。

旨い店というのは幸せな空気に満ちている気がします。あのコがここに来たがる理由の一つに、きっとそれもあるハズ。…と、勝手に妄想してみました。

ここからは全くの余談です。家に帰ってから、「かもめ食堂」が見たくなってDVDを借りてきました。その中で、気になったシーンがあります。

その昔、洋食のマナーとして「ライスはフォークの背にのせて食べる」というのがありました。その後、実はそれは間違っていて、外国では誰もそんな事しないと、間違いを啓蒙する運動もあり、だから今では、誰もフォークの背にご飯を乗せて食べたりしなくなりました。

ところがです!この映画の最後の方で、お店が満席になるというシーンの中で、フィンランド人のオジサンが、ライスをフォークの背に乗せて食べているのです。漁師の方か、肉体労働者というような感じの方。

フォークで魚のムニエルみたいなのをつついて食べて、そのままフォークが背のままご飯の皿にスライドして、ナイフでご飯を乗せて食べたのです。

推測するに…。オジサンは、フォークをへこんだ方に握りかえるのが面倒で、背のままにして、ライスを乗せて食べたのではないでしょうか?

妄想すると…。外国人が日本でお茶を体験し、見よう見まねで後に続くのですが、日本人が「アチっ!」と耳たぶつまんだら、外国人がみんなマネて、つまむというコントがあります。CMでも、そういうのあったような…。

そんな感じで、面倒くさそうにご飯を食べている外国人を見て、これがマナーだと思って、間違って広まったのではないでしょうか?そんな事思ってしまいました。

あと、かもめ食堂のエンディングに、「エヴァンゲリオンか!」とツッコミを入れたのは自分だけでしょうか。

■かえる食堂
■東京都豊島区池袋3-6-1
■営業:11:30~17:00
■定休日: 月・日・祝日・他
場所はこのへん
お店の公式サイト

自転車で23区カフェ制覇の旅…ただ今、2/23区。

地図

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プアハウス(江古田)

プアハウス

ママチャリで家から3分。練馬区の江古田駅北口に古くからあるカフェ「プアハウス」。カフェというより、喫茶店と呼んだ方がしっくり来るかもしれません。

看板

poorhouseは、英語で「貧救院」。イギリスで貧しい物達を救う為に作られた労働施設の事です。

このお店が出来たのは、1976年。ユーミンがまだ荒井由実で「あの日に帰りたい」がヒットしていた年です。貧乏くさい四畳半フォークから、都会的なニューミュージックに転換する時期ですけど、当時の学生は、きっとまだまだ極貧の方が多かったのだろうから、貧しい学生達を救うという意味合いもあったのでしょうか?勝手な想像ですけど…。

古く営業しているお店だからこその、どこか一本筋の通った趣のある雰囲気が好きです。最近流行のレトロコンセプトのカフェも悪くはないですけれど、長い間続ける事は出来るのかどうか?と思うと、長い歴史を積み重ねて作ってきたこの雰囲気、やはり、同じ「古い」でも一朝一夕では出来ない何かが漂っているのです。

昭和風を売りにしたお店は沢山ありますけど、ボンカレーやオロナミンC、由美かおるさんのアース渦巻きなど、ホーローの看板が飾られ、駄菓子のおつまみに、BGMは昭和歌謡という、おきまりの昭和パターン。どこに行ってもこれだから、逆に没個性になってしまってるような気がします。やはり無理矢理作ったのとは違う自然の古さ、こちらは天然物です。

店内

お店はウッディーで、アンティーク調の家具でまとめられていている…というより、長年かけてアンティークになってしまったというのが正しい言い方でしょう。

何気にこのお店を愛している有名人も多く、キリンジの「グッデイ・グッバイ」というプロモビデオの撮影にも使用されています。ちょうどこのテーブルの向こう側に座って、歌っていました。キリンジは江古田在住だったらしく、インタビューで好きな江古田の喫茶店の名前をいくつか出していた事もあります。

そしてこのお店は、三谷幸喜さんのエッセイ「ありふれた生活」に登場したことでも知られているんです。学生時代にここで食べた「粗食」というメニュー、コンソメ風のスープの中に、ご飯や鶏肉、チーズなどの入った、洋風お茶漬けみたいな物なのですが、それが懐かしくなって家で作ってみたら、奧さんの小林聡美さんに「貧乏くさい」と言われてしまったのだとか。そりゃそーかも、だってプアハウスのメニューなんですから。

お一人様のお客さんが多く、それぞれが静かにマンガを読んだり、雑誌を読んだり、食事したりしているので店内は静か。JAZZが心地よく流れています。

なので、ワイワイとおしゃべりするのには向いていません。だからと言って、しゃべると怒られるような頑固オヤジのお店とは違います。それぞれの、距離感がそんな雰囲気を作っているだけなのです。大騒ぎせず談笑するぐらいがベスト。

今流行りのマニュアル化したフレンドリーさが売り物のカフェに慣れた人には、ちょっと敷居が高いかもしれませんが、どちらかとういと、老舗の喫茶店などに多い、こんな適度な距離感のある雰囲気の方が好き。もしかしたら、複数で行くより、一人で行った方が居心地のいいカフェかもしれません。誰にも邪魔されず、自分の世界にひたれるから。

極辛カレー

実はこちらのお店、喫茶店でありながら、カフェマニアよりもカレー好きの間で有名なお店。グルメ雑誌などで、こちらのカレーが美味しいと何度も取り上げられているからです。

名物のカレーは一種類だけ。「極辛カレー」は1000円。

ルーはスープカレーと言ってもいいほど、サラサラしていています。黄色っぽく浮かんでいるのは、ゆで卵を刻んだもの。付け合わせには、ゴーダーチーズと春菊。福神漬けでも、らっきょでもなく春菊というのが不思議な感じですが、パクチーの代わりといえば、イメージしやすいんじゃないでしょうか?

江古田には本格インド料理店が何店もあるにもかかわらず、ここのカレーが一番辛いと評判です。ブログなどに書いてある皆の感想は「辛いけどくせになる」。そこまで辛いと言われると、自分もお笑い芸人なみのリアクションをしてしまうかもと、少し不安になり、恐る恐る口に運んでみました。

あれ?思ったより辛くない…。チーズやゆで卵で中和されたのかな?…と思っていると、ジワジワと来ました。ハバネロみたいに「ヒー!ガツン!」と来る辛さではなく、舌にじんわり来る胡椒のの辛さです。半分ぐらい食べるとジワジワとした辛さが積み上げられて、汗となって額から。最後の峠を越すあたりで、これが「極辛カレー」なんだというのが実感出来ます。しかしながら、この食べ終わった後の何とも言えない爽快感。皆がクセになるというのが、わかった気がしました。

アイスコーヒー

セットで頼んだアイスコーヒー(320円)を頂きながら、余韻に浸ります。最近、こんな感じで一人の時間にひたれるお店って、少ない感じがします。

35年の間にテーブルなどにつけられた、小さなキズ。もしかしたら、その一つ一つに小さなドラマがあるのかもしれない。もしかしたら、このテーブルで若き日の三谷幸喜さんが芝居の構想を練り、出来たのが東京サンシャインボーイズのあの芝居なのかもしれない。一人だからこそ、そんな妄想をしてみたり。そう考えていると、流れているJAZZのが、ドラマやお芝居の一幕の終わりを告げるBGMに聞こえてきたりもします。最近、こんなにじっくり考えたりした事なかったですねえ。

こういう喫茶店を色々発見していきたい。自転車で23区のカフェを巡ろうと、このブログ、チャリカフェを始めました。

■poor house(プアハウス)
■東京都練馬区栄町39-1
■営業:11:30~23:00
■定休日:火曜、第1・3水曜(祝日は営業)
場所はこのへん

自転車で23区カフェ制覇の旅…ただ今、1/23区。

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