トレボン(江古田)

トレボン

最近、江古田で何を食べようかと思った時、すぐに「あの店のアレ」というのが浮かばなくなってしまいました。1つは老舗が消えてチェーン店が多くなってしまった事。そして閉店したお店は接骨院かホルモン焼き屋に業態展開している事で、ランチの選択肢が減っているのです。

喫茶も、トキ、プアハウスと江古田を代表するお店が消えてしまった中で、ふんばり続けてくれているのがトレボンです。困ったらもう、ここしかないでしょう。

先日、新江古田のピンクのインスタ映え店に行ったので、真逆の少しアンティークな雰囲気のお店へ。お一人様のお客さんが多く、静かな時間が流れています。僕はこのお店の空気にひたりながら、外はもう、俺の知ってる江古田じゃないなあ。行く店がない…と思ったら切なくなってきました。

そういえば、昨日の放送で、リスナーから急に切なくなる時がありませんか?というメールがあり、それを読んだら、反響があり、それぞれの切なくなる瞬間が送られてきました。

息子が大学入学と同時に、一人暮らしを始めたのだけど、息子の面倒を見るのが全てだったので、家に残されて一人の時に何をしていいかわからないという主婦。夜勤なので昼間に家にいるのは普通なのに、家から出た時に近所の人の視線が痛いという人。休みの日、実際に会話したのがコンビニで「お弁当暖めますか?」「お願いします」だけだった。…など、いろんな切ない瞬間が送られてきて、ほろ苦いなんだけど、みんなが「わかるー」と共感し、盛り上がりました。

ラジオでの僕のネタのチョイスなんですけど、普段思っているのだけど、口にはしていない事。他の人には言っていないこと。そういうのを一つ、ポーンと投げると、細かいところは違っても、共感のメールが殺到します。だから、自分のこういう感情を再確認するのも大切なんだなあと思います。そして、忘れないように、気づきのメモをしておきます。

さて、頂いたのは、クロックムッシュと、キリマンジャロ。もう多くが変わってしまった江古田の中で、変わらない味。この写真をインスタに載せたら、日芸OBの業界関係者達から、トレボンのクロックムッシュ懐かしい!と、反響がありました。昔の学生達はトレボンに入り浸っていたんですね。

こっちも別の角度でネタになるなあ「青春の味って何?」。学校の近くの懐かしのお店。部活の帰りによく食べていたもの。貧乏で空腹を満たしていたメニュー。学食メニュー、一人暮らしの自炊。彼女の手料理。

あ、これ行けるな。

■カフェ・ド・トレボン
■練馬区小竹町1-56-3(小林ビル2F)
■営業:10:00~22:30
場所はこのへん

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さよならプアハウス

プアハウス

飲みながら、ブログの写真を集めていたら、涙がこみあげてきました。
ついに恐れていたことが起きました。長くに渡って休業していたプアハウスが、閉店する事を発表したのです。江古田からトキが消え、やぐらが消え、お志ど里も消え、そしてプアハウス。名物店が次々に姿を消して行きました。

プアハウス

奥様が怪我をされたとの事で、長らく休業。今年の夏前に様子見で営業時間を短くしてお試し営業を始め、ホッとしていたのですが、再び長期休業へ。そしてついに閉店へ。

看板

創業は1967年。学生時代の三谷幸喜さんも通ったという江古田の喫茶店。

看板

42年続いたお店の看板も、そっと外されてしまいました。

店内

キリンジの「グッデイ・グッバイ」のPVロケ地としても使われ、ファンの間では聖地ともされています。

このPV、よくファンがYouTubeにあげては削除されていましたが、ワーナーがオフィシャルで載せてくれました。本人達以外の登場人物、お店の方は役者さんです。

店内

季節の草花が飾られた店内の奥にはカウンターがあり、いつもご主人は顕微鏡で何を覗いていました。勇気を持って一度覗かせて貰えば良かったなあ。

極辛カレー

こちらの名物、一番人気は極辛カレー1000円でした。付け合わせには福神漬けやらっきょうじゃなく、春菊やキュウリのスライス、ナッツ類が小皿に添えられてきます。そして提供する前に「ご飯に胡麻はおかけしていいですか?」と聞かれました。ペッパーがガツンと効いたカレーで食べるうちに汗がじんわり。我が江古田では、このカレーを食べずにカレーを語る事なかれ的な名物カレーで、江古田で一番辛いと評判でした。

チキン

辛いだけじゃなく、ごろりとしたチキンも旨かったんだよなあ。死ぬ前に何を食べたい?的な質問されたら、プアハウスのカレーと答えていたのですが、死ぬ前に食べられなくなってしまいました。どなたか、レシピを受けついでいないものでしょうか?

粗食

こちらは、もう一つの名物である洋風のお茶漬けも「粗食」。三谷幸喜さんも好きだったメニューとしてご自身のエッセイの中で取りあげています。
コンソメベースのチーズ雑炊で、760円。お茶漬けのようにサラサラと食べられるので、夏ばてのような時に嬉しいメニューなのですが、カレー味のチキンもゴロリと入っていて、食べごたえもありまあした。
体にカツを入れたい時は極辛カレー、体をいたわりたい時は粗食を食べていたなあ。

サンバル

こちらは、プアハウスの夏限定メニュー。「サンバル御飯」840円。
サンバルとはインドネシア風のピリ辛調味料の事。小松菜、ゆで卵、きゅうり、甘辛挽肉、そして、ゴマとしそが散りばめられ、真ん中に唐辛子ペーストのサンバル。出されたときに「よく混ぜてくださいね」とアドバイスされるのですが、適当にかき回しただけだと辛みの塊がガツンと当たり、意外な辛さに驚く事もありました。以前は夏の風物詩として出されていたのですが、ここ何年かは登場せず、夏になると今年は復活しているかと偵察に行っていました。

DSC00482

プアハウスというとご飯物が有名ですが、実はパスタも絶品でした。スパゲティ・プレーントマト。840円。

一瞬、ペペロンチーノみたいに見えたりしますが、実は、この丼に底にトマトソースが眠っています。トマトというと、普通は上にトマトソースがかかっていますが、こちらは下に隠れているタイプで「よくかき混ぜてお召し上がりください」と、運ばれてきた時に言われます。そう考えると、よくかき混ぜてお召し上がりくださいシリーズが多かったんですね。食べ始めはあっさりしているのですが、底の方に行くに従って、徐々にいい具合にソースが絡まってきます。そして爽やかなトマトの酸味が!シンプルですが、洗練されていて美味かったです。

いわしのトマト煮

パンのメニューも美味しくて、いわしトマト煮のチーズ焼きは、940円。パリっとしたフランスパンの上に、イワシの甘みとトマトの酸味、それをまろやかに包むチーズ。パンといえば某有名店が人気ですが、江古田の喫茶店にも人気メニューがあります。こちらはもう食べられないので、トレボンの、クロムムッシュ。モカのBセットハーフとかは一度は食べておきましょう。

アメリカン

セットのコーヒーは、アメリカンが250円でつけられました。当たり前の事なんだけど、コーヒーもおいしいです。

アイスコーヒー

セットのアイスコーヒーは、320円。もちろん、こちらも美味しい。

神田食品研究所「Kanda」のメロンシロップを使ったクリームソーダは、他とは違い少し大人の味でした。

実は、このブログを始めようと思ったきっかけが、このお店プアハウスです。都内にある名物店の名物な一品を探っていこう。そして自転車で23区を制覇しようと思い「チャリカフェ」と名付けたのです。当時は全く無かったこの「チャリカフェ」という言葉も、今ではロードバイク乗りが集まるお店の総称のように使われていますが、その言葉が生まれたびもプアハウスがきっかけなのです。このお店が無かったから「チャリカフェ」という言葉も生まれなかったかもしれません。

このブログにも多分最多登場回数のハズ。長い間お世話になりました。ありがとうございました。そして美味しい料理、ごちそうさまでした。

初回の記事「プアハウス」はこちら。

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