さよならプアハウス

プアハウス

飲みながら、ブログの写真を集めていたら、涙がこみあげてきました。
ついに恐れていたことが起きました。長くに渡って休業していたプアハウスが、閉店する事を発表したのです。江古田からトキが消え、やぐらが消え、お志ど里も消え、そしてプアハウス。名物店が次々に姿を消して行きました。

プアハウス

奥様が怪我をされたとの事で、長らく休業。今年の夏前に様子見で営業時間を短くしてお試し営業を始め、ホッとしていたのですが、再び長期休業へ。そしてついに閉店へ。

看板

創業は1967年。学生時代の三谷幸喜さんも通ったという江古田の喫茶店。

看板

42年続いたお店の看板も、そっと外されてしまいました。

店内

キリンジの「グッデイ・グッバイ」のPVロケ地としても使われ、ファンの間では聖地ともされています。

このPV、よくファンがYouTubeにあげては削除されていましたが、ワーナーがオフィシャルで載せてくれました。本人達以外の登場人物、お店の方は役者さんです。

店内

季節の草花が飾られた店内の奥にはカウンターがあり、いつもご主人は顕微鏡で何を覗いていました。勇気を持って一度覗かせて貰えば良かったなあ。

極辛カレー

こちらの名物、一番人気は極辛カレー1000円でした。付け合わせには福神漬けやらっきょうじゃなく、春菊やキュウリのスライス、ナッツ類が小皿に添えられてきます。そして提供する前に「ご飯に胡麻はおかけしていいですか?」と聞かれました。ペッパーがガツンと効いたカレーで食べるうちに汗がじんわり。我が江古田では、このカレーを食べずにカレーを語る事なかれ的な名物カレーで、江古田で一番辛いと評判でした。

チキン

辛いだけじゃなく、ごろりとしたチキンも旨かったんだよなあ。死ぬ前に何を食べたい?的な質問されたら、プアハウスのカレーと答えていたのですが、死ぬ前に食べられなくなってしまいました。どなたか、レシピを受けついでいないものでしょうか?

粗食

こちらは、もう一つの名物である洋風のお茶漬けも「粗食」。三谷幸喜さんも好きだったメニューとしてご自身のエッセイの中で取りあげています。
コンソメベースのチーズ雑炊で、760円。お茶漬けのようにサラサラと食べられるので、夏ばてのような時に嬉しいメニューなのですが、カレー味のチキンもゴロリと入っていて、食べごたえもありまあした。
体にカツを入れたい時は極辛カレー、体をいたわりたい時は粗食を食べていたなあ。

サンバル

こちらは、プアハウスの夏限定メニュー。「サンバル御飯」840円。
サンバルとはインドネシア風のピリ辛調味料の事。小松菜、ゆで卵、きゅうり、甘辛挽肉、そして、ゴマとしそが散りばめられ、真ん中に唐辛子ペーストのサンバル。出されたときに「よく混ぜてくださいね」とアドバイスされるのですが、適当にかき回しただけだと辛みの塊がガツンと当たり、意外な辛さに驚く事もありました。以前は夏の風物詩として出されていたのですが、ここ何年かは登場せず、夏になると今年は復活しているかと偵察に行っていました。

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プアハウスというとご飯物が有名ですが、実はパスタも絶品でした。スパゲティ・プレーントマト。840円。

一瞬、ペペロンチーノみたいに見えたりしますが、実は、この丼に底にトマトソースが眠っています。トマトというと、普通は上にトマトソースがかかっていますが、こちらは下に隠れているタイプで「よくかき混ぜてお召し上がりください」と、運ばれてきた時に言われます。そう考えると、よくかき混ぜてお召し上がりくださいシリーズが多かったんですね。食べ始めはあっさりしているのですが、底の方に行くに従って、徐々にいい具合にソースが絡まってきます。そして爽やかなトマトの酸味が!シンプルですが、洗練されていて美味かったです。

いわしのトマト煮

パンのメニューも美味しくて、いわしトマト煮のチーズ焼きは、940円。パリっとしたフランスパンの上に、イワシの甘みとトマトの酸味、それをまろやかに包むチーズ。パンといえば某有名店が人気ですが、江古田の喫茶店にも人気メニューがあります。こちらはもう食べられないので、トレボンの、クロムムッシュ。モカのBセットハーフとかは一度は食べておきましょう。

アメリカン

セットのコーヒーは、アメリカンが250円でつけられました。当たり前の事なんだけど、コーヒーもおいしいです。

アイスコーヒー

セットのアイスコーヒーは、320円。もちろん、こちらも美味しい。

神田食品研究所「Kanda」のメロンシロップを使ったクリームソーダは、他とは違い少し大人の味でした。

実は、このブログを始めようと思ったきっかけが、このお店プアハウスです。都内にある名物店の名物な一品を探っていこう。そして自転車で23区を制覇しようと思い「チャリカフェ」と名付けたのです。当時は全く無かったこの「チャリカフェ」という言葉も、今ではロードバイク乗りが集まるお店の総称のように使われていますが、その言葉が生まれたびもプアハウスがきっかけなのです。このお店が無かったから「チャリカフェ」という言葉も生まれなかったかもしれません。

このブログにも多分最多登場回数のハズ。長い間お世話になりました。ありがとうございました。そして美味しい料理、ごちそうさまでした。

初回の記事「プアハウス」はこちら。

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“さよならプアハウス” への2件の返信

  1. 東京から離れてもう何年も経ちます
    昔江古田に住んでいてよくここのカレーを食べに行ってました。
    実は、自分がかつて住んでいたアパートが火事で消失していたという情報をつい最近知り、ショックを受けていたばかりなのにまた・・・
    木造の古い駅舎、パーラートキ、お志どり、アパート、プアハウス・・・自分の思い出の江古田がどんどん無くなって行く
    本当に悲しくて残念です。

  2. ああ、行ったことがないまま、閉店されてしまった……。行きたいところにはすぐに行っておくべきですね。人も店も料理も一期一会の精神で。

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