高円寺から世田谷に向かって、斜めに真っ直ぐ走る道があります。
東京都道428号高円寺砧浄水場線。
通称、水道道路。
大正時代から昭和中期にかけ、多摩川の水を砧から野方経由で、大谷口まで送るため
地下に埋められた水道管があり、その上を走るのが、水道道路です。
自転車乗りなら覚えておいた方がいいよとアドバイスされたこの道。
青梅街道と環七の交差点から、すぐ近くのここが入り口です。
正直申してクロスバイクは、まだ初心者。
お尻の痛みがやっとおさまりつつある程度の、ケツの青い自転車乗りです。
いろんなアドバイスがホントに助かります。
ごらんのように、どこまでも真っ直ぐな道が続いています。
永福町のあたりで、井の頭線とクロス。
環八など大きな通りを渡る時、渡れる信号の所まで迂回するので
続きがどこだかわからなくなるのですが、そんな時に、確認するのがこの方法。
この道は、水道管を守るために4トン以上の車は通ることが出来ず、
道の入り口付近には、こんな看板が立てられているので、
路地を覗いて、これがあったら正解です。
さらに、車の車幅を制限するために、こんなポールも立てられています。
…という訳で、大きな車が通らないので、自転車にとって優しい道。
自転車乗りなら覚えておいた方がいいという意味がわかりました。
ちなみに正面に見えている高架は小田急線で、祖師ヶ谷大蔵付近です。
こちらは多摩川の支流でもある野川。
国分寺あたりからはじまり、二子玉川の鉄橋の下あたりで多摩川に合流します。
橋の名前は「水道橋」。
欄干の外に、青い水道のパイプが走っているのがわかりますでしょうか?
水道管を、川をまたいで渡す為の橋なのです。
ちなみに、東京ドーム近くの水道橋は、神田上水を渡す為の橋だそうです。
車で走ってたらこんな事も知ろうとしなかったのでしょうが、
人力で必死になって来ただけあって、元をと取ろうと色々観察、
そして家に帰ってから気になる事を調べたり。
これが自転車旅のいい所なんでしょうね。
荒玉水道道路から多摩堤通りへ。
その名が示すとおり、多摩川沿いの道路。
こうなると、二子玉川も射程圏内です。
先ほどの野川に再び合流し、川沿いの遊歩道を走ります。
この日は灼熱の真夏日。
正面に見える二子玉川の高層ビル群が、砂漠のオアシスのように浮かんで見えます。
あともう少し…。あともう少し…。
ラクダに乗った旅人達も、きっと同じような気持ちになったんでしょうねえ。
そしてたどり着いたのが、二子玉川。
駅は「ふたこたまがわ」だけど、地名の由来となった対岸の二子は「ふたご」。
ここにあった渡し船は「ふたごのわたし」と呼ばれていたそうです。
細川たかしさんの歌で有名な、江戸川の「矢切の渡し」も、
地名は「やきり」なのだけど、バス停などは「やぎり」で、歌も「やぎり」と歌っています。
地元の江古田も駅は「えこだ」だけど地名は「えごた」。
色々とややこしいですね。
高層ビルの麓に位置するのが「チチカフェ」です。
高級住宅地の中にある、テラスのあるカフェなのですが、
もう汗だくだったので、テラスが空いてて良かったー。
だらだらの汗で室内に入っていくのは、しのびなかったもので。
※この時訪れた後に、サイクリストが増えたせいか、バイクラックも設置されました。
頂いたのは和風ドライカレー。1000円。
隠し味に味噌を使ったカレーで、こちらの人気メニュー。
和風というだけあって、味噌がスパイスの尖った部分を消してくれ、
マイルドというか、優しい味に。
半熟の目玉焼きを崩しながら食べれば、さらにマイルドに。
ルーの中にはクルミが散りばめられているのですが、
ナッツ系でありながら、和風の香りがします。
東北とかの山里にいくとクルミの料理などもあったりするのですが、
そんな田舎の風景を思い出させてくれる味です。
ランチメニューには、200円プラスでアイスコーヒーなど、
ソフトドリンクをつける事も出来ました。
ところで、正面に並ぶ白い物は、工事用の目隠し。
本来なら、あそこに河原の風景が見えるハズなのです。
工事中なのを知らずに、練馬から自転車で来た事を告げると、
他の河原が見えるカフェも親切に教えてくれました。
そんなつもりではなかったのですが…。
本来であれば、河原に吹いているであろう風を感じながら、しばし休憩。
川が見えなくても十分に気持ちいいのだから、
見えたらもっと素敵なんでしょうねえ。
■CHICHICAFE(チチカフェ)
■東京都世田谷区多摩川1-2-8
■営業:11:00~22:00(L.O)
■定休日:不定休
■場所はこのへん
■お店のサイト
そういえば、昔テレビ番組で見た事を思い出しました。
この二子玉川に堤防を作る事になった時、反対したのは川沿いに立つ料亭。
その河原を借景としてお店を作っているので、景色も売り物の一つ。
だから、例え洪水で沈んでもいいから堤防を作る事には反対したと。
なので、お店の背の方に堤防があるのでした。
そういう経緯があるのにまた内側にも堤防を作ろうとしているので、反対運動が起き中断。
そのために、景色も見えないし、堤防も見えないという
躊躇半端な状態が続いているとの事です。
お店の人に教わって、自転車で河原へ降りられる場所へ。
お店の前から、こういう風景が見られなくなるというのは、
やはり大きな損失ですね。
帰りは246から環七を経由して帰宅。
正直こういう幹線道路を使った方が、時間がかからないのですが、
自転車で走っていても一つも面白くありません。
効率を追求して作った道沿いは、同じようなお店が並び、同じような風景が続きます。
かつてはコンビニのようなPOSシステムが効率的と重宝されましたが、
結果、金太郎飴的な商品が並び、個性が埋没し、
人力で個性の違いを出す時代になってきました。
自転車で旅をしながら、効率重視の街作りというのも、
そろそろ時代遅れになって来ているのでは?と、ふと思いました。
今回のルート。
自転車で23区カフェ制覇の旅…ただ今、10/23区。