ボンナ(本郷三丁目)

ボンナ

今流行りのカフェに共通するキーワードは「ミッドセンチュリー」。
ミッドセンチュリーとは直訳すると世紀の半ばで、
20世紀の半ば、1940年代から60年に作られた家具の事。
当時作られた物は、長い間使えるロングライフデザインな物が多く、
レトロな雰囲気を醸し出しながら、非常にシンプルで機能的な物が多いのが特徴です。

レトロモダンなんて呼ばれる事もあったりするのですが、
東京大学の目の前にある「ボンナ」も、そんな言葉の似合うお店です。

ボンナとはラテン語で「知性」。
やはり東大前のお店って感じですね。

ステッカー

本郷界隈は、古い歴史をもつ喫茶店が多いのですが、
こちらも、倉本聰さんが東大時代に通ったとか、
丹下健三さんや、黒川紀章さんも通ったとか、
大御所達が学生時代に通ったといわれるだけあって、歴史は長いハズなのに、
窓にはフリーでWi-Fiを使える事を知らせるステッカーが貼られていたりして、
パソコンやiphoneなどを使う人達にとって嬉しいお店だったりします。
古さと新しさが、何事もなかったかのように共存しているのです。

店内

店内もミッドセンチュリーな感じ。

カフェの定番でソファーであるカリモクは、
ナガオカケンメイさんが見いだすまでは、
自衛隊や中小企業の応接室からしか注文のない、古いイメージの家具だったのですが、
60年代にデザインされた物にスポットをあてる「60VISION」で注目されてからは
レトロ風味でありながら変わらぬデザインを持つこれらの物が、オシャレという
新しい価値観に。

そんなナガオカケンメイさんの考えにのったお店が多いのですが、
こちらは、そんなブームが起きる前からこんな感じで作られ、
お店自体がミッドセンチュリー。

なんか横浜のニューグラウンドホテルとか、お茶の水の山の上ホテルとか、
そんなクラシックホテルにありそうなラウンジです。

店内

そのせいか、この付近の歴史ある喫茶店は年配客が多いのに対し、
こちらのボンナは若いカップルや女性客が多かったりもします。

コーヒー

コーヒーは350円。

平日のお昼ぐらいは、東大関係者やビジネスマンなどで混み合うらしいのですが、
行ったのは土曜日だったので、ゆったりとした空気が流れていました。
ソファーに身を任せて、のんびりと。

民芸品

かなりインテリアにはこだわって作られたお店なのに、
なぜか店内には、どこの国かわからないような、不思議なデザインの民芸品が。
店内と民芸品は、木の質感としては統一感はあるのですが、
デザイン的には、ミスマッチという感じ。

聞いてみると「家内の趣味なんで、どこの物かわからないです」…と。

うちでも実家を建て直した時に、父親がサイドボードを作ったのですが、
たぶん洋酒などを並べるつもりであったろう場所に、
お婆ちゃんや母親の作った手芸品が並べられ、
オシャレになるハズだったインテリアが、一瞬にして田舎の家に。
その時に、父親がなんとなくムッとしていたような気がします。

これだけ先見の明とセンスのあるご主人ですから、
インテリアには人一倍こだわりはあったでしょうが、
その中に奥様の民芸品を並べるという所に、器の大きさと愛を感じます。

そう、愛が漂う喫茶店なのです。

■ボンナ
■東京都文京区本郷6-17-8
■営業:9:00〜19:00
■定休日:日、祝
場所はこのへん
お店のサイト

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港や(根津)

竹久夢二美術館

自分には絵心がありません。
だから絵が上手い人に、すごい憧れます。
日大芸術学部のデザイン科の学生とイベントをやった時も、
打ち合わせしながら自分の手帳などに、
スラスラと絵を描いているのをみて、羨ましいと思ったものです。

絵は好きなんです。
中学ぐらいまでは、よく絵を書いていましたし、
ノートの片隅には、落書きや似顔絵も描かれていたのものです。
先生の似顔絵とか得意な方だったと思うんですよね。
皆に似てるって言われてたし。
今考えると、さくらももこさん系のタッチだったと思います。
ちびまるこちゃんのお爺さんを見たとき、「あ!理科の先生だ」と
自分が描いた似顔絵を思い出したもの。

それが、高校に入り進学とか意識して、
上手く描かなきゃと思ったとたんに、ピタリと描けなくなりました。
上手くいかない…自分は下手だ…と思ったとたんに、描くのも楽しくなくなったのです。

以来、トラウマになったのか、絵など描いていませんが、見るのはあいかわらず好き。
なので、時折、気が向くと美術館めぐりなどしたくなります。
今回は文京区の東大裏にある、竹久夢二美術館に行ってみました。

ポスター1

竹久夢二美術館は、
明治・大正・昭和の挿絵画家による作品が展示されている弥生美術館と併設されていて、
入場料は、両館合わせて900円。
順路も、まず弥生美術館をみてから、別館の竹久夢二美術館へ回るように出てきます。

この日、弥生美術館で行われていたのは「挿絵の黄金時代展」。
この企画展の事どころか、弥生美術館の事も、ここに来てから初めて知ったのですが、
これが思いのほか良かったのです。

挿絵画家の岩田専太郎のコレクションが展示されていたのですが、
今で言う雑誌の表紙やグラビアに相当する美人画、
そして、セクシーなカットの挿絵、
谷崎潤一郎の「痴人の愛」の挿絵など、SMチックなものまであります。

当時の挿絵画家の地位は高く、そして人気商売。
今の雑誌では「篠山紀信があの女優を撮った」という売り文句がありますが、
当時は、岩田専太郎が描いた美人画が、その役割を担っていたのです。
今では女優さんの写真が表紙の週刊誌も、当時は岩田専太郎の美人画でした。

展示物の脇にあった説明書きによると、岩田専太郎は相当モテたそうです。
美人に撮れると評判のカメラマンがモテるのと一緒なんですかね。
悪女っぽい女性が好きだったそうで、だから美人画も色っぽいんでしょうか。

現代で、役柄で悪女というと、黒革の手帳のイメージもあり、
米倉涼子さんの名前があがったりしますが、
個人的には体育会系すぎて、色っぽいイメージではないんですね。
(当社比)
当社としては、井川遥さんみたいな方を、
癒し系の皮を被った狼みたいな悪女キャラとして、推したいと思います。
…って、悪女をキャスティングする権利とか持ってませんけど。
話はそれましたが…
岩田専太郎の絵は、井川遥さん的色っぽさがあると言いたかったのです。
すいません、支離滅裂で。

弥生美術館には、その他の挿絵画家達の作品も並んでいるのですが、
最初、1カットだった挿絵が、1ページに何枚も並ぶようになり、
セリフのように文章がレイアウトされ、コマ割りが誕生。
挿絵からマンガに移行するような歴史のレイアウトが面白かったです。

ポスター2

そして別館の竹久夢二美術館で行われいた「図案と装飾展」。
竹久夢二も美人画として有名で、もちろんそれも展示されているのですが、
大正の時代に、フォントを研究していたのが面白かったです。
当時から絵と同様に、文字のデザインにもこだわっていて、
絵のニュアンスに合うように文字の形とバランスが考えられているのが凄かったです。

今でこそ、パソコンにいろいろとフォントが入っているけれど、
明治の時代に自分でそれを考えてやっちゃってるって、やっぱり天才ですね。

今、何を考えてデザインすると、将来それが先見の明と言われるようになるんでしょう?
思いつかないのは凡人の証拠ですね。

看板

そんな絵からのパワーと刺激をもらいながら、
美術館に併設されているカフェ「港や」へ。
竹久夢二は、大正時代に自分のデザインした小物を売る「港屋絵草紙店」を開いていて
それにちなんだ名前です。

店内

お店は2階がメインフロア。

窓

竹久夢二の絵が飾られた店内からは、美術館の庭を望む事も出来ます。

メニュー

注文したのは、カプチーノの「夢のあと」500円。
夢二のカット絵が描かれてくるというのですから、楽しみです。

カプチーノ

この日は「千鳥」でした。
後で他の人のブログを検索してみたら、花だったり夢という漢字だったりしたみたい。

夢二の絵を思い出しながら、ゆっくりと頂きました。

■港や
■東京都文京区弥生2-4-3 弥生美術館内
■営業:10:30~17:30(LO.16:45)
■定休日:月曜(祝日の場合、翌火曜)
場所はこのへん
美術館&港やのサイト

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