今、板橋区立美術館で開催されている「焼け跡と絵筆」がなかなか面白いです。
しかも入場無料!
僕の住んでいる江古田のお隣、東長崎から椎名町にかけては、
戦争の前後、画家達のアトリエ村がありまして、
池袋モンパルナスと呼ばれていました。
そこに住んでいた画家達の展覧会です。
近所で、どういう絵が描かれていたのか非常に興味がありました。
第二次世界大戦の前後の頃です。
この地区には、特にシュルレアリスムに傾倒する画家が多かったのですが
戦争の色が濃くなると、特別高等警察の検査が、たびたび入ります。
福沢一郎や、瀧口修造などは、共産主義との関係を疑われ、逮捕されたりも。
なので、画家達は身近な物を描くようになりました。
こちらは、松本竣介の「りんご」。
戦後は、池袋を中心とした焼け野原、廃墟を題材とした物が増えます。
こちらは空襲にあった池袋の小学校。
その他、戦後の闇市、今のサンシャインの所にあった巣鴨プリズンなどを描いた
高山良策の「1948年」という作品など、
知っている場所が題材になっているので、
「あ!あの場所」と、身近に感じられます。
こちらは、その高山良策の「矛盾の橋」という作品。
戦後の広島を描いたもので、右上は丹下健三の平和記念館。
左下の鉄骨は原爆ドーム。
そして、太陽の塔みたいなのは、平和の橋の欄干。
都市が復興していく中で、被爆者の救済が遅れている矛盾を
描いた絵だと言われています。
この作者の「高山良策」さん。
その後、造形作家に転身するのですが、実はみんなが知っているある物の作者です。
それは大魔神。
戦争中に多くの画家が、国策映画の特撮用のミニチュア制作にかかわりましたが、
その後、その経験を生かし、人形劇などの美術を担当するように。
そしてたどり着いたのが、大魔神!
この大魔神の事は知らずに展覧会を観に行っているのですが、
家に帰って来てから、気になる絵の作者を調べているうちに、
ここへたどり着きビックリ!
しかも円谷で、ウルトラシリーズの怪獣も数多く作っていて、
ウルトラマンのレッドキングが代表作。
ガラモンやカネゴン、ゼットンなども高山さんの作。
そういえば、立教大学裏のつけ麺屋「BASSOドリルマン」の以前の名前が
「ゼットン」だったのですが、
池袋モンパルナス出身の高山良策さんが、
ゼットンの生みの親と知って、その地の店名としてつけた訳ではないよな。
さすがに。
さて、板橋区立美術館の前にあるソフトクリーム屋さん。
いつも気になっていたのだけど、寄らずじまい。
この日、初寄り道。
おう、濃厚で旨いではないですか。
また来よう。
荒川サイクリングロードの帰りもこの道通るしね。
美術館では、池袋モンパルナスの当時を描いた地図が売られていたので購入。
50円。
池袋の丸井がある所って小学校だったんですね。
かつては、池袋と椎名町の間にも駅があったのか。
と、いろいろ面白いです。
その池袋モンパルナス跡を観に行こうと川越街道を行くと、
ロボットレストランの車が。
そして、千川の「エコール・クリオロ」の前にはフェラーリが。
こういう車に乗っている人って、お金持ちの割り路駐多いですよね。
なんか、ロボットレストランにフェラーリと、
バブルのような光景で、儲かっている人は、儲かっているんだなあ。
この西向不動尊のある近くに「さくらが丘」パルテノンがあったらしいです。
周囲を探索すると、民家の壁に「さくらが丘パルテノン」の説明看板が。
やはりこの辺です!
当時のアトリエ村を再現したジオラマ模型の写真。
この建物って構造が似ているのだけど、どうだろう?
この辺りで唯一残っている、木造平屋の古民家です。
という訳で近所にまつわるアートと、そこから派生した物がつながって、
絵を鑑賞した後も、その足跡を辿ってみたりして、
なんだかひと味違った絵画鑑賞でした。