昔、好きだったバンドの名盤を今、改めて買おうとした時、「デジタルリマスター盤」というのを手にする事はないでしょうか?過去の音楽などは、名盤というものでも、今改めて聴くと、「え?こんなに音がスカスカだったけ?」と驚く事があります。当時最先端だった録音技術も今となってはそれほど高くなく、耳が現代の録音レベルに慣れてしまっているので、過去とのギャップを感じてしまうのです。それを今聞いても、遜色ないレベルに引き上げるのが、リマスターという作業です。
僕は、料理の世界でリマスターをかけたい物があります。それは、レストランの付け合わせの「サラダ」です。特にチェーン店の。
元々はサービスでつけていたはずのサラダが、サービスなんだから、この程度でいいだろうという一品に堕落しています。機械的にカットした野菜に、業務用のドレッシングをかけた物ばかり。サービスでも「嬉しい!」と思う一品になかなか出会えません。しかも、自分たちも、それに気づかないうちに慣れてしまっています。
それに気づかせてくれたのが、大山のレストランオオタニの手作りマヨネーズのキャベツサラダで、
付け合わせのサラダでも、こんなに丁寧に作れば感動出来るんじゃん!…というのを提示してくれました。
もちろん、丁寧に手作りしてくれると嬉しいですが、今なんて、市販品のドレッシングだって、かなり旨いものが多いのだからドレッシング選びだけでも、劇的に旨くなるはずです。付け合わせのサラダって、現代の食のレベルからすると低いので、古い音源のように、リマスターしたいのです。
さて、なんでこんな事を書いたかというと、新江古田の江古田珈琲焙煎所の手作りのサラダも旨かったからです。やれば出来んじゃん!サラダです。
たまごトーストは、380円でサラダ付き。コーヒーは、エチオピア・モカ・イルガチェフェ・ナチュラル・コケ、450円。出来そうで、なかなか出来ない、普通のメニューを丁寧に作るという仕事。シンプルだからこそ、丁寧に作ったか、手を抜いたかで、その差は大きいです。
どこかの雑誌で、「付け合わせのサラダが旨い店特集!」とかやってくれないかなあ。今、「マツコの知らない世界」でやったら一発で、付け合わせのサラダブームが起きそう!そうすれば、全体のレベルがグンと上がるような気がします。
ここ最近、いろんな物を食べてて思うのは、サラダとかトーストとか、それこそナポリタンとかこんな物だろと思い込んでいた普通のメニューを、丁寧に旨く作るブームが、来てもおかしくないなあという事。
懐かしの東京ラーメンといわれる、荻窪の春木屋。そのオフィシャルサイトには、ラーメンのこだわりがこう書かれています。
お客様から「変わらない味」と言われる「変わり続ける味」
変えてはいけない味の幹を守りながら、研究し、毎日、少しずつ変化を続けて行くと、お客さんから「変わらずに美味しいね」と満足していただけると。だから、ただの懐かしの東京ラーメンに終わらず、現代でも人気店なんでしょうね。
サラダも、トーストも、ナポリタンも、まだまだ進歩出来る!そういう所にヒントがあるような気がします。
■江古田珈琲焙煎所
■中野区江原町2-7-19
■営業
10:30~19:00
■定休日:火曜
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