音楽が引き金となり、それを夢中で聴いていた頃を思い出し、ちょっぴりせつない気分になったりする事があります。引き金は、食べ物だったり、写真だったり、最近ではSNSのオススメに、懐かしい顔が出てくるというのも、思い出タイムスリップのきっかけの一つかもしれません。
このお店の近くの道を通ると思い出すのが、テレビ番組の構成作家をしていた時代です。正しくは構成作家見習い時代。
六本木通りから、全日空ホテルのあたりで左折し、赤坂に抜ける道は、テレ朝で仕事をして、TBSに向かう時によく通っていました。先輩がいればタクシーだったのですが、一人の時は徒歩。赤坂寄りにはお城の形のラブホがあったりして、いけない場所に来た感もあり、若かった当時、通るだけで心拍数が少しあがっていた気がします。
そんな道の中程に、今のラジオ番組を担当している制作会社があり、2週間に1度全曜日のスタッフが集まり、制作会議を行っています。すぐ近くに、旨いハンバーガーショップがあるのは知っていたのですが、いつも、会議の時間ギリギリに飛び込むので、ここまでお預け状態。
そこで、今回は早めに行って、ランチをしてから仕事に行くことにしました。赤坂と溜池山王のちょうど中間ぐらいにある、オーセンティックというお店です。
このお店、ランチは4時までなのですが、ラストオーダーが始まるちょっと前に行ったので、お客さんは、店内に僕一人。普段ならすぐにスマホを取り出しTwitterやらインスタなどを見てしまうのだけど、腕組みしながら、TV時代の懐かしい光景を思い出していました。一人だから雑音も聞こえず、ひたってしまったんでしょうね。
それはまだ放送作家見習いだった駆け出しの時代、扱いはほぼADと同じで、雑用、使いっ走りがメイン。先輩のタバコを買いに走らされたりしたのですが、売っている所の少ないレアな種類の物だったりすると、「売ってませんでした」と報告出来ず、とにかく探しまわりました。当時のテレビ業界は、今で言うブラック企業で、パワハラなんて当たり前。なので、怒鳴られるのが怖くて、そのレアなタバコを見つけた際に、次に言われた時用も買って、鞄にKEEPして置くという技も身につけたり。
TVの収録では、華やかな芸能人を遠目で見ながら、モデル会社から派遣されたアシスタントを目で追ってたなあ。仲良くなりたいけど、なかなかハードルが高かった。番組の打ち上げがあっても、そういう子達は、プロデューサーやら、チーフディレクターの脇が指定席で、僕らは、メイクさんのアシスタントとか、歌番組のバックダンサーとか、「ただいま修行中」のグループが出来て、飲みながら夢を語ってたなあ。
遠い目…。
テレビからラジオへと主戦場は変わったけど、その時代から、なんとか仕事を続けて来れた所は、自分を褒めてあげてもいいのではないかな。
あの頃、本当にお金が無くて、マクドナルドでビッグマックなんて注文出来なかった自分が、その頃を思い出しながら、1100円のチーズバーガーを食べています。ドリンクつけたら、+190円。
あの頃の自分は、ハンバーガーといえばマクドナルドで、こんなハンバーガーがある事さえ知りませんでした。
ふわっとしていて、鉄板で焼いた面がパリっとしたバンズ。シンプルな味付けのパティに、絡まるオーロラソースとチーズ。新鮮なレタスの食感。
おーい!あの頃の自分!君は、おっさんになってもその仕事を続けていて、旨いハンバーガーを食えるようになってるぞ!
■オーセンティック (Authentic)
■東京都港区赤坂2-18-19-101 赤坂シャレー2 1F
■営業
月〜金
11:00~16:00(ランチ)
17:30~21:30(ディナー)
土日祝
11:00~19:30
■場所はこのへん