百万円と苦虫女

主演・蒼井優、森山未來

アルバイト生活を送っているどこにでもいる女の子、
蒼井優演じる、鈴子。
ひょんな事から事件に巻き込まれてしまい、心を閉ざす。
「百万円貯まったら、この家を出て行きます!」
と家族に宣言し、百万円を貯めるたびに次から次へと引越しをして、
1人で生きて行く決心をする。
行く先々の街で様々な人たちと出会い、自分だけの生き方を見つけてゆく物語。

こう書くと「自分探しの旅」みたいだけれど、
劇中でも言っているように、逆に自分探しから逃げている旅。
人間関係や、しがらみなど、面倒から逃げているうちに、
結果として自分が見えてくるというもの。

時にして面倒は、色々な顔をしてやってくる。
だから自分も逃げたくなる時があります。

そもそも人間なんて完璧な人はいない訳だから、必ず欠点はあって、
それを許容出来るかどうかが、お付き合いのはじまり。
人によって、許容出来るポイントは違って、
それが多いと器が大きいと言われます。

自分はというと、
お酒で言うと、お猪口。
洋酒で言うと、ショットグラス。
コーヒーでいうなら、デミタスカップ。
完全に器が小さい。
だから鈴子の気持ちがよくわかる。

彼女に自分を重ねて見ていると、鈴子の実家から手紙が届くのだけど、
その実家の住所が「練馬区羽沢5-3-1」で、
うちの近所過ぎてドキっとしました。
実際には、羽沢は3丁目までしかないので架空の住所なのだけど、
ますますもって、近い存在に感じたのでした。

ラストは賛否両論、とらえ方の違いもあるだろうけど、
あれが現実的なんだろうと、自分は思いましたし、あれはあれで清々しい。

ところで、こちらに登場する自転車は、
森山未來さんが乗っているマウンテンバイク。
ホームセンターで買ったであろう、ノーブランドって設定じゃないでしょうか?
貧乏学生って役だし。

日常の中の生活に欠かせない自転車だけど、小さなドラマにも欠かせない小道具ですね。

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転々

まず最初に、自転車映画にカテゴライズしていますが、
自転車映画ではない事をお断りしておかなくてはいけません。

では、なぜこの映画をピックアップしたのか?
この映画に出てくる風景の7割〜8割が、
このチャリカフェで走った事のある、見覚えのある風景だったのです。

監督・三木聡×主演・オダギリ ジョー
『時効警察』のコンビが贈る、ひとりぼっちの男ふたりの心ほどける東京散歩ムービー!

井の頭公園をぶらぶらと出発、目的地はぼちぼちと霞ヶ関。到着期限はナシ―。
見知らぬ二人の東京散歩の旅は、借金取り福原のとんちんかんな提案から始まった。
散歩の合間に出会うとんちんかんな人々と悲喜こもごもなハプニング。
そんな東京ワンダーランドで二人が向かうのは・・。

三木聡監督の独特の世界。
三浦友和さんが素朴な疑問風にボソっというセリフがシニカルで、
ジワっとした笑いを作り上げています。

一番ツボだったのが、

人工着色料とか甘味料とか言ってるけど、
そんなのが食品に入ってからの方が平均寿命伸びてんだぜ。

というセリフ。

こういう事を言ったら怒られるかもしれませんが、
ロハスを徹底している人の方が不健康そうに見える時がありますもんね。

全体的にはものすごく好きな世界でした。
2人の歩いたルートをチャリカフェに照らし合わせて
追ってみたいと思います。

●旅の最初、井の頭公園から駅のある北方向に歩いて行きます。
→吉祥寺の「くぐつ草」でカレーを食べたときにみた風景。

●しかし着いたのは逆方向の調布飛行場。そしてお隣の武蔵野の森公園。
オダギリジョーさんに腐った果物が落ちてきて、公園で洗う場面です。
→飛行場内の「プロペラカフェ」に行った時にみた風景。

●墓参りの帰りによく「愛玉子(オーギョーチー)」を食べたという場所。
→これは「カヤバ珈琲」の時に通った、谷中。
調布から谷中にワープしています。

愛玉子

これはこの間、谷中に行ったときに撮った写真。
映画ではこのお店とそっくりに作られたお店に入りますが、これとは別物です。

●OLは皆、財布を上向きに持っているという横断歩道は、
高円寺のラーメン店「ザボン」の前。
→高円寺ルック商店街の喫茶店「七つ森」の近くです。

●危ない絵描きの女、広田レオナと会うのは、西新宿の文化服装学院付近。
そこからはぐれた三浦友和を捜して、新宿タワレコ前広場、
思い出横丁(しょんべん横丁)、職安通り、伊勢丹前の新宿の母の場所へ。

●翌日歩き始め、都電が見えたのは、新目白通りと明治通りの交差点。
麻生久美子さんの婦警さんが駐禁の取り締まりをしているのは、
そこから江戸川橋方面に向かった面影橋の「トリトリノキ」のすぐ近く。

●小泉今日子さんの家に向かうのですが
葛飾柴又の「高木屋老舗」に向かう時に通った四ツ木橋付近という設定。
すき焼きの肉を買う肉屋は、曳舟なので近くに「カフェこぐま」があります。

●ラストシーン近くに登場するのは、絵画館広場。
外苑前のロイヤルガーデンカフェの近くです。

てな訳で、知っている場所や道がいっぱい出てきて嬉しかったのですが、
ロードムービーという割りに、場所があっちこっちにワープするので、
そのたびに頭の中のナビでは「ルートヲハズレマシタ」という音声ガイダンスが
ヘビーローテーション。

全く位置関係を確かめる必要もなく、物語に集中すればいいのに、
ヘタに知っている場所が出てくると、ついつい追いたくなるのでした。

2人が歩いた場所のほとんどが、自転車で走った事のある風景。
1年の間に、都内、結構走ったんだなあ。
でもって、パっと見ただけでわかるもんなんですねえ。
やはり、車や電車じゃなく、自転車の速度だから風景を記憶出来るんでしょうね。

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