長距離乗るコツ

元日の初日の出東京湾一周サイクリングの記事をアップしたら、
知人の自転車ビギナー達から、長距離乗るコツを聞かれる頻度が高くなりました。

まだスポーツタイプの自転車を買ったばかりという人から、
遠出したいんだけど、怖くて出来ないという人、
今年のツールドちばに出てみたいという人、
いろいろなタイプがいるのですが、
共通しているのは「自分にも出来るようになるのか?」という事です。

また僕がバリバリのレーサータイプではなく、
ポタリングというのんびりお散歩系なので、
もしかしたら、出来るのかもと思わせる部分もあるようです。

そういえば、先日、自転車屋にロードバイクを見に来ていたお客さんも、
店員さんに同様の質問をしていました。

結論からいうと、スポーツタイプの自転車だったら誰でも100㎞行けるようになります。
ママチャリだとキツいかもしれませんが。

という訳で、レーサー系ではなく、お散歩系へのアドバイスをしたいと思います。

まず、いきなり長距離を目指さず、少しずつ距離を伸ばす。

多くの人が、電車で行く場所には、自分が自転車で行けるハズがないと思いこんでいます。
その思いこみを壊す事から始めるのがいいと思います。

例えば、新宿とか渋谷とか、よく行く場所が自分の家から何キロなのか、
どうやって行くといいのか、調べる事から始めてもいいでしょう。

NAVITIMEの自転車ルート検索というのがあるので、こちらで色々調べてみるのもいいでしょう。

最短ルートや、坂の少ないルート、大通りメインのルートなど、
いろいろなコースを選べるので、役に立ちます。

往復で10㎞以内なら、ママチャリでも楽勝で行けるので、
まずはそれから始めてもいいかもしれません。

無理と思っているウチは、やり始めないので「やれるかも?」と思うことが大事です。

自分の好きな道を探す

自転車の疲労は、肉体系と精神系があるのですが、
まずは、精神的疲労の軽減から。

遠くまで行こうとすれば車道を走ることは避けては通れないのですが、
車が怖いという人も多いと思います。
最短ルートを検索すると、山手通りとか、環七とか幹線道路が出てくる率が高いですが
正直、幹線道路は車のスピードも高く、初心者は怖い思いをするでしょう。

そこで、楽に走れる道を探すこと。
道探しのコツ。

●近くの川を探す

川の両サイドは、車の通行が少ない道がある事が多いです。
また、川に注ぎ込む小川は埋め立てられた暗渠になっていて、
遊歩道になっている事があります。

例)
・池尻から中目黒方面に向かう、目黒川の両サイド
 それに注ぎ込む、北沢川は暗渠で遊歩道になっていて、
 三宿から下北沢方面に行けます。

・玉川上水を挟んで、五日市街道の反対側、上水桜通りはサイクリスト御用達

・高円寺から砧浄水場へ伸びる荒玉水道道路は、2t以上の車通行不可

のように、川の近くは自転車で走りやすい道が見つかる可能性大です。

●サイクリングロードに通じる道を探す

・多摩川サイクリングロード、荒川サイクリングロード、
 多摩湖サイクリングロード、江戸川サイクリングロード、

サイクリングロードは車がいないので、精神的に楽です。
そこまで行ける道を探せば、後は、楽に走れるので、距離をかせぐ事が出来ます。

こうして見つけた、走って楽が道を組み合わせて行くと、
いろんな所に行く自分なりのルートが出来るので、距離が伸びていくのです。

力を入れずに楽に自転車に乗る

次は、体力的な疲労の軽減。

車などにビビり、緊張して自転車に乗っていると、体に力が入っています。

腕に力が入りハンドルを持っていたり、椅子にガッチリ座っていると、
道路の段差や荒れた路面のショックをもろに体に受けてしまうので、
ダメージが蓄積していきます。

段差などのショックがあるときは、ハンドルを握る力を緩め、
段差を通過の時は、サドルから腰を浮かしたりして、衝撃を受けないように逃がしましょう。

軽いギアで漕ぐ練習

軽いギアで漕ぐと、回しても進まない感覚がいやで、重いギアで漕いでいたのですが、
長距離乗る場合は、重いギアだとダメージが蓄積していくので軽い方がいいと言われ、
実践してみる事にしました。

最初は、回す回数が増えるので、疲れる感覚もあったのですが、
慣れると足に蓄積するダメージが、圧倒的に減るのがわかります。
重い方から4か5段のギアで走ってみる練習をするといいかと思います。

行った先で、休憩をとる事

慣れる前は10㎞に1度は休憩。
慣れたら20㎞に1度は休憩。
みたいに、休憩を挟むと力が回復します。

そういう意味で、行った先で休んでエネルギー補給するチャリカフェは
理にかなっていると思います。
ぜひ、遠出してみたい人は、付近の行ってみたいカフェを探してみてください。

無理にとは言いませんが、
もしやってみたいと思っているなら、自転車での遠出、オススメします。
マジで価値観変わるし、自分に自信がつきますよー。

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新春!自転車で東京湾1周サイクリング(後編)

フェリー

さあ、自転車で東京湾一周サイクリング!
いよいよ後編のはじまりです!

出航は6時40分なのですが、何時から自転車を積み込むんだろう?
…と、30分前ぐらい前に、車の積み込み準備をしていた係員の方に聞いてみると、
「もう、そろそろだから、そこの自転車乗り場に並んで」との事。
目をやると、ちょうど建物の正面の所に、自転車の乗船待機場がありました。

そこでチケットのもぎりがあった後
「あちらのスロープを登って」と、
正面の車乗り場とは別の、船の2階に続くスロープに行くことを指示されました。

自転車

この日は、僕以外にも自転車で渡る人が、あと2人。
そちらはカップルで、電動アシストで東京湾1周する模様です。

係の方に自転車を手渡すと、手すりにロープで縛って固定してくれます。

自転車

こんな感じです。

船内

さて、どのポジションに陣取れば、初日の出をバッチリ拝めるのか?
一人で推理が始まりました。

房総半島の方に日が上がるのだから、進行方向という事は間違いありません。
ところがフェリーって、一般の船と違って、
どっちが前だかわからないような格好をしています。
そこで甲板に出てみました。
船は船尾に国旗をかかげる決まりになっているので、日の丸がある方が後ろのハズ。
確認してみると、日の丸は海側。
という事は、岸壁に接岸して久里浜を向いている方が頭という事になります。

皆、このまま出航だと思って、太平洋側の方から席が埋まっていくのだけど、
これは港を出るとUターンして、左右が逆になるから、
空いている東京側を取るべきだなと予想。
という訳で、岸壁に向いて前列の右側に陣取りました。

正解!
港を出ると、船はUターンして左右が逆になりました!
戸惑う乗客達を見ながら、僕の中には、してやったり感が!

久里浜

こんな感じで、後ろに日の丸のある方が船尾ですから、覚えておいて下さい。
久里浜を後にして、一路、金谷港へ。

デッキ

ちなみに一番上の船上デッキにも行ってみたのですが、
進行方向には操舵席のブースがあり、前は見えにくかったです。
寒いし…。

なので2階前方の客席の最前列に陣取るのが正解ですね。

初日の出

進行方向の正面、房総半島、鋸山の上から初日の出が見える予定なんですが、
この日は残念ながら雲がかかっていていて、うっすら初日の出。
それでも十分感動しましたけどね。

金谷港

この日の乗船客は、バスツアーのお客さんがほとんどでした。
久里浜までバスで来て、フェリーで渡ると、違うバスが待機していて、
それで房総半島をめぐるというプランのようでした。

チャリカフェ的には、ここから少し南下した明鐘岬にある
「岬」という名物喫茶店に行きたかったのですが、
お正月だし、早朝だし、やっている訳がないので断念。
ターミナルでトイレを済ませて、残り半周の旅へ、出発する事にしました。

初日の出

その瞬間に、ちょうど雲の切れ間から、リアル初日の出が!
これはきっとスタートの合図だな…と、ペダルを漕ぎ出しました。

金谷マリーナ

風光明媚な風景が続きます。
本来なら、対岸に富士山も見えるはずなのですが、曇りで見えず。
そこだけが残念です。

標識

内房なぎさラインを、ひたすら木更津方面へ。

上り坂

富津のあたりから、ゆるい上り坂が、だらだらと続くので、
これがジワジワとダメージとなっていきます。

東京湾大観音

富津岬の先には東京大観音があるのですが、あの山の向こう。
先ほどの長い登り坂で少し心が折れかけているので、
12㎞という表示を見て、岬をまわる気力が失せていきます。
なので、山越に見える頭だけ見て、見たことにしてしまいました。

ゴメンなさい、観音様。
どうかバチを当てるのだけは勘弁してください。

デニーズ

風光明媚いえば言葉はいいのですが、正直、何もありません。
たまーにある地元ドライブインも、お正月で休み。
金谷から25㎞ぐらい走ってきたのに、休憩出来るお店がありませんでした。

やっと見つけたデニーズが、砂漠の中のオアシスに見えました。
ここで入っておかないと、次、いつ休憩出来るかわかりません。

モーニング

ドラクエって宿屋に入るとダメージが回復しますが、
サイクリングでは、お店に入ると回復します。

コンビニ休憩で済ますサイクリストも多いようなのですが、
深夜から走り続けて、体が冷えてきているので、
暖も取れるファミレスは、ありがたかったです。

中ノ島大橋

ファミレスのおかげで、折れかかった心がつながったので、観光する事にしました。
房総半島に来てから、海沿いを走ったぐらいで、
観光らしい観光スポットに行っていない事に気づいたからです。

という訳で訪れたのが、木更津キャッツアイでもおなじみの、中ノ島大橋。
観光客というより、釣り客の方が多かったですが。

アクアライン

そして、ふたたび自転車を走らせると、遠くにアクアラインが見えてきました。
先ほどの、東京湾大観音を遠くからのチラ見で、見たことにしてしまっている事が
ちょっと引っかかっていたので、実際に見に行くことにしました。

気にすんなら観音様の時に行っとけよ!って感じですよね。
アクアラインはスルーしてもバチとか御利益とか関係ないのに。

アクアライン

アクアラインの根元まで来ました。

アクアライン

反対側から見ると、こんな感じ。
若干、右側へカーブしているんですね。

元日から東京湾一周サイクリングなんてバカな事をしてしまっていますが、
実は、昨年から今年の目標は「体力勝負」と公言していたのです。
今年の10月には、この上を走るアクアラインマラソン(フル)の第1回が開催されるので、
そちらも出場する予定だったりもします。

道

ところが、この遠回りで再びダメージが。
だだっ広い埋め立て地の1本道は、さえぎる物もない為に、
強風、寒風、そして向かい風。
漕げども、漕げども、前に進みません。

しかも、走っても走っても、地名が変わらない。
またも心が折れそうになりました。
ゲームでいう所のライフゲージは、イエローから限りなくレッドへ。

ケンタッキー

という訳で、宿屋じゃなくて、一番近くにあったケンタッキーフライドチキンへ。

朦朧とまではいかないですが、
意識がちゃんと働いていない中で注文したメニューを手渡され、
我に返り、唖然としました。

え?コレ本当に俺が注文したの?
こんなに食える訳ねーだろ!
しかもチキンフィレサンドに、フラドチキンって、かぶりすぎ。

人って生命の危機を感じると、無意識の中で食べなければという意識が働くみたいです。

コンビナート

そして、ここからが苦行の始まりでした。
工場萌えでも無い限り、心ときめかないコンビナートが続き、
ガラガラだった道に、初詣帰りと思われる車が猛スピードで駆け抜けるようになりました。
初心者と思われる車も多く、そういう車に限って、2車線の右レーンの車が怖いのか、
左レーンの、かなり左寄りを走ります。
つまり自転車にとっては、幅寄せ状態になってしまうのです。

安全の為に、神経を張りつめっぱなし。
肉体的疲労に加え、精神的疲労が蓄積していきました。

僕をこのサイクリングに誘った、18才の頃の僕はいつのまにか消え、
ただの疲れた大人が、一人で走っていました。

標識

ここからは、観光も特になく、ただの普通の帰り道。
モチベーションもあがりません。

そんな時、ここで救世主が現れたのです。

スピードの落ちた自分を、
「おっさん遅せーよ」
みたいな雰囲気で、一台のロードバイクが抜いていきました。
見ると、高校生ぐらい。
でも、どこか初心者っぽい。
早さは、僕よりちょっと早いぐらい。
疲れてなければ、負けるタイプではありません。
抜かされ方にカチンと来たし、ぶっちぎられるのもシャクなので、ついて行くことに。

結果的にこれでペースがあがったのです。

自転車の用語に「引く」という言葉があるのですが、
自分一人だと、疲れると自然に落ちてしまうペースが、
前に人がいる事で、ついて行こうと気持ちが働き、ペースが上がる事を言います。
自転車レースでは、疲れたエースの前を、あえてアシストが走り、エースを引くことも。

市川あたりで、結果的に僕を引いてくれた高校生は消えてしまったけど、
あれだけ落ちていたペースがあがり、本当に助かりました。

漫画やアニメの設定だったら、いつの間にか消えていた18才の僕が、
見るに見かねて、姿を変えて現れ、引っ張ってくれたっていう話になるんでしょうね。

いいね!ソレ!
そういう事にしておこうかな。

江戸川

やっと戻ってきたぜ、江戸川。
これを渡れば、東京です。

スカイツリー

ホっとしたのか、スカイツリーを撮る余裕も復活してきました。

サイコン

結果的に走ったのは、メーター上は約202㎞。
ついにオーバー200㎞!
走ったねえ。

庭の湯

家に帰ったらすぐに着替えて、近所の温泉、豊島園の庭の湯へ。
体の芯が冷え切っているので、それを温める為と、
風呂上がりにマッサージを受けて、体をほぐすため。

実は、出発する前に、お正月からここがやっているのを確認してありました。
これは富士登山で身につけた技。
苦行をこなした後の、温泉がどれだけ気持ちいいのかを知っているからです。
そして、風呂上がりのビール。

普通の風呂上がりのビールの、何百倍も旨く感じるんだよなあ。

キャンドルパーティー

元気が復活した所で、友人主催のキャンドルナイト新年会へ。
九十九里まで自転車で出かけた女友達や、富士登山仲間も合流し、飲み会。
それぞれの道中の報告で、盛り上がりました。

そしてこの日は、深夜2時まで飲んだとさ。
結局、お正月は飲んだくれも達成してるのか!オレ!

自分で言うのも何だけど、元気だなあ。

皆さん!元気ですかーーー!?
元気があればなんでもできる!元気があれば自転車で東京湾一周も出来る!

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