ペダルを回すという事

 

4月という区切りで、ロードバイクを買う人も多かったり、
少し暖かくなってきたので、いよいよ遠出をしようかという人がいたり、
自転車にまつわる質問をされる事が増えてきました。

やはり、初心者の人が、陥りがちなのが、
重いギアで漕がないと、進まない気がして、疲れるというもの。
確かに、自分も最初はそうでした。

まあ10㎞、20㎞だったら、それでもいいかもしれませんが、
50㎞以上だと、徐々に足に疲労が蓄積してきます。

で「漕ぐ」と書きましたが、この言葉を使うとベテランに叱られます。
自転車は「漕ぐ」じゃなく「回す」だと。

どうしても初心者はママチャリのイメージがついているのか
スピードを出そうとすると、立ち漕ぎみたいになりがち。

初心者の場合、右足、左足を交互に真下に踏み込むようにして、
左右に体を揺らしながら、走る人を多く見かけます。

坂道では「ダンシング」と言って
そういう乗り方をする事もありますが、
通常、ロードは、サドルに腰をおろしたら上半身は固定。
上半身ぶれないように、ペダルを軸にして、回します。

こちらはツールドフランスにも出場している、
日本人ロードレーサーの新城幸也選手。

かつてサイクルクリニック的なのにおじゃまさせてもらったのですが、
その時の動画をご覧ください。
これが、すごくわかりやすいと思うのです。

上半身ぶれない。お尻が浮かない。
回転軸を作って、効率よくペダルを回す。
これが、ペダルを回すという事。

立ち漕ぎは、ペダルを下に押しつけようという上下運動ですが、
見事な回転運動です。

軽いギアで回すのと、こういう無駄のないペダリングを覚えると、
坂道でも座ったまま、登れるようになっていきます。

ぜひ、動画をみて、まずはイメージ作りを。

あと、サイクリングロードなどでは、
前を走っている人と、自分のペダルの回転数を比べるようにすると、
自分より、みんな、かなり軽いギアで走っているのがわかると思います。

僕も最初は誤解していたし、初心者はみな通る道なので、
まあ、そんなに気にしなくてもいいとは思いますが、
覚えると自転車に乗ることが、ぐっと楽になりますので、
早めに慣れる事をお勧めします。

ロードで後ろのギアが10段ぐらいあったら、
通常、その真ん中ぐらいで乗る練習をするといいと思います。

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探幽3兄弟 ~狩野探幽・尚信・安信~(板橋区立美術館)

板橋区立美術館

板橋区立美術館の脇にはのぼりが立っていて「隠れ家的美術館」と書かれています。
ちょうど、高台から谷に降りた場所にあり、
自転車だと、サーっと下りで勢いつけて通過してしまうし、
帰りは登り坂なので、この地点から立ち漕ぎで加速しようとしてしまいます。
なので、何度もこの前を通っているのに、毎回、通過していました。
隠れ家というか、見落とし美術館ですね。

探幽3兄弟

こちらに観に来たのは「探幽3兄弟 ~狩野探幽・尚信・安信~」
昨年、東京国立博物館で、「京都 ― 洛中洛外図と障壁画の美」 や、
同じく、東京国立博物館で開催された「クリーブランド美術館展」などを観ながら、
日本の美術にも興味を持ち始めました。

ポスター

板橋区立美術館は、江戸狩野派作品の収集で知られる美術館で、
毎年、いろんな切り口で、狩野派の展覧会を開催しています。
こちらは、昨年のポスター。

今回は、狩野探幽・尚信・安信の3兄弟にスポットを当てての展覧会です。

雪中梅竹鳥図襖

狩野探幽の「雪中梅竹鳥図襖」
徳川家光が、上洛の途中で名古屋城に立ち寄った時の迎賓の部屋に
作られた装飾襖。

探幽の絵は、余白を存分に生かした叙情的な絵で、僕は好きです。
十分に空間がありながら、枝振りや鳥の配置で、
流れるエネルギーのベクトルが見えるようです。

富士山図屏風

狩野探幽「富士山図屏風」
こちらも、白いもやで裾野を隠しながらも、富士の神秘的で雄大な姿。

松図襖

狩野派は室町時代から幕府のお抱え絵師となり、
室町幕府崩壊後は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家など、
時の権力者に仕えて来ました。

実は、きっちりと戦略があり、豊臣崩壊間際には、
豊臣、徳川、朝廷と、どこが権力を握ってもいいように、
戦力を分散させて、それぞれに仕えてきたりもしました。

なんか、関ヶ原で身内を東西に分けた真田みたいな。

だけれども、江戸が終わり、明治に入ると、
明治政府は特定の絵師の保護を打ち出さなかった為に、
狩野派は、衰退していきます。

絵だけを見ていると、風流に描いていたんだろうなと思いがちですが、
狩野派は、徹底した摸写による、作風と作画技術の伝承を行ってきました。
絵師の個性ではなく、先祖伝来の筆法を忠実に学ぶことが求められました。

作風が統一されているので、
大人数でも大量の障壁画や屏風絵をこなす事が出来たのですが、
芸術的創造性を失っているとう事で、低い評価をする人もいるのも事実。

でも、その決まり事の中でも、探幽のように、
自分のカラーをきっちりと出してくる人もいます。
そういう所、尊敬してしまうし、
僕らの仕事も、しがらみもいろいろあって、ガチガチの縛りの時もあるけど、
そういう所でも、どこか自分ならではというのを、出さなきゃいけないんだろうな。

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