原宿の浮世絵専門の美術館、太田記念美術館に行ってきました。
ラフォーレのちょうど裏手にああります。
浮世絵という事で外国人客が多いのと、
夏休みという事で家族連れも多かったのですが、
原宿という場所柄なのか、それとも美術好きの学生なのか、
アイドルみたいな可愛い女のコも混じっていて、ドキドキしました。
観に行ったのはこちら!「江戸妖怪大図鑑」
こちらは、期間が三部に分かれていて、
第1部の7月は「化け物」
第2部の8月は「幽霊」
第3部の9月は「妖術使い」
第一部の「化け物」は、河童、化け猫、天狗などお馴染みの妖怪が勢揃い。
僕が見たのは第二部の「幽霊」で、お岩さんにお菊さん、平家の亡霊など、
歌舞伎などにもなっている幽霊が中心。
まずは葛飾北斎の「百物語」から、
「お岩さん」と、番町皿屋敷の「お菊さん」。
百物語は、怪談を一話語る事に蝋燭の火を消し、
百話目の蝋燭を消すと、本物の幽霊が現れるというもの。
その怪談を浮世絵にしたのが、葛飾北斎。
どこか水木しげるの世界に通じる、
恐ろしさとユーモラスな両方の側面を持ちます。
北斎の百物語りは、当時はあまり人気が無かったのか、
現存する物が非常に少ないそうです。
当時の幽霊の絵は、幽霊そのものではなく、
怪談を演じる役者絵を描いた物が多いです。
歌川国貞 の「お岩さん」なのですが、
三代目関三十郎の直助権兵衛
八代目片岡仁左衛門の民谷伊右衛門
五代目坂東彦三郎のお岩の亡霊と小仏小平亡霊
五代目坂東彦三郎の佐藤与茂七
という人気役者による名シーンが描かれています。
板に貼り付けられたお岩さんの死体、
その板が裏返されると、同時に殺された小仏小平の死体が現れるというシーン。
坂東彦三郎がその両方を演じ、早替えをするという見せ場です。
こんな風に、歌舞伎の人気役者と名シーンを通じて描かれた
幽霊の絵が多いです。
浮世絵の方も、紙をめくと人が入れ替わるなど、
飛び出す絵本みたいな仕掛けの物もあるんですね。
この美術館は1階、2階それぞれ1フロアというあまり大きくない美術館です。
そこに展示されている怪談や幽霊のストーリーを読んでいると、
現代に通じる物が見えて来ます。
例えば、ストーカーって現代病のような扱われ方をしていますが、
この頃からあって、恋する気持ち、一方通行の気持ちが高まりすぎて、
その好きな人を殺してしまうとか、自ら身を投げて亡霊になるとか、
怪談には、ストーカーに通じる物がいっぱいあります。
その他、出世の為にライバルを陥れるというような話しも多数。
先日も友人と話していたのですが、
幽霊よりも怖くて、実害があるのは、
精神的におかしくなっている人だねという事に。
猟奇事件もそうだけど、脱法ハーブとか薬物などの依存症。
最近もいろんな事件が起きてますけど、
弱い心にそういう物が入り込んでいき、人を狂わせる様は怪談以上に怖いです。
そう考えると、現代の妖怪や幽霊って、
そういう人を狂わせる「誘惑」なんかなんじゃないかと思ったり。
んー、我が身を振り返ると、いろんな妖怪がとりついている事になるなあ。
酒は確実、あとはアイドルとか?
おー、怖い。
ところで、浮世絵の美術館だけあって、外国人観光客が多い為に、
トイレには、こんな張り紙がありました。
笑い話では聞いていたけど、ホントにあるんだね、こういうの。
■浮世絵 太田記念美術館
■東京都渋谷区神宮前1-10-10
■開館:10:30〜17:30(入館は17:00まで)
■休館日:月曜および展示入れ替え期間
■場所はこのへん
■オフィシャルサイト