吉野家の元常務が「生娘をシャブ漬けに戦略」などと発言した問題で、批判が殺到している吉野家ですが、その影響で「10年間試行錯誤を続けて開発した『親子丼』のキャンペーンが中止となり、涙するスタッフ達も」というニュース映像を見て、これって同情買って、ピンチをチャンスにする戦略なのでは?という疑問が。
というのも、ここの所の吉野家はこの元常務に限らず、丼に名前を入れるキャンペーンのルールを勝手に変えた事に対する抗議に、お客様室長が、上からケンカ腰で対応し、結果、炎上し謝罪するという事が3月にあったばかりなのです。
しかし狙い通りか、ネットには吉野家の親子丼を絶賛する記事がいっぱいで、売り切れ店も続出の人気となっているとの事。そこで、実際に行って食べてみる事にしました。
店内に入ったのですが、親子丼のメニューが置いて無くて聞いて見ると「売り切れそうなので、メニューを下げた」という事でした。人気なのは本当のようです。
ただ一方で、数量を絞って出して売り切れにして、飢餓感を煽る「品薄商法」ではないのかという疑問もあります。僕が行ったのはお昼だったのですが、そこで1日分のメニューが無くなってしまうほど売れたのか?という疑問も。仕事柄裏を取るのが商売なので、疑い深いのです。
メニューは下げられていたものの注文は出来て、親子丼は、税込み437円。味に関してはそれぞれ好みがあると思うので、ここからは個人的な感想です。異論もあると思います。
味に関しては、
「うまい」の部分については、こだわりたっぷりのたれを使用。濃口醤油と本味醂(みりん)、黒蜜糖をベースに、焼津産かつお節と北海道産昆布の風味をきかせた。さらに、鶏のうまみがつまったエキスを追加し、うまみと風味がしっかりとした『親子丼』によく合う奥深い味わいのたれとした。このたれをふんだんに使ったことで、とろとろの玉子とたれが鶏肉、玉ねぎ、ご飯を抱きこむ『親子丼』が実現した。
と一字一句違わず書いているニュースサイトが多いのですが、これは吉野家のプレスリリースからのコピペです。なので記者が実食した感想ではなく、吉野家側の言い分です。
さて、ここからが僕の個人的な感想です。卵は半熟というより、レアに近く白身を感じる部分も。肉は大きめにカットされていて食べ応えはあります。玉ねぎも多めなのですが、レアっぽい火の通りなので、ちょっと生っぽさが残る部分もあり、玉ねぎの辛みも感じました。味付けに関しては、無難な感じ。
たぶん煮る時間はタイマーなので指定されていると思うので、狙い通りのレア感なのか、それとも新メニュー3日目なので、バイトの人が慣れていないのか、判断はつきません。気になったのは、玉ねぎの生っぽさだけでで、他はこのぐらいでも問題はないかという感じでした。
日刊スポーツの記事によると「約1200店舗の規模で均一な味、調理のクオリティーを実現することが非常に難しかった」とあるので、慣れの問題のように思います。
さて、親子丼といえば長い間看板商品として売り出しているのが、なか卯。吉野家が「10年かけて研究開発した」を売り言葉にしていましたが、なか卯は1994年から、親子丼を販売していて、期間でいえば28年間となります。
今では、「チーズあっさりクリーム親子丼」とか「とろ玉ねぎラー親子丼」とか、色んなバリエーションがあるのですが、今回はオーソドックな親子丼で比較する事に。
親子丼の並は480円で、吉野家より43円高いです。卵のとじ具合はお手本のような半熟で、さらに黄身の赤味が強い卵を使っているので、色も鮮やか。ただ、鶏肉は胸肉を主に使っているので、吉野家に比べるとさっぱり目。皮とか脂身がない分ヘルシーなのですが、好みの分かれる部分だと思います。
さて、吉野家の親子丼に関して、「高蛋白、低脂肪、低炭水化物」という、似た内容のヘルシー押しのツイートが増えステマ疑惑も。そこで成分表を調べてみました。
10年かけて開発した【吉野家】
エネルギー711kcal タンパク質31.9g 資質16.2g 炭水化物103.6gずっと前から【なか卯】は
エネルギー620kcal タンパク質28.9 資質12.1g 炭水化物94.9g
放送の場合、「高蛋白、低脂肪、低炭水化物でヘルシー」と言った場合「何と比較して?」と根拠を求められる事もあるので、裏取りとしてオフィシャルの成分表を比較する場合もあります。この場合、高タンパクなのは吉野家ですが、なか卯の方が「最近話題の牛丼チェーンの親子丼と比較しても、低カロリー、低資質、炭水化物抑えめでヘルシー」と言えるんじゃないでしょうか?
さて、親子丼の好みは千差万別ですから、吉野家が好きでも、なか卯が好きでも良いと思います。ただ、今回は、吉野家の情報の出し方、品切れ商法、またニュースサイトが検証せずにコピペ、「ヘルシー売り」のステマ疑惑などが、多く出されていたので、検証したくなって比較してみました。まあ、職業病です。
ちなみに、うちのサイトでは「電動じゃないアシスト自転車「フリーパワー」を試乗してきました!」というページのアクセスがここ何年も高いのですが、テレビで「フリーパワー」を発明品と紹介する度に、アクセス数が爆発的にあがります。
というのも、テレビでは、電動アシスト、スポーツタイプの自転車と比較せず、「画期的な発明品」という風にみせているので、疑問に思った自転車乗りが、比較サイトを求めて、うちのサイトにアクセスして来ます。比較って大事。