小湊鐵道 夜トロッコ「ジビエ列車」


千葉県市原市の五井から出発する小湊鐵道のトロッコ列車に乗ってきました。SLの形はしていますが、実はクリーンディーゼルを搭載した機関車。ただし、汽笛などは以前、こちらを走っていたSLの音を再現。


トロッコ列車は週末を中心に走っているのですが、現在、金曜の夜を中心に「夜トロッコ」という列車が運行されます。第一弾は、好評完売でしたが、小湊鐵道の番組を担当している関係で、取材形式で乗せて頂きました。

4両編成のトロッコ列車のうち、2両目と3両目は窓の無いオープンな車両で、さながら走るビアガーデンと言った感じ。


このトロッコ列車の名物となっているのが、房総半島のイノシシや鹿を使った「房総ジビエ懐石弁当」

房総半島は、鹿やイノシシの獣害で農業に被害が出ているのですが、これまで駆除しても野生の肉は危険が潜んでいる為に、有効活用されて来ませんでした。

そこで警備でおなじみのALSOKがSDGs関連事業として、獣害からの監視、駆除を行うと共に、厳しい衛生管理を行う解体食肉工場をつくり、房総産のジビエを提供しています。

小湊鉄道界隈のキャンプ場などでも肉が売られて好評なのですが、それを走るビアガーデンの弁当ししようというのが、ジビエ列車です。


二段重ねのお弁当は、房総の老舗日本料理の「竹りん」が担当。右が一の段で、シカ肉のつくねや、メンチ、イノシシ肉のフランクフルトなどが。

左の二の段には、いのししのグリル焼きや、猪のラタトイュ、鹿肉のガパオライスなど、ジビエ中心のメニューで構成されています。

頂いて驚いたのが、獣くさいとか一切無く、普通に肉として、料理として美味しいという事。皆が驚いていたのが、鹿肉のガパオライスがめちゃめちゃ旨いという事。


お料理を頂き、ビールを飲みながら風景を眺めていると、沿線の方達が手を振ってくれます。この歓迎ぶりが嬉しいです。

お酒は飲み放題で、注文を取りに来てくれるのは、小湊鐵道の社員の方々。この夜トロッコを楽しんで欲しいという、おもてなしが凄いです。


月を眺めながら、トロッコ列車は時速20㎞ぐらいの、超ゆっくりスピードで走って行きます。


上総牛久駅についた所で、40分のトイレ休憩。ホームにもトイレがありますが、駅の外に立派なトイレが庭のようになって作られているので、余裕があれば、そちらの利用も面白いでしょう。

トロッコ列車は、第二弾が【8月19日(金)26日(金)31日(水)9月 2日(金) 9日(金)14日(水)16日(金)30日(金)】の全8回企画されていて、クラウドファンディングで募集しています。お値段は1万2千円。料理&お酒込み。定員に達しなかった場合は返金されます。

西武線などでもグルメ列車が運行されていますが、ジビエという一風変わった懐石弁当つきの走るビアガーデン!興味のある方はぜひ!

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こみなと待合室(千葉県・五井)


最近、千葉の木更津から房総半島の中心部へと向かう久留里線の赤字がニュースになったので、ローカル線はみんな赤字というイメージが持たれていますが、市原市の五井から出る小湊鐵道は、実は微増ながら黒字経営をしている珍しい路線です。

それは沿線に根付く、様々な面白い取り組みをしているからなのですが、今回もその取材をする為に五井駅に。bayfmとのスタッフの待ち合わせの時間に、早めに着いたので、一休みする事に。


小湊鐵道の待合室を改装してカフェにしたのが「こみなと待合室」


小湊鉄道の成功の理由の一つに「逆開発」というコンセプトがあります。近代化の為に開発するのではなく、ローカル線の良さを出す為に田舎の風景を作り出すという事。この待合室のまわりも木々が植えられ、枕木だった木材を敷き詰められたテラス的なスペースがあったり、お隣のJRの駅とは違う、田舎っぽさで迎えてくれます。

沿線にも菜の花のタネを蒔き、春には桜と菜の花のピンクと黄色のコントラストが人気に。秋は紅葉。荒れ果てた田舎の風景ではなく、観光しに来た人の為に、田舎っぽさをきちんと整備しているのです。

生活の足としての乗降客数は多くありませんが、土日祝、夏休みなどは多くの観光客で賑わいます。それがローカルなのに黒字という珍しい例となっています。


カフェの庭には、目の前に小湊鐵道の車両を眺められる席も。鉄オタや鉄道好きの子供が喜びそうなスペースです。

江古田付近でも、日芸前の線路沿いの道に、子供に電車を見せようとやってきた親子連れや、新しい車両を撮ろうとしている鉄オタなどが集まりますが、そんな需要に応えます。

小湊鉄道では撮り鉄の皆さんにお願いしているマナーがあって、通勤、通学する乗客が映り込まないようにして欲しいというお願いが。観光化と生活の足を両立させる為の暗黙の了解です。


「こみなと待合室」という名前の通り、小湊鐵道と、アクアラインを通って羽田や横浜に向かう小湊鐵道のバスの待合室になっていて、モニターには運行情報も。さらに可愛いグッズなども売られています。


カウンター席からも車両を望む事が出来ます。


カフェのカップやコースターなども、シンプルながら温かみのあるデザイン。この日のおまけについて来たのは、沿線の特産物の描かれたシール。鉄道を中心にしながら、沿線の農家や商店などの商品なども広める活動をしていています。

また小湊鐵道の高滝駅から歩ける位置の廃校になった小学校をグランピングのキャンプ場が出来たのですが、東京から来る若い観光客は車を持つという人が減っている為に、キャンプ場に向かうこの小湊鐵道に乗ることも、ひとつのアトラクションと捉える人が増えているそうです。

きちんと田舎っぽさを整備し、レトロなローカル線を非日常の体験に変える。小湊鐵道の取り組みは面白いです。

■こみなと待合室
■千葉県市原市五井中央東1-1-2
■営業:
9:00~19:00
9:00〜17:00(土日祝)
■定休日:無休
場所はこのへん
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