僕が構成を担当する番組に、料理家の栗原はるみさんをゲストとしてお迎えしました。
料理家で数多くのレシピ本を出されている方というのは知っていたのですが、その生き方にも憧れる女性が多い事は、失礼ながら今回初めて知りました。
番組の女性ディレクターも信者の一人で、一人の料理家として迎えようとしている自分に「そうじゃなくて生き方のお話を伺いたい」と、資料をどっさり渡されました。料理以外の栗原さんの一面を知ったのは、今回が初めてです。
妻が家のことを全部やるのが当たり前とされてきた団塊の世代。栗原さん自身も専業主婦として働くのがあたり前だと思っていたそうです。
ある日、夫の玲児さんに「僕を待つだけの女の人にならないでほしい」「君の本当のやりたい事を探してみたら?」と言われ、やっていて楽しい事を思い浮かべたら料理で、漠然といつか料理の本を出したいと考えたのだそうです。
当時の料理番組は名店で修業した人しか出られない時代。そこで、番組には出ない裏方として料理作りのアシスタントをする事に。そこで熱心にレシピを考案している女性がいるという噂が、関係者の口コミで出版社に伝わり、料理の本を出す話が舞い込んだのだそうです。
ごちそうさまが、ききたくて。―家族の好きないつものごはん140選
こうして出版されたのが「ごちそうさまが、ききたくて」。
お店で働く料理人ではないので、家族に出して好評だったものまとめたレシピ本を出す事にしました。それまで、家で作る料理のレシピはファイルにまとめてあったので、それをベースにする事に。
ただ、本にするまでに、試作は何度も繰り返したそうです。多いもので100回近く。
というのも、味はレシピの数字でしか伝えられないので、何度も試作を繰り返して、料理が下手な人でもこの通り作れば美味しく再現出来るというところまで、つきつめたのだそうです。
今の時短レシピは「分量はお好みで」が多いのですが、それだと料理の上手い人はうまくいくけど、下手な人は味が決まらない。だからレシピの分量や分数など数字にはこだわったのだそうです。
料理が下手な人に、「自分で作ってみたら美味しかった」と言わせたい。そこにこだわって作りました。それが栗原はるみというスタイルに。
なので、誰が作っても美味しく出来るレシピというのが評判になり、レシピ本は今も売れ続けるロングセラーに。
番組出演の際に、差し入れとしてもって来て下さった自家製のチーズケーキ。実は局内にも栗原はるみさん信者が多く、実物を食べられると狂喜乱舞。
栗原はるみさんが料理家というのは知っていましたが、そういう大切にしている事などは、今回初めて知る事が出来ました。自分の仕事はどうだろうなあと、自分に置き換えてみたりも…。
ありがたい事に、たまにWEBメディアでも執筆のお仕事を頂く事があるのですが、テレビの視聴率のようにWEBはアクセス数が命なので、どう人気のキーワードを散りばめるか、タイトルで引きつけるか、旬の話題をいち早くまとめてUPするかという事の方が重要視され、文章力が二の次になっているの事もあり、多少もやもやしながら執筆する事もあります。依頼通りだけど、いいのか?これで…と。
ラジオは、DJが興味を持って本当のリアクションが出来るネタをチョイスし、自分の言葉で喋りやすいように、簡潔に書きます。リスナーに台本が無いと思って貰えるのがベスト。またネットでのリサーチだけじゃなく、自分が足でみつけたネタも多く取り入れるように心がけています。こちらはかなりこだわりがあるので、ラジオでは引き続き大切にして行きたいなあと、栗原さんとお会いして、改めて思ったのでした。