「がっちりマンデー」で自転車ビジネスを特集していて、その中で気になったがの、電動じゃないアシスト自転車「FREE POWER(フリーパワー)」です。
森永卓郎さんが試乗した姿が映し出されていて、ママチャリでは登れない坂を、フリーパワーでスイスイと登る驚きの映像が流され衝撃を受けました。
え?こんなに凄いなら、坂道に弱いブロンプトンにつけたら、最強の折りたたみ自転車になるのでは?山に行くのもブロンプトンだけで楽しめるのではと、妄想が始まり、これはブロンプトンを買う理由に出来る!と、今すぐにでも乗ってみたくなりました。
そこで、どうしても試乗してみたいなあと、調べてみると、ホームセンターの「Olympic」の子会社で、自転車販売のCycle Olympic が扱っているとの事で、大山店に電話すると、TVの反響で試乗希望者が多いですが、待てば乗ることは出来ますとのお返事。
そこで、さっそく試乗しに出かけてきました。
まずその前に「フリーパワー」とは何かというと、ペダルの12時と6時の部分、真上と真下の部分は、動力としての死点で、エネルギーロスを生むので、その前にペダルを踏み込む時に、ギアのの中に組み込まれたシリコンを潰し、12時と6時の時に、その反発力を解放し、動力のアシストにしようというもの。
1時から4時ぐらいまでの間に、踏み込んで潰したシリコンが、5時ぐらいで、パンと解放され膨らむので、本来なら死点の、6時から7時ぐらいに勢いをつけ、アシストします。
で、実際にサイクルオリンピック大山店にお邪魔しました。
僕が行った時は、フリーパワーの事を熱心に聞きたい男性が2名と、がっちりマンデー見たから、一応試してみたいファミリーが先客としていて、お店の方にお願いして試乗の順番待ちしました。
その間に店内で流れていたビデオを拝見。
パンフレットも頂いてきました。
さて、僕の番が来て試乗させて頂く事になりました。
ママチャリ系のものと、クロス系のものと、2台試乗しました。
これがフリーパワーのペダルとギア。
内部に見える青いのがシリコンで、青はミディアムタイプで、白がソフト、黒がハードと、シリコンの堅さは3段階あります。このシリコンの耐久性は3年ぐらいとアナウンスされていて、シリコンだけ交換する事も出来るそうです。
また、そのフリーパワーを手に入れる方法は3つあり、
①このサイクルオリンピックで、フリーパワー付き自転車を買う
②店内の気に入った自転車に、フリーパワーをつけてもらう
③自分の自転車を持ち込んで、フリーパワーをつけてもらう
フリーパワーを取り上げたまとめサイトなんかには、『どんな自転車にも装着可能』なんて書かれていますが実は、条件があり、前が多段ギアの自転車は駄目。フロントがシングルギアである事が条件で、前のギアは、32t、36t、42t、48tの4種類。
これから僕が書く感想は、サイクリングは、ロードバイクのリドレー・フェニックスに乗り、普段の足は写真のKHSのP20というミニベロ、スポーツサイクルに親しんでる人の視点だと思ってください。
それを念頭に置いた、僕の結論。
ママチャリ派だったら、ありかも…。
スポーツサイクル派だったら、全然無し!
踏み込みは、シリコンを潰しているので、カチっとしたダイレクト感は無く、ずーっと、ふわふわというか、プニプニした感じ。加速感を言葉で表すのは難しいですが、モウモウモウモウと言って加速していく感じで、12時と6時の時に少しアシスト感があります。
電動アシストも、昔のターボ車みたいに、1秒ぐらいタイムラグがあってからの加速感があり、スポーツバイク派が乗ると、違和感がありますが、フリーパワーの場合も別の違和感が!
踏むたびに、ムニュムニュというか、ずーっと「うどん」を踏んでるような、何かを潰し続けるような、不思議な踏み込んだ感覚があり、これに慣れるかどうかでしょう。
平地で、商店街の坂道が、せいぜい斜度1〜2%だったのですが、ママチャリには少しアシストがある感じなんじゃないかと思います。
要するに漕いでる感「50〜100」の物を「平均70にしました」というもので、100が120になる物ではないです。
よく、ママチャリからクロスやロードに乗り換えると、え?こんなに楽に走るの?と驚くじゃないですか!そのぐらいの差です。
走らないママチャリとだけ比較しているので、「すごい!」と大げさに驚いていますが、同時に良く走るクロスなどと比較すると「え?こっちも凄いじゃん」となるハズです。
ママチャリ<フリーパワー<ミニベロ&電動アシスト<クロスバイク<ロードバイク
こんな感じです。実際僕は、自分のミニベロKHSの方が走るなと感じましたし。
ママチャリも持っているので、それぞれの走りの差を知っていますが、一般の方は、ママチャリがスポーツサイクルに比べて、どれだけ走らない乗り物なのか知らないから、効果があるように感じるのだと思います。
比較対象が、ママチャリであれば、アシストを感じられますが、対スポーツサイクルだと、スポーツサイクル自体元々パワーロスをしないようにパーツなどが組み込まれているので、正直、そこまでのアシストの差は感じませんでした。
あと、ダイレクトに踏み込むのに慣れているので、シリコンを潰している時の、ふわふわ感が逆にパワーロスに感じてしまいます。
アシストばかりが取り上げられますが、その分、パワーロスもある事はニュースでは報じません。スポーツサイクルに乗っている人なら、それを感じるハズです。という結論から、ママチャリしか乗った事のない人だったら、ありかも…。スポーツバイク派だったら無しとさせて頂きました。
P.S.
「がっちりマンデー!!」他情報番組で世紀の発明風に紹介されますが、多分にテレビ的演出入っていますよ。あれ。森永さんぐらい自転車に乗れない人なら、恩恵あるけど、普通に自転車に乗れる人には…な、感じです。みんな、試乗もせずにテレビを鵜呑みにしすぎです!
その後、TVでいろんな特集をやるたびにこの記事のアクセスが上がりますが、いわゆる「すごい」として見せたい提灯記事、番組演出が多いです。
ほとんどの番組が走らないママチャリと比較して、勝つように比較しています。ベース車両をそこそこ走るクロスバイク等にして、もともと走るクロスバイクにつけたら、もっと良くなるのか?というような企画はありません。
電動アシストに勝った!と書いている記事もありましたが、「これで高い電動を買わないで済む」という発想を刺激する為のキャッチコピーで、電動アシストなら上れる激坂(急坂)を上れるようなものではありません。斜度5%以上の登坂対決やったら、電動アシスト自転車には勝てる訳がないのです。
つけるだけでパワーアップする!
「飲むだけで痩せる」という健康食品のように、エビデンスの無いものを「個人の感想です」で乗り切るプラシーボ効果的な物なので(物理的に人力での入力100が120になる訳がない)なので、個人の責任でお楽しみくださいとしか言えないですね。
【ここからはロードやクロスなど本格的に載っている人向け】
このアシストの恩恵を得られる(差を感じられる)のは、年配の方とか、あまり自転車に乗れない人でしょう。走るスポーツサイクルに乗っている人には、違和感しかないです。お店の方も、ダイレクトに脚力からのパワーを路面に伝えたい人には向かないと言っていました。自転車ならではの、軽快感、気持ちよさが失われています。乗れる人なら、踏み込みのムニュとした気持ち悪さは選ばないのでは?まず、そこをパワーロスと感じてしまいます。
転がり抵抗を極力減らして行くスポーツサイクルの発想からすると、わざわざ抵抗、パワーロスをするパーツをつけているだけとなります。
僕みたいに、もしかしてミニベロでヒルクライムに!的な発想を持った人はダメです。僕は写真の愛車KHS-P20で、都内有数の激坂、目白の「のぞき坂(斜度25度)」を登った事がありますが、フリーパワーでは登れないはず。ギアが足りないのです。だってフロントがシングルしかダメなので、インナーローが使えない。要はギア比を変えられる多段式の方が、圧倒的に登れるって事です。なので、どうあがいてもスポーツサイクルにはかなわないのです。僕みたいな発想の人は、シマノの11〜32Tとかの乙女ギアをつける発想の方に転換した方が、理想を叶えられると思います。
その前に、この12時と6時のパワーロスを埋めるシステム、スポーツバイク派だったら、ビンディングで、すでに享受してるのでは?「ペダルは踏むんじゃない!回すんだ!」という、ロードバイクで口を酸っぱくして言われるこの言葉を聞いた事がある人は、ペダリングで改善した方が早いです。さらに、ロードバイクだったら、踏み込む面を増やした、楕円チェーリングのROTORの「Q-RING」とか、そちらをつけた方がパワーロスは無さそうです。
良く分かりました。
つまり足の力を誤魔化すようなもので、結果楽にもなる・感じると言う事ですね。
自転車に乗る度に考えてましたが、これも一つの結論として、良い発明だと思います。
そもそも外部からエネルギーを与えられないのに“アシスト”になるわけない。
ゆっくり走る分にはいいんじゃないかな
膝を痛めないのでフリーパワー愛用してます。
それと自分はあのムニムニ感が好きなんですよねえ。
自分は徒歩で30km位は歩く人間なので、脚力ロスは大した問題じゃなくて脚の故障が何より怖いんですね。
反発力はペダルを戻す方向にも同じだけ働くので、シリコンを潰す分だけエネルギーロスにつながる。単純な話。
もしどうしてもこのギアを使いたいのなら、極限まで硬いシリコンを使うことでロスは防げる。金属でも良いでしょうね。
面白い記事でした。
効果があるなら自転車競技で使用可なのか不可なのか
心配していましたがまだまだ杞憂のようですね。
パワーロスを減らす、というのであれば成功しているか
失敗しているかは別として分かりますが
アシストと言う言葉はNGでしょうねえ。
詐欺と言えますね。
シリコンで力の伝達を遅らせてペダリングの効率化を図るってだけですね。
その効率化ができてるかどうかは計測不能なほど僅かなのに対し、シリコンの伸縮によるパワーロスは明白。
理論上はどう見てもマイナスでしかない。
いかに無知な主婦層を騙せるかが勝負です。
良い記事を有り難うございました。
ネットでテレビの動画をみてアレレ変だなと思いましたが,記事を拝見してやはりなぁと納得しました。
当方は物理屋ですが,エネルギー不滅の法則が頭に染みついています。
電力無しに,電動アシスト自転車並の走行性能はどう考えてもあり得ません。
坂道を下るときのエネルギーをゼンマイにでも溜めておく装置かなと思いましたが,そうではありませんでした。
シリコンを圧迫するときに,ペダルを踏んだエネルギーの一部は熱エネルギーに変換され,その分はエネルギー損失が発生しますので,総合的に見るとアシストにはなり得ないはずです。
脚力の弱い人には瞬間的には足が楽な印象を与えるかもしれませんが,ずっと踏み続ける感触があって,かえって足が疲れるのでは?
恐らく早晩消滅するのかなと思います。
しかし,マスコミはいいかげんですね。
ネットのお蔭で実際に体験された方の正直な感想が知れて良かったです。
チャリカフェさん,どうも有り難うごうざいました。
ちなみに,私は出張ではTSLで輪行していました。
結局のところタイヤが大きくて軽い自転車が楽だと感じています。
上下死点でゴムのたわみが戻って…て、その位置では脚のパワーが無いからペダル戻されちゃんじゃないですか?
つまりは上下死点に足がいる時間が長くなる。
近年、楕円ギアが流行ってますよね?
あれは上下死点でギア比を落としてます。
つまりは、その位置に足がいる時間が短い。
クランク水平に近い位置でギアが重い。
つまりはパワーを発揮できる位置で推進力を稼ぎます。
とても理にかなっています。
大昔にシマノが楕円ギアのシステムを売っていたのをご存知でしょうか?現在巷で売られているモノとは逆で、上下死点でギアが重くなります。つまり人体の構造上パワーが発揮できない姿勢(足の位置)での滞留時間が長くなります。
それと、このフリーパワーは同類ですよ。
パワー的に楽に走れることは有りえません。
恩恵を受けるとしたら、ひざの故障でおおきなちからでふみこむことができないような人だけでしょう。
ゴムを使っているからヒステリシスロスによって効率は落ちます。
ずいぶん昔に似たようなシステムは作られ、実際に売られたことがあります。ゴムではなくスプリングを使用したモノでしたが。
その製品はあっというまに消えました。
>泰造さん
やはりスポーツサイクルに乗っている人には物足りないシロモノですね。
試乗してない人がネットのニュースだけで絶賛しているのが、ちょっと気持ち悪いです。
いつもスポーツサイクルに乗っていて今回こちらのハードタイプ乗った感想ですが、頼りないというのが第一です。シリコンをスポーツ用にもっと固くしてシリコンの解放と圧縮が左右、逆になるようにしたらどうかなと考えましたが?そう!ロータリーエンジンエンジンのような構造ですね
>KOME さん
クロスバイクで100km~150kmくらいのサイクリングをするとの事ですが、であれば、かなり乗れる方なので、フリーパワーは逆に邪魔になると思います。
理論上はよさげなシステムなんですが、
実際に乗ってみると、自転車の軽快感がかなり損なわれています。
あれで100㎞乗るのは逆に苦痛というか楽しくないと思います。
余裕があればホイールを変えるとか、通常のスポーツサイクルの方法を考えた方がいいと思います。
スポーツバイク取付のインプレがなかなか出ないアイテムだなと思っています。先日試乗に行って乗り損ねましたが、商品現物は手に取って見れました。
時々ですが、私はクロスバイクで100km~150kmくらいのサイクリングをします。丘陵地だったり向かい風ですと、必ず数回は足をつり、帰路は足が棒状態です。もう少し走りに余裕が欲しいなと思っていたときに話題を聞いた商品です。
普段ママチャリに乗ったことがない私ですが、次はぜひ試乗してみたいです。
但し、中級グレードのコンパクトクランクと交換のメリットがあるかは難しいようですね。
>自転車初心者さん
まあ実際に乗ってみたらいいですよ。
スポーツサイクルと比較してみてください。
乗った事のない人に想像で感想を言われても、
どうマジレスしていいのかわかりません。
考えて見るとマラソンだってシューズが重要でしょ。
シューズはエネルギーをロスするだけで生み出さない。
でもマラソンには高性能なシューズが必要。
いろいろな緩衝材なんかを研究して少しでも効率よく走れるようにしている。
自転車では新しい方法論だけど他のスポーツでは当たり前のこと。
これから研究の進む分野だと思う。
>あるふぁさん
シリコンを潰してる時に、むにゅっとした感覚で、パワーロスしてる感じがしますね。 楕円か、ビィンディングの方がいいと思います。
以前Qリングスでスプリングを使って似たような事をしてたけど、
結局は楕円リングになっちゃいましたね
シリコンを潰してその反発なのでトータルではパワーロスしているのでスポーツバイクではありえないですね
>Mura-t さん
TVでは劇的に紹介されていましたが、実際に試乗してみると、また違った感想があるかと思います。
将来に期待したい感じですね。今は大騒ぎせずでいいと思います。
私も「がっちりマンデー」を見て、大変興味を持ちました。今朝からあれこれ調べて、この記事にたどりつきました。おかげで知りたかったことがたいへんよくわかりました。ありがとうございます。私もこの製品の進化を待ちたいと思います。
>ダーオカさん
コメントありがとうございました。
僕も番組で見た時は「え?」と思ったのですが、
実際に乗ってみると「あー、そういう事か」と思いました。
現時点では、スポーツサイクルには使えない感じというか、
自転車好きが求める爽快感とは、逆のベクトルです。
踏んでも、ふわふわして、暖簾に腕押し的な、変な感じです。
スポーツサイクル派は、ビンディングや楕円リングの方が、
求めている物に近いです。
ただ、これから進化するでしょうから、そこは暖かく見守りたいです。
はじめまして。
スポーツサイクル派の方で、実際に試乗した人の意見を是非聞きたかったのですが、こちらの記事はズバリでした。
現状はスポーツサイクルには余り関係なさそうで、ガッカリしたようなホッとしたような…機会があれば、自分でも試乗してみようと思います。
タイムリーないい記事ですね。大変参考になりました。
23区巡りの記事も、東京人として興味深く読ませていただきます。