自転車人

久々にいい雑誌に巡り会ったので、ちょっとご紹介したいと思います。

今週、雑誌「ぴあ」の最終号が発売され、39年の歴史に幕を下ろし休刊する事になりました。
電子ブックの事が話題になるたびに、紙媒体は電子とは違うと言われますが、
ドライな利用者からすれば、ネットの方がより情報は早く無料という事は否定できません。
残念な事に、こうした名物誌達も、次々に休刊、廃刊に追い込まれてしまっています。

なのに、どうしてこの本は、お金を出して買いたいと思ったのか。
それは、それぞれの記事に、担当者の思い入れが溢れていたからです。

まず、開いた所から驚き。
10ページにわたり、折りたたみ自転車プロンプトンの広告。
右5ページを使い、折りたたみ自転車が組み立てられる様子が、
パラパラ漫画のように構成されていて、
反対側の5ページは、写真とポエムのような構成。
10ページを使って「折りたたみ自転車を使って旅をしたら素敵」
という世界観が作られているのです。

安いタイアップ記事全盛の中で、こんなアイディア広告、
最近、お目にかかった事がありません。
まずそこで掴まれまれました。

特集は、それぞれが好きな自転車道という切り口で、
バランスを取った構成ではなく、本当に好きという方の比重が高く、
ライターの皆さんの文章の熱が違います。

その他も「自転車が好き」という共通の意思を持ちながら、
漫画やAV監督の目線というサブカル的な切り口あり、
原発のある風景を自転車という切り口で捉えたジャーナリスティックな視点、
いろいろな見方があって面白い。

自転車雑誌やムック本は、ほぼ全部チェックしているけれど、
大きく分けると、レースがメインのもの、カタログ的な物、初心者向けの物
この3つに分かれ、内容も毎号似たり寄ったりだったりするのだけど、
この本は、かなり「好き」「趣味」という視点で割り切って
好き勝手やっている所が、逆に自転車心をくすぐられました。

自転車に対する愛に溢れているんだなあ。

まあ僕が熱弁したところで、そんなに自転車好きではない人にとっては、
手にとってみても、それほど響かないかもしれません。
でも、自転車好きの方なら、ぜひ手にとって見て欲しい一冊。
たぶん、どこかのページでツボをつかれると思います。

夏号という事なので季刊誌ぽいのですが、だからこそ出来る技なのかな?
こういうカラーの本だからエイ出版かな?と思ったのですが、山と渓谷社でした。

テレビもラジオも紙媒体も、いつのまにやらルーティンと、
その業界のしがらみと、お約束に漬かってしまい、
「好きだからやりたい」という原点が失われている気がします。

やっぱり原点は「好き」というパワーなんだよなあ。
忘れてたな。
そういう意味では、自転車という要素に限らず、
自分のクリエイティブな部分も、悔しく思える感じで刺激されたのでした。

ラジオのアイディアも、いろいろ湧いてきたぞ…!

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