イニシエーションラブ

イニシエーションラブ

映画が終わると客席がざわつきました。
「え?何?意味がわからないんだけど」

たぶん、原作を読んでいない人達でしょう。
そういう意味では、

映像化不可能と言われた『イニシエーション・ラブ』がついに実写映画化!!

これには成功しているのでしょう。
ツイッターなどを見ても、高評価のツイートが多かったです。

ただ!これは原作を読んでいる人と、読んでいない人では、
大きく評価が変わる作品だと思います。

残り3行で全てが覆る

と絶賛された原作。

あの仕掛けをどう映像化するのか?という視点で見に行くと、
大きな肩すかしを食らう事になります。

え?まさかこの、チープな仕掛けじゃないだろうな?

でも、そのまさかでした。
一番騙されたのは、

「原作とは異なる衝撃のエンディング!」

そう予告編でうたっているのだけど、たいしてかわりません。

原作を読んでいない人にネタばらしをする為につけた、
おまけのようなエンディングの事を言っているのだと思いますが、
わかりやくしすぎてコントのオチみたいになっています。
なので、原作を読んだときの後味の悪さ、怖さが全て消えてしまっています。

まあでも、当然、初見の人が多いわけだし、
作品としては、十分インパクトを与える作品に仕上がっているのでは?と
思わせました。

ただ、原作を読んでいる人は、あせって観なくてもレンタルで十分だと思います。
ちゃんと自費で観たので、このぐらいの事は言わせて貰います。

たぶん、この時代を知っている人間で、しかも男だから、
映画に登場する懐かしのアイテムが、すぐに認識出来、
あれ?これ変わってるじゃんと、すぐに仕掛けがわかってしまいます。
そういう意味では、女性の方が騙されやすいかも。

そして、仕掛けを成立させる為に、
前半戦をコメディーよりもっと大袈裟なコント寄りの演技に演出しています。
そこで、いろんな演出をデフォルメして、仕掛けを隠そうという作戦。

後半線は徐々にシリアスにして、作品のクオリティーを取り戻そうとするのですが、
そんな構成の為、
コントチックに演出された前半の主役、前田敦子さんと、
シリアスに演出された後半の主役、木村文乃さんの演技力の差が激しすぎて、
ちょっと前田さんが可哀相。
前半と後半では、求められている演技の質が違いますからね。
意図がわからないと、単なるヘタな人に見えてしまいます。

今となっては笑える肩パット的ファッション、ソバージュ
80年代半ばの、バブル時代の品の無いファッションをまとい、
1986 OMEGA TRIBEの君は1000%とかの当時の音楽がかかり、
デフォルメされたコントチックな演技をするから、
当時を知る人間からすると、安手のカラオケビデオにしか見えません。

ビデオって!
カラオケがレーザーディスクだった頃のムービーのクオリティーって事です。

たとえばこれ、清純派イメージだった、若き宮﨑あおいとか、若き蒼井優とか
清純派で演技力ある女優が、さらっと前半戦をやったら、
もっと怖い映画になるんだろうなあ。

んーそうなると仕掛けが機能しないか。

…と、まあ、ありがちな原作厨、信者みたいになってしまったけど、
この作品においては、手品のタネを知っていて、
それでも騙してくれるんでしょ!とプラス1を期待して観てしまう作品なので、
え?まんま?と厳しくなってしまうのは、致し方ない事だと思います。

ただ、8割なのか、9割なのか、
原作を読んでいない人達が、まんまと騙されているので、
「映像化不可能」を「映像化させた」というのは、
ある意味正しいと思います。

原作を読んでない人は、観たら面白いと思いますよ。
シックスセンス的な、大逆転が待っています。

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