潜水艦映画マニアが「沈黙の艦隊」を観てきた!

潜水艦映画マニアとして待ち望んでいたのが、漫画&アニメの実写化「沈黙の艦隊」です。原作者の「かわぐちかいじ」さんも好きで、ビックコミックで連載中の「空母いぶき」も読んでいます。

ただ少し不安要素もありました。先に実写化された「空母いぶき」が、古い邦画の手法で、本来、緊張感をもって進められるハズのストーリーが、回想だの平和ボケシーンの対比などで不用意にさし込まれた為、勢いが分断されてしまう事。また、シン・ゴジラでは、この危機を回避する為にどうしたら良いか、効果的に作戦会議シーンが挿入されていましたが、以来、危機回避ものには会議シーンが挿入されるようになって、しかも危機回避ではなく、責任のなすりつけ合いという意味のない物に。映画.comでも総合の点数が2.4という駄作中の駄作として烙印を押されてしまっていたからです。

さて「沈黙の艦隊」。「空母いぶき」にあった平和ボケ表現の無駄なコミカルなシーンは出て来なかったので、そこは一安心。

大沢たかおさんと、玉木宏さんの二人の艦長が対峙するシーンも、迫力があり、これはいいぞ!と思っていました。

が、しかし、二人の演技が良すぎて、まわりの役者の演技の下手なのが浮き上がってしまうという反面も。大沢たかおさん以外あまり言葉を発しない「やまと」乗り組み員は悪目立ちしなかったのですが、玉木宏さん率いる「たつなみ」の方は、台詞の棒読みや古い演技が目立ちました。出来るソナーマンを演じるのに、昔の業界ドラマのディレクターみたいに、今時、指パッチンを連発して出来る感をアピールしたり。ただ、静かに冷静に分析結果を話すだけで良かったのに。

ただ「たつなみ」側が余計な演技をする為に、黙々と任務につく「やまと」側が、有能に見えるという効果もあったので、そういう狙いもあったのでしょうか?と深読み。

ただ、そういう古い演出がちょいちょいがっかり感を出します。総理が緊張するとフリスクのようなミントタブレットを食べるのですが、それがちょいちょい挟まれてうざかったり。コミカルなシーンでもないのに、そういう古い演出が挟まれて、ガッカリさせられます。

ストーリーの方は「沈黙の艦隊」好きからすると、全体のかなり手前で話が終わってしまい、あれ?という感じで、肩透かし。

その後の、空母エンタープライズ率いる米軍艦隊と戦うシーンがハイライトなのに、そこまで行かないのです。続編があるかのような、この後、どうなる的な終わり方をするのですが、実は、事情があってこの後まで行けないので、中途半端ななシーンで終わらせたのでは?と思いました。

この後、原作ではアメリカ海軍に集中攻撃されるのを、艦長の巧みな操艦でかわし、その裏から空母に打撃を与え沈没させてしまうという話が控えていました。

さすがに、フィクションとはいえ、アメリカの象徴である空母エンタープライズを沈めては、国際問題になると、手前で終わったしまったのはないでしょうか?この「沈黙の艦隊」は、この後、シーズン3まで作られたアニメなのですが、その後もアメリカの最新鋭のイージス艦や原潜などと戦い、次々に沈めていくという話になります。

「空母いぶき」は、漫画では中国やロシアと戦うという話なのですが、映画では実在する国ではなく、謎の第三国と戦うという設定になっていました。やはり、これから後のストリーは、アメリカ国民の感情に配慮して、手前で終えたと推測したくなります。

舞台挨拶では、大沢たかおさんから「続編に期待してください」的なコメントがありましたが、あの後、空母を沈め最新鋭イージス艦を沈めるシーンを描けるのでしょうか?だったら続編を観てみたいと思いますが…。

潜水艦映画マニアからすると物足りない映画になってしまいましたが、映像等はが頑張っていたので、戦争映画マニアでなければ、迫力ある映画と評価する人も多いのではないでしょうか?

以前「潜水艦映画、個人的ベスト10」という記事を書いています。

「沈黙の艦隊」の原作の方は、【第1位・Uボート】のような絶体絶命からの脱出劇と、2位【第2位・眼下の敵】のような、好敵手による頭脳戦を併せ持ったような、ストーリーなのです。だいたいの潜水艦映画は、この二つの作品の手法を踏襲しているので、ぜひ、見比べてみてはいかがでしょうか。

Pocket
LINEで送る