チャビィ(代田橋)

看板

目が覚めたら無性に沖縄そばが食べたい気分だった。
何故だろう?
昨日の夜、沖縄のドラマを観た訳でもなく、沖縄の話をした覚えもない。
なぜ、唐突に沖縄そばが食べたくなったのだろう?

窓を開けたら、少し謎が解けた気がしました。
近所の小学校で運動会をやっていたのですが、
ダンスの時間らしく、よさこいソーランみたいな音楽がガンガンかかっていたのです。
その音楽に合わせて、子供達のかけ声も聞こえます。

寝ぼけていたので、もしかしたらそれが沖縄民謡に聞こえていたのかもしれないし、
その前に、本当に沖縄の音楽がかかっていたのかもしれません。
ともかく、この音楽が原因のような気がしました。

原因については納得したけれど、食べたい気持ちは変わりません。
確か、杉並に沖縄タウンみたいな商店街があったハズ。
ネットで調べると、杉並・和泉名店街だというのがわかり、出かける事にしました。

駅で言えば、京王線の代田橋の近く。
道路で言うと、甲州街道と環七がぶつかる付近。
街灯には「小さな沖縄、生まれタウン」という旗が。

和泉名店街

住宅街の中にある和泉名店街は、小さな商店街。
かつては、ご近所の買い物客で賑わったのでしょうが、
ご多分に漏れず、スーパーやディスカウントストアの進出で衰退。

人通りが少なくて、ロケには最適と、
ドラマ「一つ屋根の下」の柏木クリーニング店などの撮影がされたりしましたが、
素直には喜べない状況だったようです。

「スーパーなど大型量販店にはない特徴を!」
…という事で考え出されたのが「沖縄タウン化」。

「杉並区は沖縄学の父と言われる伊波普猷(いはふゆう)が住んでいた」
…というのが、沖縄化のコンセプトの一つだけど、
正直、こじつけで、どんな事をしてでも町おこしをというのが本音らしいです。

のれん

沖縄化という事で、各お店では、沖縄にちなんだ商品やメニューを置いていて、
中華屋さんの軒先では「沖縄焼きそば」の暖簾がたなびいていました。

いじゅん

商店街直営の、沖縄物産店も。

店頭

店頭には、沖縄そばのカップ麺やサーターアンダギー、紅いもタルトなど、
沖縄にまつわる食品やお菓子がいっぱい。

ゴーヤーマン

NHKの朝の連続ドラマ「ちゅらさん」で人気となった、ゴーヤーマンもいました。
懐かしい!

大都市場

もともとは、商店街の中心として賑わった大都市場が寂れ、
シャッター街となってしまった事から、商店街の活気が失われたのですが、
現在は、その空き店舗に沖縄のお店を誘致して、逆に特色を出そうとしています。

大都市場

日曜日だったので、沖縄関連の商品のお店はお休みで、
昼間だったので、沖縄料理を出す居酒屋さんたちもお休み。
…という事で、シャッター街化していますが、
平日の夕方とかに訪れたら楽しそうな雰囲気がします。

この沖縄タウン化するにあたっては、
「沖縄ブームを当てにして変な事をするな」という
反対の声ももちろんあったようです。

何かをしようとすれば、反対の声があがるのは、どこも同じ。
でも「変な事をしない」というのは「何もしない」というのと同じで、
衰退ベースの中では、衰退をただ見守るだけ…と同じ事だとも言えます。
こうして都内をまわってみていると、
生き残っているのはやはり、何かをしている町の方です。

事実、沖縄タウンがあったから今回訪れた訳で、
この町の事が書かれているブログの多くが、そんな人達が書いたものです。
本物のリトル沖縄になる為にも
ぜひ、次のステップとして、沖縄出身者達が集まり住む街へと進化して欲しいです。

首里製麺

さてさて、前置きが長くなってしまったけど、念願の「沖縄そば」へ。
首里製麺というお店。

「やってるさ〜」の看板が出てたので、入るさ〜。

メニュー

メニューには、「そば」ではなくて「すば」と書かれてあったさ〜。
ウチナー(沖縄)では、「すば」っていうらしいさ〜。

調味料

赤く塗られた箸。
琉球ガラスのコップに入ってるね〜。
沖縄料理のお店に行くと、どこでもこれが出てくるさ〜。

左にあるのは、小ぶりの島唐辛子を泡盛に漬け込んだ沖縄の調味料「コーレーグス」。
右にあるのは、石垣島などで出される八重山そばには欠かせない、
胡椒のような味の「フィファチ粉」。
カウンターの上だけでも、沖縄ムード満点さ〜。

首里製麺

全部入りという感じのメニューが「首里製麺」さ〜。
小ソーキ、ラフテー、もずく、アーサー、八重山かまぼこ、ネギ、生姜。
いっぱい乗ってるね〜。
「沖縄だし」と「首里だし」が選べるんだけど、
「沖縄だし」がオーソドックスなスタイルだというので、そっちにしたさ〜。

ホントはどうかわからないけど、沖縄そば…いや沖縄すばって、
ラーメンと違って、体に良さそうな感じがするね〜。
スッキリしたスープだからかね〜?
昆布と鰹節、それに塩と、とってもシンプルさ〜。
コーレーグス入れると、さらにウチナームードが盛り上がるね〜。

今度は、首里だしも食べてみたいさ〜。
また来たいね〜。

■首里製麺
■東京都杉並区和泉1-3-6
■営業:
11:30~15:00
18:00~23:00
11:30~23:00(土日祝)
■定休日:水曜
場所はこのへん

ラポルタ和泉

この商店街の近くには、ちょっと変わった建物があります。
壁面に大きなペガサスが描かれているのは、
ラブホテルではなく、「ラポルタ和泉」というマンション。
日本のガウディと言われる梵寿綱(ぼんじゅこう)が手がけた建物です。

場所はこのへん

代表的なのは、早稲田にある「和世陀(ドラード早稲田)」という建物。
早稲田や池袋にも梵寿綱が手がけた建物があり、
建築物マニアの聖地っぽくなっているので、今度、通りかかったらまた紹介しますね。

樹下美人図

正面にあるのは、樹下美人図というそうです。
いわゆる美人画の一つのスタイルなのですが、
伝説のマンガ「がきデカ」の「死刑」のポーズに見えなくもない。
これだから凡人はイヤになります…。

マインド和亜

同じ通りを100メートルぐらい進んだ所にあるのが、
同じく梵寿綱が手がけたマンション「マインド和亜」。
1階がデイリーヤマザキになっているのですが、
さすがに看板などは埋め込めなかったらしく、別立ての電柱スタイルとなっています。

場所はこのへん

カフェ

コンビニの反対側にはカフェらしき物があったので、
本来ならここに入りたかったのですが、
定休日なのか、閉店したのか、開いてませんでした。
残念。
店内がどうなっているのか見てみたかった…。

自転車でこの辺をウロウロしてみたけど、
住宅街でカフェがある気配もないので、代田橋周辺で探すことに。

住宅街

甲州街道を渡った駅周辺は、世田谷区。
駅の近くを散策したのですが、見つからないのでiphoneで検索。
すると、この付近にカフェがあると出たのですが、アパートが建ち並ぶ住宅街でした。
本当に、あるのでしょうか?

と、思ったらありました!
左側の2軒目が、それらしき感じです。

チャビィ

お店の名前は「CHUBBY(チャビィ)」
全面ガラス張りですが、店内の明かりの方が抑えられているせいか、
丸見え感はありません。

店内

お店は意外に広くて、この見えているスペースの左側に、
この二倍ほどのフロアがあります。
聞いたら、元々は工場と倉庫があったスペースをぶち抜いて、
一つの広いフロアにしたのだそうです。
手前はコンクリートむき出しの床なのですが、左手は板張りで、
かつて違う部屋だった事を偲ばせます。

広いスペースを使って、席と席の間隔も離れているので、
圧迫感がなく、ゆったりとした雰囲気。

時計

店内には、所々に棚があり、アートスペースとなっているのですが、
現在行われているのは、大阪のアーティストによる手作り時計展。
実際に購入する事が出来ます。

どら焼き

頂いたのは、どら焼きプレート600円と、アイスカフェラテ500円。
パンケーキのような、どら焼きの皮に、
きなこのクリーム、生クリームとクリームチーズのホイップ、
バニラアイス、ミルクアイスと、4種類を餡の代わりに乗せて頂きます。
それぞれの餡を試しながら食べるのが楽しい。

こちらで一番素晴らしいと思ったのは接客です。

チェーン店のようなマニュアル化された接客でもなく、
ベタベタしたフレンドリーさでもなく、
かといって、放っておく訳でもなく、
とにかく心地よい距離感なのです。

かゆいところに手が届く…という感じでしょうか?
サービスというよりは、さりげなく気が利くという感じで、
これは教えられてどうこうというより、その人のもつ本質のような気がします。

探さないと見つからないような場所にありながら、この時も満席だったのは、
オシャレなだけでなく、そういう心地よさがあるからに違いありません。

写真にあるように、帰る際にはお見送りしてくれます。
自転車の鍵を外しながら、また来たいなあと思っている自分に気づきました。

■チャビィ
■東京都世田谷区大原2-27-9
■営業:12:00~翌2:00
■定休日:火曜日
場所はこのへん

お店のサイト

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チチカフェ(二子玉川)

水道道路

高円寺から世田谷に向かって、斜めに真っ直ぐ走る道があります。
東京都道428号高円寺砧浄水場線。
通称、水道道路。
大正時代から昭和中期にかけ、多摩川の水を砧から野方経由で、大谷口まで送るため
地下に埋められた水道管があり、その上を走るのが、水道道路です。

自転車乗りなら覚えておいた方がいいよとアドバイスされたこの道。
青梅街道と環七の交差点から、すぐ近くのここが入り口です。

正直申してクロスバイクは、まだ初心者。
お尻の痛みがやっとおさまりつつある程度の、ケツの青い自転車乗りです。
いろんなアドバイスがホントに助かります。

水道道路2

ごらんのように、どこまでも真っ直ぐな道が続いています。

井の頭線

永福町のあたりで、井の頭線とクロス。

環八

環八など大きな通りを渡る時、渡れる信号の所まで迂回するので
続きがどこだかわからなくなるのですが、そんな時に、確認するのがこの方法。

看板

この道は、水道管を守るために4トン以上の車は通ることが出来ず、
道の入り口付近には、こんな看板が立てられているので、
路地を覗いて、これがあったら正解です。

ポール

さらに、車の車幅を制限するために、こんなポールも立てられています。
…という訳で、大きな車が通らないので、自転車にとって優しい道。
自転車乗りなら覚えておいた方がいいという意味がわかりました。

ちなみに正面に見えている高架は小田急線で、祖師ヶ谷大蔵付近です。

野川

こちらは多摩川の支流でもある野川。
国分寺あたりからはじまり、二子玉川の鉄橋の下あたりで多摩川に合流します。
橋の名前は「水道橋」。
欄干の外に、青い水道のパイプが走っているのがわかりますでしょうか?
水道管を、川をまたいで渡す為の橋なのです。

ちなみに、東京ドーム近くの水道橋は、神田上水を渡す為の橋だそうです。

車で走ってたらこんな事も知ろうとしなかったのでしょうが、
人力で必死になって来ただけあって、元をと取ろうと色々観察、
そして家に帰ってから気になる事を調べたり。
これが自転車旅のいい所なんでしょうね。

多摩堤通り

荒玉水道道路から多摩堤通りへ。
その名が示すとおり、多摩川沿いの道路。
こうなると、二子玉川も射程圏内です。

野川

先ほどの野川に再び合流し、川沿いの遊歩道を走ります。
この日は灼熱の真夏日。
正面に見える二子玉川の高層ビル群が、砂漠のオアシスのように浮かんで見えます。

あともう少し…。あともう少し…。
ラクダに乗った旅人達も、きっと同じような気持ちになったんでしょうねえ。

チチカフェ

そしてたどり着いたのが、二子玉川。
駅は「ふたこたまがわ」だけど、地名の由来となった対岸の二子は「ふたご」。
ここにあった渡し船は「ふたごのわたし」と呼ばれていたそうです。

細川たかしさんの歌で有名な、江戸川の「矢切の渡し」も、
地名は「やきり」なのだけど、バス停などは「やぎり」で、歌も「やぎり」と歌っています。

地元の江古田も駅は「えこだ」だけど地名は「えごた」。
色々とややこしいですね。

高層ビルの麓に位置するのが「チチカフェ」です。
高級住宅地の中にある、テラスのあるカフェなのですが、
もう汗だくだったので、テラスが空いてて良かったー。
だらだらの汗で室内に入っていくのは、しのびなかったもので。

※この時訪れた後に、サイクリストが増えたせいか、バイクラックも設置されました。

和風ドライカレー

頂いたのは和風ドライカレー。1000円。
隠し味に味噌を使ったカレーで、こちらの人気メニュー。
和風というだけあって、味噌がスパイスの尖った部分を消してくれ、
マイルドというか、優しい味に。
半熟の目玉焼きを崩しながら食べれば、さらにマイルドに。

ルーの中にはクルミが散りばめられているのですが、
ナッツ系でありながら、和風の香りがします。
東北とかの山里にいくとクルミの料理などもあったりするのですが、
そんな田舎の風景を思い出させてくれる味です。

アイスコーヒー

ランチメニューには、200円プラスでアイスコーヒーなど、
ソフトドリンクをつける事も出来ました。

ところで、正面に並ぶ白い物は、工事用の目隠し。
本来なら、あそこに河原の風景が見えるハズなのです。

工事中なのを知らずに、練馬から自転車で来た事を告げると、
他の河原が見えるカフェも親切に教えてくれました。
そんなつもりではなかったのですが…。
本来であれば、河原に吹いているであろう風を感じながら、しばし休憩。
川が見えなくても十分に気持ちいいのだから、
見えたらもっと素敵なんでしょうねえ。

■CHICHICAFE(チチカフェ)
■東京都世田谷区多摩川1-2-8
■営業:11:00~22:00(L.O)
■定休日:不定休
場所はこのへん
お店のサイト

堤防

そういえば、昔テレビ番組で見た事を思い出しました。
この二子玉川に堤防を作る事になった時、反対したのは川沿いに立つ料亭。
その河原を借景としてお店を作っているので、景色も売り物の一つ。
だから、例え洪水で沈んでもいいから堤防を作る事には反対したと。
なので、お店の背の方に堤防があるのでした。

そういう経緯があるのにまた内側にも堤防を作ろうとしているので、反対運動が起き中断。
そのために、景色も見えないし、堤防も見えないという
躊躇半端な状態が続いているとの事です。

河原

お店の人に教わって、自転車で河原へ降りられる場所へ。
お店の前から、こういう風景が見られなくなるというのは、
やはり大きな損失ですね。

帰りは246から環七を経由して帰宅。
正直こういう幹線道路を使った方が、時間がかからないのですが、
自転車で走っていても一つも面白くありません。
効率を追求して作った道沿いは、同じようなお店が並び、同じような風景が続きます。

かつてはコンビニのようなPOSシステムが効率的と重宝されましたが、
結果、金太郎飴的な商品が並び、個性が埋没し、
人力で個性の違いを出す時代になってきました。

自転車で旅をしながら、効率重視の街作りというのも、
そろそろ時代遅れになって来ているのでは?と、ふと思いました。

今回のルート。

 

自転車で23区カフェ制覇の旅…ただ今、10/23区。

地図

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