三軒茶屋の246と世田谷通りに挟まれた中州のような部分は、
古い建物が多く残り、昭和を感じさせてくれるスポットです。
今回は下北沢のモワカフェに続き、
リノベーションプランニングが手がけた古民家作品シリーズを訪ねます。
こんな所にお店なんかあるのか?というような路地。
そして、開店前の居酒屋にしか見えない建物。
リノベーションプランニングの手がけたお店は、看板らしい看板がないので、
知る人ぞ知る穴場というような雰囲気を醸し出しています。
「レイン・オン・ザ・ルーフ」。
まあ、カフェマニアにとっては有名なお店なんだけど、
そうじゃなく、たまたま通りかかってじゃ、扉を開けるのは少し勇気がいりそう。
僕も最初は、一度通り過ぎてしまったのですが、入り口はこちら。
黒いメニューの看板が出ていなければ、何のお店かさえわかりません。
「あなた、カメラマン?」
この写真を撮っていると、オバさんに声をかけられました。
派手な化粧で、赤い口紅をしてる。
もうお亡くなりになられてが、派手な格好でテレビに出ていた
「大屋政子」さんに風貌が似ている。
「いえ、アマチュアで」
「そうなの?うちの店もね、この間カメラマンに撮って貰ったのよ」
「お店やっていらっしゃるんですか?」
「そうなのよ!」
それから、しばらくオバさんの立ち話に付き合わされました。
娘さんが国際結婚をして、そういう人達の特集で、
お店に来て、撮影とインタビューとなったようです。
「インターネットっていうの?あれで全世界に発信されるんだから」
話しはなかなか終わらない。
どうやって終わらせていいのかわからず、ずっと「凄いですね」と聞いていました。
それが逆効果だったのか、「そうでしょー」と、さらに自慢話がはじまります。
弱った…。
しかたがないので、鳴ってもいない携帯電話を取りだし、耳にあて
「あ、もしもし、今、下に着きました。はい、今あがります」
と、さも待ち合わせでもしていたかのような台詞を吐き、
オバサンに軽く会釈して、階段をあがりました。
1階は今でも現役の居酒屋さんなのですが、
その宴会場だった場所をリノベーションしたのでは?というお店。
2階ぶち抜きのワンフロアです。
お客さんを見ていると、ご近所に事務所をかまえるクリエーター関係の方が、
お茶がてら、打ち合わせや会議をしていると言った感じの人達が多数。
ちなみに僕の隣はゲーム業界の人らしいのですが、
最近の発注は、手間と時間に見合わない予算や報酬の物が多いと、ぼやいていました。
今はどこもそうなんですね。
居酒屋時代に使われていただろう古いエアコンと、
今の機種が混在する壁は、なんだかエアコン博物館のよう。
カプチーノは600円。
最近思うのだけど、今どきの女のコも、サラリーマンも、オバチャンも、
耳が悪いんじゃないかと思うぐらい、何でこんなにも声が大きいのかと思う。
耳にipodをしたまま話してるんじゃないかという、若いコ。
性能がいいので小声でも聞こえるのに、大声で携帯で話しているサラリーマン。
女と羞恥心を捨ててしまった時から、ボリュームのあがるオバチャン。
そんな人をよく目にします。
だからお店が静か。それだけで嬉しい。
BGMも音量は低め、それぞれのテーブルの話し声もひそひそと。
静かなお店は、自分だけの世界にひたる事が出来るので、
だからカプチーノでも飲みながら、妄想も出来るし、構想を練ることも出来ます。
天井をぶちぬかれて、むき出しになった屋根を見ながら、
店名にもなっている、屋根に降る雨粒。
それを想像する事も出来る空間となっています。
■レイン・オン・ザ・ルーフ (rain on the roof)
■東京都世田谷区三軒茶屋2-14-22 池田屋 2F
■営業:11:30~23:30
■定休日:日曜日
■場所はこのへん
■お店のサイト