講談師、神田松之丞の真打ち昇進・6代目神田伯山襲名の披露興行が、11日の火曜日、東京・新宿の末広亭で始まりました。
寄席のチケットは当日券のみ。つまり並ばないと買う事が出来ません。そこに来て「チケットの取れない男」が代名詞にもなっている神田松之丞、改め神田伯山襲名披露だけに、初日は、かなりの数の徹夜組が出たそうです。
異例の事態と混乱に本来なら10時半の整理券配布を、初日は、午前7時に前倒しして配布し、9時には満員札止め。ちなみに講演は夜の部なので、17時スタート。10時間前に配布した事になります。
僕が並んだのは襲名披露興行3日目の13日、木曜日。配布3時間前の7時30分に到着すると、30名ぐらの行列。この日は雨予報だったので、穴場かな?と行ってみたのですが正解!途中少しパラパラ来ましたが、そんなに激しく降られる事もなく、3時間を耐えきり、良番の整理券をGET出来ました。
新宿ゴールデン街で人気のカレー屋さんのランチまでにはまだ早い!
そこで、ゴールデン街の一角、吉本興業の向かいにあるテルマー湯へ。
この日、昼は17度まで上がった4月並みに陽気でしたが、さすがに整理券行列に並んだ朝は寒かったです。そこで、冷え切った体をサウナで温めようという寸法です。
平日の昼11時ですから、勤め人のような人は少なく、外国人観光客と、朝まで飲食店で働いて仮眠しに来たような人達も。派手目のお姉さん方もいらしてましたが、歌舞伎町ならではのご職業の方々ですかね。
ちなみに、テルーマ湯にはバイクラックもありましたが、さすがに治安の悪いこの付近に、高級ロードバイクで乗り付ける人はいないでしょうね。
サウナで整った後は、レストランで「鶏肉と香草のフォー」を頂き、スマホを充電しながらバイブアラームをかけて、仮眠。
そして、末廣亭、夜の部は16時30分集合なので、行くとこの人だかり。
整理券良番GETの甲斐あり、下手側、前から3列目で鑑賞。
中入り後の、真打ち昇進披露の口上に、師匠神田松鯉、落語芸術協会の春風亭昇太会長、三遊亭好楽、桂米助、桂文治という先輩方が並び、愛情たっぷり、ユーモアたっぷりの祝いの口上を述べていきます。
真打ち昇進の口上は、日本の伝統芸能の行事の一つであるのにもかかわらず、多くの人が見た事、実体験した事がない物の一つです。それを今回初ではありますが観ることが出来、富士登山をした時と同じような、日本人で良かった〜的満足感が生まれました。
そしてトリの神田伯山の講談「吉岡治太夫」。
人を物語りの中に没入させる勢いとテンポの良い語り口。まったくスタイルは違うけれど、山寺宏一さん、林原めぐみさんなどが出演する音楽朗読劇「VOICARION」同様に、語りと演技の頂点を体験出来る世界観。
「講談=古い=難しそう」という方程式を、あっさりと壊してくれる破壊力が素晴らしい。
伝統芸能でありながら、あまり知られていない講談の世界に、1人スターが生まれただけで、連日満員札止めという現象が。伝統ばかりを重じるあまり、斜陽していく事が多い中で、伝統を守るところは守り、壊すところは壊す。それが昔からのファンにくわえて新しいファンを獲得し、裾野を広げました。
将来、人間国宝になるだろうと言われている神田伯山のお披露目に立ち会えて、至福の時を過ごさせて頂きました。
ご本人のYouTubeチャンネル【神田伯山ティービィー】で、僕が行った3日のダイジェストがアップされていました。