ロット・ベリソル

ロット・ベリソル

野球やサッカーの開幕はまだ先ですが、
自転車ロードレースは、一足お先にシーズンインしました。

僕が今年応援する事に決めたのは、Lotto-Belisol(ロット・ベリソル)という
ベルギー・に拠点を置くチーム。

スポンサーとなっているロットは、宝くじの公社の名前で、
ベリソルは、ベルギーのサッシのメーカーです。
日本で言うと鹿島アントラーズのスポンサーのリクシルみたいな感じ。

リドレー

使用機材は、ベルギーのメーカーのリドレー。
レースによってノアだったりヘリウムだったり、フェニックスだったり。

まあこのページをご覧の方は、おおかたがカフェの方への興味で、
自転車ロードレースには興味がない人が多いでしょうが、
今年は、ロードレースを舞台にしたマンガ「弱虫ペダル」もアニメ化されるし、
もしかして、興味を持つ人もいるかもしれないので、
自転車ロードレースの基本中の基本を紹介しておきたいと思います。

■自転車ロードレースは、個人戦に見えてチーム戦

ここが一番わかりにくい所でしょう。

1チーム9人で戦うのですが、
各チームは自分たちのチームのエースを勝たせる為に、
残り8人が自分を犠牲にしてアシストするというレースです。

自転車レースは200㎞近い行程を、平均50〜60㎞のスピードで進みます。
そして瞬間的なスプリントでは75㎞ちかく
下り坂では100㎞近い速度に。

そのぐらいのスピードで走るバイクに乗ったことがある人、
車から手を出してみた事がある人ならわかると思うけれど、
一番からだの負担となるのは風圧です。
しかもエンジンではなく、自分の力ですから、
これで体力を消耗してしまうと、最後のスプリントで勝負が出来ません。

トレイン

その為、各チームは縦一列になって走ります。
後ろにエースを置いて、チーム一丸となって風よけになり、
エースの体力を温存するのです。

この縦一列の状態を、トレインといいます。

電車がつながって走っているかのように見える事から、そう呼ばれます。

僕はこのトレインが美しいチームが好きなんだけど、
それがロット・ベリソル。

ゴール間近になると、さらにスピードアップするので、
前で風よけとなっていた選手が力尽き、列から離れて後方に落ちていきます。
それを多段ロケットが切り離されていく様にたとえられます。

エースを最後まで守ってゴール間際で前に出す役の人を、発射台と呼びます。

自分を犠牲にして、最後までエースを守る。
ドラゴンボールとかワンピースとか、
そういう日本人が好きそうな要素満載な訳ですよ。実は。

グライペル

さて、一足先にシーズンインと書きましたが、
1月20日に、オーストラリアで、ツアー・ダウンアンダーという、
市街地を周回するレースがありました。

これでもロット・ベリソルが見事なトレインを見せ、
エースのアンドレ・グライペルを勝たせています。

3位なのに万歳しているのは、グライペルの発射台のグレッグ・ヘンダーソン。
彼は自分の仕事をきっちりして、エースを勝たせたので、
3位でも万歳なのです。
もちろん、エースを勝たせた事は、チームからもきっちと評価されます。

というような基礎知識を頭に入れた所で、
そのツアー・ダウンアンダーの後半の動画をご覧ください。

時系列で説明していくので、別タブとかで動画を開き、
説明を見た方がわかりやすいかもしれません。

■0:00
後半戦なので、各チームともレースの前方に位置をとろうとしてあがってきます。

まず最初に前に出たのは、白いジャージのチーム、アルゴス・シマノ。
ロット・ベリソルはその後ろで様子を伺っています。

■1:00
このへんで、白いジャージのアルゴス・シマノに代わって、
緑と青のジャージのチーム、オリカ・グリーンエッジが上がってきます。
このチームのエースが、最後、ロットベリソルのエースと戦う事になります。

■1:50
画面右端に青に黄色のラインの二人組があがってきます。
サクソバンク・ティンコフバンクというチームの選手で、
実は前を走っているのは、日本人の宮澤崇史選手。
エースを、いい位置に連れて上がってきたのです。

■2:00
宮澤選手、エースを連れて先頭まで来ました。
その時に、上空から見て右、正面から見て左からあがってくるのが、
ロットベリソル。

■2:20
ロット・ベリソルはチーム一丸となってスピードをあげて
他のチームのトレインをぶっちぎろうとします。
その後ろにいる青に黄色のラインの宮澤選手は、
なんとか自分のチームのエースを、ロットベリソルの後ろにつけようとします。

■2:29
先頭のしろっぽいロットベリソルのトレインが5人並んでいる後ろに、
青いジャージの選手が入りました。
これが宮澤選手のチームのエース。
宮澤選手は、お役ご免となり、ここから列を離れて後ろに落ちていきます。

■2:55
最終ラップの鐘がなり、さらにスピードアップ。
ロット・ベリソルのトレインが前を独占し、
他のチームを前に行かせません。

■3:35
黒いジャージのSKYが賢明に追いつこうとしますが、
ロットもスピードをあげるので、なかなか追いつけません。

■4:15
先頭3人がロット・ベリソル
この3人目にいる、アンドレ・グライペルを勝たすために走っています。
その後ろ2人が、オリカ・グリーンエッジ。
2人目のマシュー・ゴスを勝たせる為に、追いすがっています。

■4:25
先頭を行くロットの最後に残った3段ロケット。
ここでその1段が力尽きて、切り離し。
発射台役のヘンダーソンがさらにスピードアップします。

■4:33
ロットの発射台からエースのアンドレ・グライペルが発射!
グリーンエッジのゴスとの一騎打ちに!
この時のスピード、ヘンダーソンが70.5 km/h、
グライペルが73.8 km/hでスプリント。
自転車だというのをお忘れ無く!

■4:40
ロット・ベリソルのアンドレ・グライペルが、
オリカ・グリーンエッジのマシュー・ゴスを押さえて、見事優勝!

このように、最後のスプリントに向けて各チームの
前方の位置取り合戦、スピードアップでの切り離しなどをへて、
エースのスプリント対決になります。
このへんの駆け引きや流れがわかってくると、
自転車ロードレースはどんどん面白くなってきますね。

今年はツールドフランス100回記念の年ですから、
7月までに弱虫ペダル読んだりしながら、レースを覚えると、
ツールがかなり面白くなると思いますよ。

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“ロット・ベリソル” への2件の返信

  1. >potere さん
    自転車レースは、ホント奥が深いですね。
    向かうところ敵無しのスプリンターが山ではヘタレだったり…。
    自転車乗っている人でもレースを観ない人が多いので、
    少しでも魅力を発信出来たらと思っています。

  2. 私もロードレースに魅せられて3シーズン目の初心者観戦者のひとりです。
    チームレースでありながら各選手の性格(個性)がチーム内外でぶつかり合って、
    凄く人間味のある競技で惹きつけられます。
    チームを優先する自己犠牲の精神と、自分も!と、心の中で叫ぶ
    葛藤みたいなものが感じ取れてスポーツでありながらドラマを観ている様な…。

    とてもわかりやすい解説で、頷きながら読ませていただきました。
    先日、ケーブルテレビで2012ツールの総集編を録画したDVDを貸した友人に
    ganさんのこちらのBlogを紹介したら大変喜ばれました(礼

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