ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。
勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、
冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、
僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。
最近、ツールドフランスなど自転車ロードレースのDVDを良く見るのですが、
それを見て、その面白さにハマった事を話したら、
だったらコレがオススメと紹介されたのが、この本です。
一気に読めた。
まるで自分がロードレースに参加しているかのようなスピードで。
面白い。
自転車ロードレースを舞台にしたプチミステリー。
自転車レースは、個人競技のように見えて、
実はチームスポーツである事は余り知られていません。
エースと呼ばれる選ばれし者と、
アシストと呼ばれる為に、エースの為に犠牲になる者がいて、
それぞれのチームを勝たせるために、色々な戦略が練られます。
体力戦でもあり、頭脳戦でもあり。
エースの為に風よけになり、パンクすれば、自分の車輪を差し出す。
それがアシスト。
サクリファイス(Sacrifice)とは、
そんなアシストの生き様を表した、生け贄とか犠牲という意味があります。
その特殊性のある世界を舞台にしながらも、
マニアックになりすぎず、説明臭くもなりすぎず、
その世界を描きながら、謎解きがはじまる。
単なるスポーツ根性者ではなく、ミステリーでもあるのです。
面白すぎて、一気に読んでしまいました。
2008年に、第10回大藪春彦賞を受賞し、
同時に第5回本屋大賞第2位にも選ばれた作品です。
これを原作としたマンガも出ている事がわかったので、こちらもぜひ読んでみたい。