CURRY POT(石神井公園)


免許の更新の為に石神井警察署に行く予定があったので、ミニベロを出動させて、久々にチャリカフェっぽい事を。

コロナになってからロードバイクに乗っていない事を話したら、自転車に乗らない皆さんからも、自転車でサイクリングはもうOKでしょ的な反応が多く、まずはミニベロでのポタリングから始めてみました。

江古田から石神井公園まで、千川通りを使わない車の少ない裏道ルートも覚えていて、何だか懐かしい感じ。


石神井公園から石神井公園駅をかすめて北へと向かう道は整備されていました。自転車レーンも設置されています。歩道に自転車の通り道を作るより、この方が歩行者の歩きを注意する必要が無いので便利。歩道に自転車の通る所を色分けする自歩道は、歩きスマホやイヤホンの歩行者が多く、危険です。自転車は軽車両なので原則車道が、徐々に定着してきているので、こういう整備の方がありがたいです。


さらに北上し、関越道の入り口を左に観ながら新目白通りを渡って行きます。この付近は23区でも一番の陸の孤島と言われていて、駅が無い地域。大江戸線が延伸して、やっと駅が出来る地域です。なのでバス社会で、細い道でも大型のバスが通るので、ちょっと注意が必要。


練馬清掃工場が見えてきたら、もう少し進んで突き当たりを左折。角にファミマがあります。


土支田通り沿いに2022年3月14日にオープンしたばかりなのが、CURRY POT。インスタで開店準備の様子などが流れて来ていたので来るチャンスを探していました。


昨年9月にここに「カフェ・チル」というのがオープンしているのですが、コロナ禍で短期間で閉店したらしく、お店はほぼ居抜きらしいですが新店のように綺麗です。入り口からカウンターが並んでいるのですが、奥は広いですし、転機の良い日はテラス席も良いかと。テラス席はペット可のようです。

平日の昼だったのですが、春休みなのか高校生らしき2人組が「ここいいねえ」と語り合っていました。

前菜は練馬で採れた野菜のサラダ。緑色のはほうれん草のソースです。石神井公園とか大泉の方は畑も多く、地産地消というのが地元愛のキーワードとして目に見えやすいですし、新鮮野菜を使っているというブランディングとして強みとなると思います。


頂いたのは、スリランカ式バターチキンと、台湾の馬告(マーガオ)という山胡椒を使ったキーマカレー。

胡椒なんだけど麻婆のような山椒もチラつくような始めての刺激。台湾料理などにも使われているので中華がチラつくのは間違いではないと思いますが、花山椒よりは黒胡椒寄りという、お伝えするのが難しい味です。でも新鮮で、これは人気出るだろうなあという味。

もう一つは、スリランカ式バターチキン。練馬界隈に多いインドネパール系のお店のバターチキンは、バターの多さとナンのギーで、油こってこてな感じが苦手なのですが、スリランカ式なのか、ほどよい優しさの中にもスパイスが立っていて、いい感じです。チキンもゴロゴロしているし。

まだオープン4日前という時にお邪魔しているのですが、接客も素晴らしく良い感じでした。

これは自分の妄想なんですが、このスパイス感だと、通常のライスの他にバスマティライスかジャスミンライスが選べるようになると、マニアックなスパイスカレー好きを虜にするような気がします。日本の米じゃないカレーが食べたい脳になっている自分としては。カレーライス、ライスカレー的な物には日本のお米が合うのですが、スパイスカレーに合わせると甘味と弾力が強いので、ジャスミンライスとかの方が、スパイスの良さを引き立たせてくれるような気がします。

まだ開店4日目だけど、まだまだ可能性を感じるし、これは人気店になってしまいますね。たぶん。

■CURRY POT(カリー ポット)
■東京都練馬区大泉町2-12-2 ステープル大泉 1F
■営業:
11:30〜14:30
15:00〜21:00(LO:20:00)
■定休日:月曜(祝日の場合翌日)
場所はこのへん
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香月泰男展 練馬美術館

ふらっと入った練馬美術館で観た「香月泰男展」が衝撃的でした!

まず、この看板の絵を観て、何の絵だと思いますか?抽象画なので、だいたいでいいです。

僕も香月泰男さんがどんな画家かわからずに、近くに来たし、せっかくだから観てみようかと思い、ふらっと入ったのですが、後で絵の意味を知って衝撃を受けました。たぶん、観ようかと思ったのもいろんな導きがあったのだと思います。

美術館の前にはカラフルなキリンが飾られていて、そのまわりで子供達が遊ぶ姿がありました。

自転車を止めようとしたら、隣には「NO WAR」というウクライナ侵攻に反対するプレートを掲示した自転車が。

こんな風な風景を目にしながら、なんとなく入った「生誕110年 香月泰男展」。

入ってからどんな展覧会なんだろう?と案内に目をやると、太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いたシベリア・シリーズで大きな足跡を残した画家の展覧会との事。

この展覧会は、2月6日スタートで、ウクライナ侵攻の前から開催されています。しかも、その前は他の美術館で開催されているので、練馬に来た後に、ウクライナ侵攻が始まった事になります。さっきの「NO WAR」とか、点と点が繋がっていきます。

1階は、香月泰男の作風が出来るまでという展示で、ゴッホや浮世絵に影響されて構図を学んだり、試行錯誤していた頃の作品が展示されています。その中で今後の作風の元となったのが、描きたい物の立体を学ぶ為に、先に木像を作った事。精密ではなく、荒削りな木像。


こちらはフリー素材のサイトからダウンロードしたモアイ像ですが、こんなイメージの木像です。そして人をその木像風に描く事で、半分抽象画のような作風が出来上がって行きます。本人も「簡単に理解されたくないが伝わらないのも嫌だ」と、抽象画の程度を研究していたようですが。

そして名を馳せたのが、太平洋戦争で捕虜としてシベリアに抑留された時の体験を描いた、シベリアシリーズ。

想い出ははっきり描くとウソになると、夢の中と同じモノクローム基調で描くようになります。白と黒というより、黒と黄土色という感じの。


「戦争」が生んだ絵、奪った絵

こちらは本の表紙にもなった「涅槃」という作品。収容所で無くなった遺体達が並べられており、それをスケッチした物です。

その他、敗戦後、貨物列車に押し込められた捕虜の顔など、生気を無くした兵隊達の顔が、無表情のモアイ像のような感じで描かれていきます。

ドキっとしたのは、毛布にくるまれた遺体を描いた「雪」という作品。その解説文には「遺体から霊だけが抜け出して故郷に帰る。残された者は先のわからぬ苦しみが続く。苦悩から解放された死者を羨ましいとさえ思わずにいられなかった」と綴られていました。

展示室に入る際、入り口右手のテーブルに、展示されている作品の一覧と、本人が絵を解説した「自筆解説文」がありますので、その2枚をもらって、絵を観て「何の絵だろう?」と自分になりに感じてから、解説文を読んでみてください。謎解きのようですが、読むとドキリとする言葉が並んでいます。

米印のような「*」の幾何学模様が何重にも重なった作品がありました。何だろうと思って解説を見ると「荊(いばら)」という作品で、収容所を囲む有刺鉄線を描いたものでした。そして説明文には「外部からの侵入を防ぐためと説明されても、やはり動かしがたい捕虜としての実感」と綴られていて、「ウクライナを守るため」という都合のいい言い訳で侵攻したロシアは、また同じ事をしているのだなあと実感しました。

美術館に入る前に、カラフルなキリンのまわりで遊ぶ子供達の風景を見ていたのに、いつの間にか引きずり込まれたモノクロの世界。大瀧詠一の「君は天然色」の一節に「想い出はモノクローム」という歌詞がありますが、あれは松本隆さんが、妹さんを亡くした時、ショックで色が見えなくなってしまった体験を書いたものです。なんか、展覧会を見終わってそんな体験をしたような感じにつつまれ、少し苦しくなりました。

最後に答え合わせ。こちらの作品は何を描いた物だと思いましたか?

こちらは「渚」という作品です。シベリアでの抑留が解かれ帰国する前日、港のあるナホトカまでたどり着いたけど、一晩、砂浜で過ごす事になった時の情景を描いた物です。黒い夜の海に描かれた白い点々は、よく見ると人の顔で、「気がつけば、日本の土を踏む事なくシベリアの土となった仲間達の顔を描いていた」との事。

この写真を撮った後で考えさせられたのは、絵の下に幸せそうな親子の姿が写っていた事。戦争はこんな幸せ風景を一瞬で奪ってしまう物です。戦争を体験した人が、どんな思いでこの絵を描いたのか、解説を読みながら知った事で、TVのニュース映像見るより、なにかズシンと重たい物を感じました。

「香月泰男展」は、3月27日までです。

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