東京オリンピック開催が決定し、日本中が湧いた翌日、
もう一つの夢がかなった現場に、僕はいました。
それは、日本武道館で行われたアイドル、℃-uteのコンサート。
アイドルと言っても、芸歴12年目に入るベテラングループ。
長い長い、下積みを経験し、本人達も
この世界に入って夢を叶えるって簡単じゃない事を知りました。
現実はそう上手くはいかなくて、
私たち、このまま夢も叶えられないまま終っちゃうんじゃないかなって
思った時もありました。
と、胸の内をあかしています。
もちろん僕が身を置く芸能界は厳しく、
夢を実現出来る人なんて、ほんの一握りです。
そして僕が住む江古田は、日大芸術学部、武蔵野音大があり、
クリエーターや音楽家への夢を抱いて、多くの学生がこの街へ来ますが、
その大半が、4年間の間に、入学時に抱いていた大きな夢をあきらめ、
現実的な路線へと、人生を変更します。
そんな中にいるから、初志貫徹して夢がかなう事の重みが痛いほどわかります。
みんな夢に向かって頑張るのは事実だけど、
頑張れば誰もが報われるという世界でもない。
実力の他に、チャンスも必要。
でも、一番は諦めないという事でしょう。
℃-uteは、下積みの長いグループです。
同じ時期にハロプロのオーディションに受かった仲間の中から、
メンバーが選抜されて、Berryz工房が先にデビュー。
残ったメンバーにはグループ名もなく、
暫定的に、残りとか非ベリーズなどと呼ばれて、悔しい思いもします。
Berryz工房が華々しいデビューだったのに比べ、
インディーズデビューで、CDショップにも並ばずに手売りしていきます。
さらに、ショッピングセンターで行ったイベントは、
お店側の要請で無告知で行われた為、観客は、親子連れ1組の、たったの2人。
メジャーデビューするも、相次ぐメンバーの脱退で、人気は急降下。
一時期は、ライブハウス規模でも満員に出来ない時代が続きます。
でも、彼女達は辞めなかった。
実際には、辞めようと思った時期もあったそうだけど、なんとか耐えた。
夢がいつか叶う事を信じて、地道に歌とダンスを磨いて行きました。
やっと、いい風が吹き始めたのは、約2年ぐらい前の話です。
芸歴12年目という歴史の中では、つい最近の事。
僕がこのグループを知ったのも、その頃です。
アイドル戦国時代と呼ばれ、ネクストブレイクアイドル捜しが始まった頃、
℃-uteという名前が聞こえ始めました。
「℃-uteのライブが凄いらしい」
「℃-uteのパフォーマンスがケタ違いらしい」
噂を確認する為に、僕もライブに足を運び、その凄さを実感しました。
「歌って踊れるアイドル」という使い古された言葉があるけど、
それを真面目に突き詰めると、こうなるのか。
℃-uteは、そこからSOLD OUTを連発!
どんどん会場が大きくなって行きました。
そして、ついにたどり着いた武道館。
しかも、発売開始1分でSOLD OUT。
追加公演も発表されたけど、こちらもSOLD OUT。
武道館での、2日間。
南スタンドと呼ばれる関係者席には、数多くのアイドルが駆けつけ、
彼女達の姿に釘付けになりました。
スクリーンには、これまでの軌跡が映し出されていきます。
時間はかかりましたが、諦めずに夢を達成した彼女らは、
ブレイクを目指すアイドル達にとって、希望の星でもあります。
そしてトップレベルと言われるダンスだけでなく、
アカペラでハモりまくり、歌のスキルもあげてきた5人。
最高のパフォーマンスを見せつけられ、
スタンドにいるアイドル達も、自分達もやらねばと決意を新たにしています。
僕がこの日、武道館で彼女らのライブを観ることが出来たのは、
解散の危機もちらつく苦しい時代に、支え続けたファン達のおかげです。
リーダーの矢島舞美さんは、よくこういう事を言います。
「自分たちが元気を与えなきゃいけないのに、皆さんに元気を貰っています」
単なる綺麗事ではなく、確かに、観客が℃-uteのメンバーに勇気や力を与えている。
そう実感したのは、会場を埋め尽くしたサイリウムを観たときでした。
(これは、ネット上から拝借した当日の写真)
最近のものは電池式で色が変えられるので、
普段はそれぞれの推しメンのカラーにして、
武道館は5色のカラーに染まっていました。
しかし、始まってしばらくしてのMCでの事でした。
メンバーの中島早貴さんが、念願の武道館に立てた事で感極まり、
挨拶の途中で、言葉をつまらせてしまったのです。
すると、何の打ち合わせもないのに、
会場のサイリウムの色は、一斉にブルーに。
武道館全体が、彼女のイメージカラーである青に包まれたのです。
色を変えられない人は、サイリウムを下げて邪魔しないようにしていました。
そして湧き上がる声援。
彼女は、その光景をみて涙を流しました。
直接的なコール&レスポンスもあるけど、
そうじゃない、以心伝心の、静のレスポンス。
この℃-uteとファンの信頼関係、感動する。
メンバーは、自分たちとスタッフ、そしてファンの皆。
℃-uteという存在を盛り上げて行こうという人達全部を含め、
team-℃-uteという名前で呼んでいます。
僕は、武道館の南スタンドから、
そんなteam-℃-uteが作り出す光景にひたりきっていました。
感動の放心状態。
そして思った。
このグループって、ホント、ファンに愛されてるなって。
もちろん、多くの歌番組に出て、さらに多くの人に知って欲しいけど、
自分が観たい℃-uteは、あの声援やサイリウム込みの℃-uteなんだよな。
やっぱライブは最高だ。