「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」東京都美術館

上野

久々の上野公園には、パンダの観覧券配布終了のお知らせ立て看板を持った人が、多数立っていました。2月1日から、観覧の方法が先着順に変更されました。お昼ちょい過ぎですが、早々に終了してしまったのでしょうね。整理券は、9時30分の開園後、東園の五重塔前前で配布し、パンダ舎前で受付。1日約9,500枚。年齢にかかわらず1人1枚。乳児や障害者も1人1枚が必要です。

東京都美術館

僕のお目当ては、パンダではなく、東京都美術館の方で、「ブリューゲル展」にやってきました。自分に刺激を与えよう月間、今回は画家からの刺激を求めて、久々に美術館にやってきました。

バベル

ブリューゲルとは、バベルの塔でおなじみの画家。バベルの塔展は、去年同じく東京都美術館でやっていて、今回は、ブリューゲルのバベルの塔はやってきていません。去年、観ておけば良かったなあ。

今回は、バベルの塔を描いたピーテル・ブリューゲル1世をはじめ、その息子達であるピーテル・ブリューゲル2世と、ヤン・ブリューゲル1世、孫である、ヤン・ブリューゲル2世に、ひ孫である、アブラハム・ブリューゲルと、ヤン・ファン・ケッセル1世、ブリューゲル一族の作品を集めた展覧会となっています。

平昌オリンピックで金メダルを獲った羽生結弦選手の演技について、元でんぱ組の、最上もがさんが、「エヴァの渚カヲルみたい」と例えた事が話題ですが、今回の音声ガイドは、その渚カヲル役の石田彰さんが担当しています。アニヲタの皆さんは、ぜひ、音声ガイドを借りて観て下さい。

役柄は、ブリューゲル工房の職人という設定なので、二枚目役というより、道化役という設定。でも、随所にアニメファンを意識した台詞が飛び出します。擬人化の話のところでは、「そちらの世界でも、刀剣や動物の擬人化が流行っているそうですが、こちらの世界でも、擬人化はありました」と、アニメを想像させる台詞が。

農民の目線に立って描いたと言われる絵の時は、その絵に登場する人物に台詞をあてて、話します。まるで、落語心中の落語のように。

アニヲタ向けのオススメばかり書いてしまいましたが、ブリューゲルは、人物より風景にスポットを当てて描いたりしているので、旅人を描いた絵は、東海道五十三次と共通する物もあったりして、ああ、この感じ知ってると、入りやすいです。

また、親の作品をいくつも模写しているのですが、その方法が、観て模写するのではなく、紙にトレースして、線の部分に穴を開けて、墨の粉を落として、正確にコピーするという方法もとられていました。また、人物が得意な画家、ルーベンスと組んで、自分は背景を担当するという、分業制も。このあたりも、現代の漫画家に通じるものがあったり。現代の作品作りにオーバーラップする部分もあったりして、説明を聞いたり、説明書きを読んでも、当時の様子が想像しやすいです。

花瓶

展覧会の最後のゾーン、花の絵の所は、フラッシュを焚かなければ、写真撮影OKとなっています。こちらの絵は、ブリューゲル展のパンフレットの表紙にもなっている、「机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」。絵の写真を撮っていいというのは新鮮ですね。ただし、写真を撮っていいのは2月18日までで、17日に行った自分はギリギリセーフでした。ラッキー!そういえば、ポップカルチャーの、アンディ・ウォーホル展の時は、ノリで来た輩が、撮っちゃダメだというのに、バシバシ、スマホで撮って注意されていたなあ。なんで、コレはOKなんだろう。

農民画家とも言われたブリューゲルは、農民の本当の姿、喜怒哀楽の表情を味わうために、農民の格好をして、宴に潜入したりしていたそうです。この展示会は、農民の結婚式の絵で終わるのですが、その表情が、とても生き生きしています。

この仕事をしていると、取材などで本音を引き出したり、人の心を開く壁にぶち当ったりしますが、そこまでやって、この表情を引き出しているのかと、学んだと同時に、反省もさせられました。やっぱり行って良かった。

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トレボン(江古田)

平野沙希子

フジテレビの「7ルール」を見ていたら、平野沙希子さんがピックアップされていました。様々な分野で輝いている女性の、自分のルールを探す番組で、平野さんは、新進気鋭のフードライターです。

話している事も面白かったのですが、文章が読んでみたいなあと調べてみると、著書に「生まれた時からアルデンテ」がある事がわかりました。

ちょっと待てよ!そういえば、前に聞いた事があるなあ…。そうだ!飲み友のMが、言っていたんだ!「生まれた時からアルデンテが好きなんですよ」と。彼もクリエイティブな仕事をしているのだけど、平野沙希子の文章が好きだと力説していたのです。今から3年前に。

ジュンク堂や三省堂に行ってみたのですが、在庫がなかったので、amazonで中古を買う事にしました。amazonのカスタマーレビューでの評価は異常なくらいに低いのですが、読んでみてわかりました。この本は音楽でいう所のパンクなのです。食やグルメ本、グルメエッセイが好きな人が読むと、それまでの価値観が壊され、ぶちのめされるような気分になります。

まず、タイトルともなっている「生まれ時からアルデンテ」というページ。自分は生まれた時からアルデンテ世代なので、芯が無い事を誇りのように開き直る喫茶店のナポリタンが嫌いだ!と力説。村上春樹の「カンガルー日和」の「スパゲティーの年に」で、「空想のキッチンのタイマーを15分にあわせる」って、茹ですぎだろ!と、大御所の文章にもかみついています。

いやあ、面白い!これは彼女が24才の時に書いた文章。最近、才能のある若者の作品にふれて、自分の凡才ぶりに打ちひしがれる、才能SMプレイが好きだと言いましたが、彼女の文章にもビシビシと打ちのめされていきます。

ナポリタン=昭和のいい思い出話みたいな方程式が、グルメエッセイのスタンダードとなって来ましたが、気がつけば平成元年生まれも30才、ミレニアム生まれも18才、腰の無いナポリタンが最高!なんて感覚は、もはや、オッサンやオバさんの脳内にしか残っていないのです。

誤解無きよう言ってきますが、彼女は昭和だけをディスってる訳じゃあありません。食べログに頼り、評価の答え合わせばっかりしている人や、旨くも無いのに、旨い旨いというグルメレポーター、食に対して予定調和な人達をバッサリと斬って行くのです。自虐というオブラートにつつんで、ユーモアを交えながら。

そんな中で、昭和な人達に甘やかされて生き残ってきた、ぬるま湯メニューである、ナポリタンを一通りディスったあと、(追記)として神泉「フレンズ」のナポリタンは、昔ながらの味なのにアルデンテなので最高です!と、結んであります。だよな、今の時代、ナポリタンもアルデンテにすればいいじゃん!と、腑に落ちて、スッキリしたところで、そういえば、江古田にもあったな!と思い出しました。

トレボン

江古田の老舗喫茶、トレボン。ここで美味しい物といえば、クロックムッシュが代表的なんですが、実は、野沢菜ピラフや、野菜サンド、一見、普通の喫茶店メニューっぽい物が、旨いのです。過去にも書きましたが、普通のメニューを丁寧に作ると、こんなにも旨くなるんだなあという、感動があるのです。

ナポリタン

ナポリタンもその一つです。注文してから、炒め始めるまでの時間から想像するとたぶん、麺は茹でおきなんだろうけど、それほど、ふにゃっとしてなくて、固め。シャキっとしたピーマンの歯触りが気持ちいい。あとは玉ねぎとソーセージと、平凡な具なのに、それでも美味しい。ケチャップもくどくなく、上品!全てがちょうどいい。昭和ノスタルジックも、平成も関係なく、平野さんが何と言おうと、自分にとって、これはこれで満足な一品です!

でも、平野さんが絶賛した、神泉「フレンズ」のナポリタンは、どんな味で食感なんだろう?アルデンテなナポリタン、気になるなあ。

■カフェ・ド・トレボン
■練馬区小竹町1-56-3(小林ビル2F)
■営業:10:00~22:30
場所はこのへん

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