このレストランに来てみたかったのには訳がありました。
この時期になると、東日本大震災の、3.11を迎え、ふるさとである、岩手県宮古市の事を思い出します。震災で奇跡的に無事だった実家は、父が亡くなり、母親は弟が住む盛岡へ行ったので、空家になり、売ってほしいという話が舞い込みました。そんないきさつで、実家を手放したので、宮古に家はなく、訪れるとしても、観光でしか行くことがなくなりました。
ただ、この時期になると郷愁というのを覚えます。そんな時に、思い出すのが、地元のレストランの事。川からあふれ出す黒い津波映像で有名になった場所の、すぐ向かいにあったのが、宮古市のレストラン「ほりた」。七五三とか、入学式とか卒業式とか、何かめでたい事があった時に、地元の人が行く、ちょっと高級な洋食レストランです。
津波の被害で、長い間休業していたのですが、しっかりとした造りだったので、建物自体は残り、再開にこぎつけたという記事を読み、行きたいなと思っていました。しかし、簡単には駆けつけられないので、そんな風に地元の人に愛されるローカルレストランを探し、疑似体験をしながら、故郷に思いを馳せる事にました。僕なりの、東日本大震災イベントです。そして、見つけたのが、板橋の大山にある、レストラン・オオタニです。
昭和42年、カウンター10席でオープンしたオオタニですが、地元に愛され、地道に努力をしてきた結果、増築に増築を重ね、2階建て80席の大きなレストランに成長しました。
増築に増築を重ねたので、ちょっとした迷宮状態で、右下から階段を上ってくるのですが、正面に行くのは、個室用の階段で、Uターンをするように手前に上ってこなければなりません。
さらに店内も、これがすべてでは無く、左奥に増築した部屋があり、そちらには大人数用のテーブルが。この写真は、お客さんが引けた所の写真ですが、8人組という大家族がいたり、家族全員がそろって食事するというのが、ぶるさとのレストラン「ほりた」に似た、雰囲気です。
いただいたのは、名物メニューの、ポークソテーオオタニ風。ガーリックソースで焼き上げられたボリュームあるお肉。1550円。これにライスをつけると、330円。と、なかなかいいお値段となるのですが、ファミレスなどの味気ないメニューと違い、これが旨い!下に敷かれているのは、ガーリックソースで炒められたスパゲティ。よくナポリタンの付け合わせは見るけど、それとは段違いのうまさです。
こちらは、セットになって出てくるキャベツサラダなのですが、これがまた旨い!マヨネーズで和えてあるのですが、もちろんマヨネーズは自家製。市販のものと違い酸味が少なく、キャベツの甘みを感じられるようアシスト。最近思うんだけど、付け合わせのサラダって手抜きが多くないですか?いつの間にか、これぐらでいいだろというレベルが下がっていてこういう旨い付け合わせに出会うと、「あー忘れてた、コレだ!」と、ハッっとさせられます。
こちらの名物の一つが、生しぼりジュース。ほぼスムージー状のイチゴとミルクをシェイクした、「いちごミルク」は、700円。ストローを吸ったら、旨すぎて一気飲み干しそうになってしまいました。700円もするにに。
ふるさとの「ほりた」で子供にとってごちそうだったのが、クリームソーダで、昭和なド田舎の町の、子供たちが連れて行ってもらえる場所で、クリームソーダがあるのは、ちょい高級洋食屋ぐらいしかなく、食後に飲ませてもらうのが楽しみでしょうがありませんでした。
飲んでいるもの、食べているものは全然違うのに、今は、なかなか行くことが出来ない、ふるさとのお店に、思いを馳せる事が出来ました。なんか、共通するところがあるんだよなあ、丁寧な仕事をする洋食屋さん。ランチにしちゃ、トータルで2580円とお高くつきましたが、鮮明にふるさとの風景、当時の光景を思い出す事が出来たので安いもんです。
昔、祝いの時に連れて行かれるレストランって、高級風の体裁じゃなく、マジで旨かったんだよな。思い出バイアスかかっているかもしれませんが。
■レストランオオタニ
■東京都板橋区熊野町47-8
■営業:9:00~24:00
■定休日:無休
■場所はこのへん