転々

まず最初に、自転車映画にカテゴライズしていますが、
自転車映画ではない事をお断りしておかなくてはいけません。

では、なぜこの映画をピックアップしたのか?
この映画に出てくる風景の7割〜8割が、
このチャリカフェで走った事のある、見覚えのある風景だったのです。

監督・三木聡×主演・オダギリ ジョー
『時効警察』のコンビが贈る、ひとりぼっちの男ふたりの心ほどける東京散歩ムービー!

井の頭公園をぶらぶらと出発、目的地はぼちぼちと霞ヶ関。到着期限はナシ―。
見知らぬ二人の東京散歩の旅は、借金取り福原のとんちんかんな提案から始まった。
散歩の合間に出会うとんちんかんな人々と悲喜こもごもなハプニング。
そんな東京ワンダーランドで二人が向かうのは・・。

三木聡監督の独特の世界。
三浦友和さんが素朴な疑問風にボソっというセリフがシニカルで、
ジワっとした笑いを作り上げています。

一番ツボだったのが、

人工着色料とか甘味料とか言ってるけど、
そんなのが食品に入ってからの方が平均寿命伸びてんだぜ。

というセリフ。

こういう事を言ったら怒られるかもしれませんが、
ロハスを徹底している人の方が不健康そうに見える時がありますもんね。

全体的にはものすごく好きな世界でした。
2人の歩いたルートをチャリカフェに照らし合わせて
追ってみたいと思います。

●旅の最初、井の頭公園から駅のある北方向に歩いて行きます。
→吉祥寺の「くぐつ草」でカレーを食べたときにみた風景。

●しかし着いたのは逆方向の調布飛行場。そしてお隣の武蔵野の森公園。
オダギリジョーさんに腐った果物が落ちてきて、公園で洗う場面です。
→飛行場内の「プロペラカフェ」に行った時にみた風景。

●墓参りの帰りによく「愛玉子(オーギョーチー)」を食べたという場所。
→これは「カヤバ珈琲」の時に通った、谷中。
調布から谷中にワープしています。

愛玉子

これはこの間、谷中に行ったときに撮った写真。
映画ではこのお店とそっくりに作られたお店に入りますが、これとは別物です。

●OLは皆、財布を上向きに持っているという横断歩道は、
高円寺のラーメン店「ザボン」の前。
→高円寺ルック商店街の喫茶店「七つ森」の近くです。

●危ない絵描きの女、広田レオナと会うのは、西新宿の文化服装学院付近。
そこからはぐれた三浦友和を捜して、新宿タワレコ前広場、
思い出横丁(しょんべん横丁)、職安通り、伊勢丹前の新宿の母の場所へ。

●翌日歩き始め、都電が見えたのは、新目白通りと明治通りの交差点。
麻生久美子さんの婦警さんが駐禁の取り締まりをしているのは、
そこから江戸川橋方面に向かった面影橋の「トリトリノキ」のすぐ近く。

●小泉今日子さんの家に向かうのですが
葛飾柴又の「高木屋老舗」に向かう時に通った四ツ木橋付近という設定。
すき焼きの肉を買う肉屋は、曳舟なので近くに「カフェこぐま」があります。

●ラストシーン近くに登場するのは、絵画館広場。
外苑前のロイヤルガーデンカフェの近くです。

てな訳で、知っている場所や道がいっぱい出てきて嬉しかったのですが、
ロードムービーという割りに、場所があっちこっちにワープするので、
そのたびに頭の中のナビでは「ルートヲハズレマシタ」という音声ガイダンスが
ヘビーローテーション。

全く位置関係を確かめる必要もなく、物語に集中すればいいのに、
ヘタに知っている場所が出てくると、ついつい追いたくなるのでした。

2人が歩いた場所のほとんどが、自転車で走った事のある風景。
1年の間に、都内、結構走ったんだなあ。
でもって、パっと見ただけでわかるもんなんですねえ。
やはり、車や電車じゃなく、自転車の速度だから風景を記憶出来るんでしょうね。

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デイジー

『僕の彼女を紹介します』のチョン・ジヒョン、
『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソンがオランダを舞台に魅せる、
美しくもせつないラブサスペンス。
監督は『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウ。

画家の卵ヘヨン(チョン・ジヒョン)には幻の恋人がいた。
山間の村で絵を描いていた夏から、匿名でデイジーの花を届けてくれる人だ。
ある日肖像画の客として現れたジョンウ(イ・ソンジェ)こそがその人と確信し、
恋に落ちるヘヨン。しかし本当の贈り主は…。

韓国版のレオンのような要素を持つ映画。
脚本が良く出来ていて、一つの出来事が3人のそれぞれの視点から見ると、
少しずつ違って見えるというズレが、ドラマを生んできます。

舞台は自転車大国であるオランダだけに、普通の風景の中に自転車がふんだんに出てきます。

オープニングから主人公は自転車に乗って花畑へ。
画材を自転車に積んで、いろんな場所に出かけます。
ロードレースみたいな自転車映画ではありませんが、
自転車好きが見れば気になるポイントがいくつも。

チョン・ジヒョンが乗っているのはママチャリ系だけど、カゴではなく、
後ろの荷台の所にキャンバス制の袋がついていて、
そこに画材などを積み込むタイプ。
日本でも、こんな風にした方が可愛いかも…と参考になったり。

男の家に置かれている自転車が、
細めのクロモリフレームで、変速機のレバーがフレーム側についているクラシカルなタイプ。
こちらは自転車好きな男心をくすぐります。

そしてカフェ好きにもたまらない映像も。
チョン・ジヒョンが似顔絵かきのアルバイトをしている場所は、
旧市庁舎や教会など古い建物が周りを囲む、マルクト広場なのだけど、
ここにはカフェがいくつかあり、広場に置かれたオープンの座席では、
お茶を楽しむ人達の姿が。

そして、チョン・ウソンがチョン・ジヒョンを連れて行く古いカフェ。
ここは「カフェ1900」と言って、名前の通り1900年創業の歴史を誇るお店なんだそうです。

さらに、チョン・ジヒョンの祖父が経営していて、
彼女が店の手伝いをしながらいっしょに住んでいる骨董品店。
アンティークショップには、カフェマニアが気になる家具や小物がズラリ。

こんなロケーションの中で、お話はよく出来たサスペンス、そして純愛。
直接自転車、カフェが題材となった映画ではありませんが、
カフェ好き、自転車好きに自信を持ってオススメしたい映画です。

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