トレボン(江古田)

看板

喫茶店って、お茶を飲みながら喫煙するお店という意味だと思い込んでいる人が、かなり多くいるらしいです。

喫茶店とは「お茶を喫するお店」の事で、「喫する」というのは「飲む」「吸う」「食べる」という意味。なのでお茶を飲むのが「喫茶」でタバコを吸うのは「喫煙」。確かに、コーヒーとタバコは絵になるし、どちらも、一服するときに欠かせないアイテムで、そう思い込んでしまう人が多いのもわかる気がします。ちなみに一服の「服」も「服用」の服で同じく「飲む」という意味です。

最近、コーヒーを喫する為によく通っているのがおちらのお店。

トレボン

珈琲屋という看板が出ているように、コーヒーへのこだわりのあるお店。そして家から一番近いカフェ。

店内

このすぐ近くに日大芸術学部があるのですが、マスコミにには日芸出身者が多く、喫茶店の話をすると、このお店の思いでを語る人も多数。

一緒に仕事をしている女性ディレクターも、学生時代、ここによく通い、マスターにコーヒーの入れ方を教えて貰ったといい、その話を聞いて、遅ればせながら、コーヒーを勉強する為に足を運んでいる訳です。

長い歴史のある学生街の喫茶店ですが、今は学生さんは少なく、教授達の方が多いような。 

豆をひいた後、ポットから細く出したお湯を、少しずつ、こまめに注いでいくのがトレボン流。1秒注いで止めて、1秒注いで止めて、毎回、違う箇所にまんべんなく注いでいく感じ。

マンデリン

こうして淹れて貰ったマンデリン、700円。まずしっかりとした苦みが来る、力強い味。でも、飲んでいるうちにしっとりと落ち着いていく感じで、さらに深い味に。「少しおくと、味がしまってくるでしょ」とマスター。確かにそんな気がします。

コーヒーの奥深さを語れるほど、まだわかっちゃいませんが、以前よりは、何かを感じようと、じっくりと飲むようにはなりました。それを越えて、瞬間の感覚をつかめるようになるのは、まだまだ先の話なんでしょうね。

■カフェ・ド・トレボン
■練馬区小竹町1-56-3(小林ビル2F)
■営業:10:00~22:30
場所はこのへん 

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プアハウス(江古田)

プアハウス

ママチャリで家から3分。練馬区の江古田駅北口に古くからあるカフェ「プアハウス」。カフェというより、喫茶店と呼んだ方がしっくり来るかもしれません。

看板

poorhouseは、英語で「貧救院」。イギリスで貧しい物達を救う為に作られた労働施設の事です。

このお店が出来たのは、1976年。ユーミンがまだ荒井由実で「あの日に帰りたい」がヒットしていた年です。貧乏くさい四畳半フォークから、都会的なニューミュージックに転換する時期ですけど、当時の学生は、きっとまだまだ極貧の方が多かったのだろうから、貧しい学生達を救うという意味合いもあったのでしょうか?勝手な想像ですけど…。

古く営業しているお店だからこその、どこか一本筋の通った趣のある雰囲気が好きです。最近流行のレトロコンセプトのカフェも悪くはないですけれど、長い間続ける事は出来るのかどうか?と思うと、長い歴史を積み重ねて作ってきたこの雰囲気、やはり、同じ「古い」でも一朝一夕では出来ない何かが漂っているのです。

昭和風を売りにしたお店は沢山ありますけど、ボンカレーやオロナミンC、由美かおるさんのアース渦巻きなど、ホーローの看板が飾られ、駄菓子のおつまみに、BGMは昭和歌謡という、おきまりの昭和パターン。どこに行ってもこれだから、逆に没個性になってしまってるような気がします。やはり無理矢理作ったのとは違う自然の古さ、こちらは天然物です。

店内

お店はウッディーで、アンティーク調の家具でまとめられていている…というより、長年かけてアンティークになってしまったというのが正しい言い方でしょう。

何気にこのお店を愛している有名人も多く、キリンジの「グッデイ・グッバイ」というプロモビデオの撮影にも使用されています。ちょうどこのテーブルの向こう側に座って、歌っていました。キリンジは江古田在住だったらしく、インタビューで好きな江古田の喫茶店の名前をいくつか出していた事もあります。

そしてこのお店は、三谷幸喜さんのエッセイ「ありふれた生活」に登場したことでも知られているんです。学生時代にここで食べた「粗食」というメニュー、コンソメ風のスープの中に、ご飯や鶏肉、チーズなどの入った、洋風お茶漬けみたいな物なのですが、それが懐かしくなって家で作ってみたら、奧さんの小林聡美さんに「貧乏くさい」と言われてしまったのだとか。そりゃそーかも、だってプアハウスのメニューなんですから。

お一人様のお客さんが多く、それぞれが静かにマンガを読んだり、雑誌を読んだり、食事したりしているので店内は静か。JAZZが心地よく流れています。

なので、ワイワイとおしゃべりするのには向いていません。だからと言って、しゃべると怒られるような頑固オヤジのお店とは違います。それぞれの、距離感がそんな雰囲気を作っているだけなのです。大騒ぎせず談笑するぐらいがベスト。

今流行りのマニュアル化したフレンドリーさが売り物のカフェに慣れた人には、ちょっと敷居が高いかもしれませんが、どちらかとういと、老舗の喫茶店などに多い、こんな適度な距離感のある雰囲気の方が好き。もしかしたら、複数で行くより、一人で行った方が居心地のいいカフェかもしれません。誰にも邪魔されず、自分の世界にひたれるから。

極辛カレー

実はこちらのお店、喫茶店でありながら、カフェマニアよりもカレー好きの間で有名なお店。グルメ雑誌などで、こちらのカレーが美味しいと何度も取り上げられているからです。

名物のカレーは一種類だけ。「極辛カレー」は1000円。

ルーはスープカレーと言ってもいいほど、サラサラしていています。黄色っぽく浮かんでいるのは、ゆで卵を刻んだもの。付け合わせには、ゴーダーチーズと春菊。福神漬けでも、らっきょでもなく春菊というのが不思議な感じですが、パクチーの代わりといえば、イメージしやすいんじゃないでしょうか?

江古田には本格インド料理店が何店もあるにもかかわらず、ここのカレーが一番辛いと評判です。ブログなどに書いてある皆の感想は「辛いけどくせになる」。そこまで辛いと言われると、自分もお笑い芸人なみのリアクションをしてしまうかもと、少し不安になり、恐る恐る口に運んでみました。

あれ?思ったより辛くない…。チーズやゆで卵で中和されたのかな?…と思っていると、ジワジワと来ました。ハバネロみたいに「ヒー!ガツン!」と来る辛さではなく、舌にじんわり来る胡椒のの辛さです。半分ぐらい食べるとジワジワとした辛さが積み上げられて、汗となって額から。最後の峠を越すあたりで、これが「極辛カレー」なんだというのが実感出来ます。しかしながら、この食べ終わった後の何とも言えない爽快感。皆がクセになるというのが、わかった気がしました。

アイスコーヒー

セットで頼んだアイスコーヒー(320円)を頂きながら、余韻に浸ります。最近、こんな感じで一人の時間にひたれるお店って、少ない感じがします。

35年の間にテーブルなどにつけられた、小さなキズ。もしかしたら、その一つ一つに小さなドラマがあるのかもしれない。もしかしたら、このテーブルで若き日の三谷幸喜さんが芝居の構想を練り、出来たのが東京サンシャインボーイズのあの芝居なのかもしれない。一人だからこそ、そんな妄想をしてみたり。そう考えていると、流れているJAZZのが、ドラマやお芝居の一幕の終わりを告げるBGMに聞こえてきたりもします。最近、こんなにじっくり考えたりした事なかったですねえ。

こういう喫茶店を色々発見していきたい。自転車で23区のカフェを巡ろうと、このブログ、チャリカフェを始めました。

■poor house(プアハウス)
■東京都練馬区栄町39-1
■営業:11:30~23:00
■定休日:火曜、第1・3水曜(祝日は営業)
場所はこのへん

自転車で23区カフェ制覇の旅…ただ今、1/23区。

地図

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