ツールで前人未踏の7連覇しながら、ドーピングが判明し、全て記録が抹消されてしまった、汚れた英雄ランス・アームストロング。そのドーピングの裏側を描いた映画が「疑惑のチャンピオン」
当初からランスの成績や記録に疑問を持ち、ドーピングを疑って来たジャーナリストのデイヴィッド・ウォルシュ。孤立しながらも、告発を続けるうちに賛同者が現れ、ランスの身内だった人間からも、次々に証言がされて行き、ついに、偉業がドーピングによってもたらされた事を告白。
そんな自転車ロードレースのドーピング事情が描かれています。
同じくロードレースでのドーピングが描かれた映画「パンターニ、海賊と呼ばれたサイクリスト」
こちらでは、金儲けを企むエージェント達が、有望な少年に目を漬け、ドーピングでスター選手に祭り上げ、スポンサーから巨額の金を手にしていく。そういうシステムに巻き込まれた風に描かれており、割と選手に同情的な立場でした。
逆に、ランス・アームストロングの方は、ベテランの選手に、「お前は勝てない!なぜならここにいる選手は、お前より赤血球が多いからだ」と、すでにツールにドーピングが蔓延している事を暗に告げられ、それに対し、ドーピングに勝つには、ドーピングだ!と、自ら、中枢となったフェラーリ医師に近寄って行った事が描かれています。
ランスや、パンターニばかりが取りあげられますが、バレ無ければいいんだと、蔓延していたドーピング。栄光の選手と言われる人達も、本当にクリーンだったのか疑いたくなります。
1人の選手が勝ちたいから不正をしただけでなく、金儲けの為にチームやエージェント、さらには自転車界もが、盛り上がりに水をさすまいと黙認、そんな大きな傘の下で、ドーピングが続いて行った事がわかります。
クリーンになったハズの今でも、年に何人かが検査に引っかかります。いつになったら、この疑念は払拭されるのでしょうか?
ちなみに、僕が最初に好きになった選手、ジョージ・ヒンカピー。この映画には出て来ないのですが、彼もUSポスタル時代ランスの同僚で、その時代のドーピングを告白しています。
しかしUSポスタルを出てからはクリーンな走りをしていたと侘び、僕の好きな2009年のHTCコロンビア時代の鉄人ぶりは、本物だったと信じたいです。
さて、映画としての感想。
主役のベン・フォスターのアームストロングっぷりが凄いです。走り方もそう、雰囲気もそう、途中からアームストロングにしか見えなくなって来ます。レースのシーンでは、本物の映像と、ベン・フォスターを交互にフラッシュしていくのだけど、ほとんど違和感無し!
自転車好きは、映し出されるマシンやメカにも注目したくなります。特に、USポスタルに移籍して、マシンがトレックになった時、おお!と思いました。
大画面で、ツールの映像を観るのは、とても美しく、どこかの映画館で、ツールのパブリックビューイングやってくれないかなと思いました。終電無くなっても、観たい人は自走できて、自走で帰るから問題なし。これって、需要あると思うなあ。
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