自転車レース

ツールドフランス

このブログを読んでくださっている方は、カフェの方がメインで、
自転車が趣味という方は、少ないと思うのですが、
もうすぐ世界最大の自転車レース・ツールドフランスが始まるので、
自転車レースの事を少々。

名前は知っているけれど、どんなレースか知らないという人が多いので、
自転車レースの見方、初級編を。
自転車に乗っている人でも、レースは知らない人も結構いますしね。

ツールドフランスは、
自転車で約200キロ前後のレース、21戦を戦いながら、フランスを一周し、
その総合タイムで、優勝争いをするというレースです。
フランスをぐるりと一周するような感じになるので、
「tour de france」という名前がついています。

トータルで約3600km(今年は)を走り抜く事になります。
2012年は6月30日に開幕。
6月30日のプロローグ、個人タイムトライアルからはじまり、
その後20ステージ(20戦)を戦い、約3600㎞を走り抜きます。
直線距離でいうと、東京からベトナムぐらいを走る事になるのです。

マイヨジョーヌ

合計21戦を戦う中で、そこまでの総合タイムの短い人、総合トップが、
マイヨジョーヌという黄色いジャージを着ることになっています。
マイヨは『ジャージ』、ジョーヌは『黄色』という意味のフランス語です。

例えば、5戦までトップで黄色いジャージを着ていても、
6戦目で逆転されると、次のレースから新たなトップの人の元へ黄色ジャージがいき、
自分は普通のジャージに戻ります。

つまり、全部を戦い、最後にこのマイヨジョーヌを着ていた人が総合優勝となります。
ツールドフランスは、黄色いジャージの奪い合いだと思ってください。
だから、一戦一戦で、コツコツとリードを貯金していきます。

(その他、ポイント賞とか、山岳賞などもあるのですが、今回は省きます。)

そして、自転車ロードレースの一番わかりにくい所が、
個人戦に見えるけど、実はチーム戦。

わかりにくいのですが、わかると日本人が一番好きそうな要素です。

将棋でいうところの王将を勝たせる為に、他の駒は捨て駒になって働きます。
つまりチームリーダーを勝たせる為に、他の選手達は犠牲になって働くのです。

 

若い人であれば、ドラゴンボールやワンピース。
年配の方であれば、真田十勇士や里見八犬伝を思い浮かべてください。

ツールドフランスは、チームのエース(主人公)を勝たせる為に、
チームメイトが自己犠牲となり、皆で支えながら、戦うレース。
エースに黄色いジャージを着せるために、全力でアシストし、力尽きていきます。
そして、最後に残った、ボスキャラ同士で、ゴールを争うのです。

トレイン

たとえば、このようにチームで列を組んで走るシーンがよく見られます。
自転車レース用語で、トレイン(列車)と呼ばれるもの。

平均50㎞/h前後で200㎞を走るので、
一番前を走るともろに風圧を感じ、人より余計に負荷がかかるので疲労しやすいのです。
さらに前にペースメーカーがいないので、精神的にも疲れます。

なので、アシスト達が前を走る事で、チームのエースを後ろに温存し、
疲労させないようにします。

カーレースでいう所のスリップストリームをチームメイトがつくり、
エースをずっと引っ張っていくような感じです。
これをレース用語で「引く」と言い、
凄い勢いで引くことを「鬼引き」と言ったりします。

その他、200㎞の間、自転車で走りっぱなしなので、
通常2つ積んでいるボトル(水筒)も、すぐに空になります。
そこで、チームカーからボトルを受け取り、メンバーの所に配ってまわるというのも
アシストの仕事です。

ドラクエでいう所の薬草、ファイナルファンタジーでいう所のポーションを、
チームカーに取りに行って、メンバーみんなにくばる役割。

他にも、雨が降ったらウインドブレーカー、
走りながら食べられるシリアルバーなどを運ぶ事も。

これをレース用語では、使いっぱじゃなく「ボトル運び」といいます。

こうして、エースを温存しながら、195㎞ぐらい走ったら、
残り5㎞ぐらいからは、ポジション争い。
集団の前の方をチームで確保し、
さらにエースが走りやすいコースを押さえようという戦いが始まります。

1チームには9人いるのですが、ゴール1㎞前ぐらの時点で、
先頭グループには、1チーム3人残っていればいい方。
風よけになったり、スリップストリームを作ってきたアシスト達は
力つきて、どんどん失速して落ちて行きます。

この時、実況や解説者も「○○は、役目を終えました!お疲れ様」
などと、放送で声をかける事もあります。

そして、残り200mぐらいで、それぞれのエースを先頭に立たせます。
最後にいい位置でエースを前に出す役割の人を「発射台」と呼びます。

あとは、エーススプリンターと呼ばれる、ボスキャラの脚力くらべ。
誰が一番足が早いか、力を温存していたかで、勝負を競います。

その他、山岳コースというパターンもありますが、
ほぼこういう戦いを20戦繰り返し、
エースの総合タイムの短い順に、順位がついていくのです。

そしてテレビ観戦のコツ。
以前はNHKやフジテレビが中継していましたが、
今はBS、スカパーのJ-Sportsでの中継となります。

同じく3大ツールの1つ、5月に行われたジロ・デ・イタリアは、
イタリア語でしたが、ネット中継もあったので、
ツールドフランスも、ネットで探してみる価値はあるかもしれません。

さて、この中継を見るとき、

ツールドフランスを見るときにあると盛り上がるのが、ツイッター。

自転車レースなんて、野球やサッカーと違って、まわりに語りあえる人がいないので、
だいたい1人でテレビにかじりついていたりします。
初心者だと、何が起こっているのか、わからない事があります。

そんな時に、中継しているJ-Sports関連のハッシュタグ、
#jspocycleを、
ツイッターのアプリなどで検索すると、
今、何で盛り上がっているのかが、人目でわかります。

ネットでフランス語中継サイトを見つけた場合は、
これが日本語解説代わりになります。
(僕は万全を期するために、J-sportsに加入しましたけど)

僕もこの前のレースで、このハッシュタグをつけて、

先頭の選手のリアブレーキが、通常あるシートの下の所に見えないのですけど。

みたいな事をつぶやいたら、知っている人達からすぐに返事が来て、

あの選手の自転車は、ペダルの下の方にリアブレーキがついてます。

でもって、「ココ!ココ!」と写真を送ってくれた人もいました。

ブレーキ

こんな風に、わからない事をツイッターで聞きながら見るのも、
楽しみ方の一つです。

昨年のツールドフランスは、日本人選手が出ていませんでしたが、
今年は出る可能性大!
実は興味があるという方、ぜひ、楽しんでみてください。

という訳で、ツールドフランスの期間中は、
カフェよりも、自転車関係のツイートが多くなりますが、ご容赦ください。

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ツールドフランス2010

鉄道ヲタクと一口に言っても、撮り鉄、乗り鉄、音鉄、車両鉄、駅弁鉄と
いろいろ好みが分類されているように、
自転車好きも、割と細かに分類されています。

速く走るのが好きなロードレーサー(ローディー)、
山道を登るのが好きなヒルクライマー、
アウトドアのマウンテンバイクやシクロス
ひたすら長距離の挑戦するロングライダース
お散歩系が好きな、ポタリング、
自転車を現地まで運んで旅する輪行、
ファッションとして乗るピスト系、
ワゴン車のように荷物を積んで遊びに出かけるロングテール、
などなど、結構、好みは細分化されていて、
さらにカーボンが好きな人とか、クロモリ(鉄)しか認めんという人とか、
それこそ、自転車の好みは、十人十色。

そんな自転車の楽しみ方の中で、僕が最近、夢中になっているのが、
自転車レースを観ること。
特に、今までよく知らなかったツールドフランスのDVDを集めて、お勉強中です。

まず、頭に入れて欲しいのは、自転車のロードレースは、
個人戦ではなく、チームによる団体戦だという事。

そしてその中には、マラソン的な楽しみと、F1のような楽しみ、
競馬的楽しみ、プロレスのタッグマッチのような楽しみなどがあります。

今回は、ちょっとマニアックですが、ご容赦を。

今回買ったのは、ツールドフランスの2010年。

いくつかあるステージの中で、平地でのレースは、
競馬的な楽しみ、F1的な楽しみ、プロレスのタッグマッチ的楽しみがあると思います。

まずは、170㎞前後のステージを戦うにあたって、
競馬でいう所の逃げ馬的に、逃げで戦うのか、追い上げて差すのかという
見所があります。

そして、F1のように、スリップストリームに入って引っ張られる事で体力を温存し、
最後の勝負所で、すっと前に出てゴールするという見所も。

さらに、プロレスのタッグマッチのように、
エースを勝たせる為に、パートナーが相手を疲労させてたたきつぶし、
プロレスの3カウントみたいな、最後のおいしい所をエースに譲り、
スプリント勝負で勝たせるという見せ場も。

なので、ジャイアント馬場とジャンボ鶴田が組んだら最強とか、
猪木を勝たせるには、坂口征二なのか、藤波辰爾なのかみたいな、
エースとアシストの組み合わせの楽しみも。

2000年前後のランス・アームストロングとマルコ・パンターニが火花を散らしている頃は、
山岳コースが好きだったのですが、
2009年の、ツールドフランスを観てからは、
平地コースのスプリント勝負も好きになりました。

特に、HTCコロンビアというチームの
「ジョージ・ヒンカピー」「マーク・レンショー」「マーク・カヴェンディッシュ」の
トレインが綺麗すぎて、たまりません。
トレインというのは、後ろのエース(カヴェンディッシュ)を勝たせるために、
ヒンカピー、レンショーが風よけになりながら、チームで縦の列になって走り、
チームで、F1のスリップストリームのような状態を作り、
エースを引っ張っていく事を言います。

2009年のHTCコロンビアのトレインは芸術的すぎます。
それをまた観たいと思って買った2010年版は、
「ジョージ・ヒンカピー」が他のチームに移籍して、いなくなって、ちょっとショック。

だからチームでトレインを組んでも、
結構、間に他のチームの選手に割り込まれる事が多く、
あの芸術が観られないのが残念。

でも、アシストのレンショーと、エースのカヴェンディッシュのコンビは健在。
ここはプロレスのタッグマッチ的な楽しみです。

アシストは、ゴール前800メートルぐらい前から、
自分が先頭に立って、いいコースを確保して、
ゴール300メートルぐらいで、ヒラリと除けて後ろのエースに道を譲り、
ごっつあんゴールのお膳立てをするのですが、
これを自転車レースでは「発射」と言います。
だからアシストの事を、発射台と呼ぶことも。
このエースを勝たせるアシストの中で最強と言われているのが「レンショー」なのです。

レンショーは、ゴール前300メートルまで先頭で突っ込んできて、
そのまま自分が勝てるかのような勢いなのですが、
最後に、ヒラリとよけて、エースのカヴェンディッシュをパーフェクトに勝たせます。

レンショー

ところが、この2010年ツール・ド・フランス第11ステージのゴール前では、
ライバルチームが最後の最後に幅寄せして来た為に、
ブチ切れて、走りながらジャマした選手に、怒りの頭突を3発。
こうして、コースを守り、見事エースを勝たせました。

頭突きをしているのがレンショーで、
その後ろにいるのが、エースのカヴェンディッシュ。

ところが、この頭突きが違反行為となり、翌日にレンショー自身は失格に。

レンショー

協会は、頭突きしたレンショーが悪いと一方的に裁きましたが、
ファンの僕としては、相手がコースを塞いできたのも一因の気もしました。
上空からみると、エースはアシストであるレンショーの後ろにいるはずなのに、
幅寄せして来た影響か、相手チームの後ろにいます。
レースには進路妨害という判定もあるので、本人はこれを主張しましたが、
聞き入れられませんでした。

あくまでもこれは、僕がファンのレンショー側に立って書いています。
サッカーのワールドカップでも、
なんと差別用語を言われようと、頭突きしたジダンが悪いという事になりましたが、
ここでは、結果としてレンショーの退場で幕が下ろされています。

よく、格闘技以外のスポーツの事を、
「○○は格闘技だ!」みたいに言うけれど、
自転車のロードレースは、まさに、格闘技ですね。

以前、この動画は、You Tobeで人気を呼んでいたのですが、
ツールドフランスを仕切るフランスのスポーツメディア
Amaury Sport Organisation(ASO)からの依頼でことごとく削除されていて
今は観ることが出来なくなりました。

なので興味のある方は、DVDを探してみてください。

にしても、マニアックやなあ。
こういうのを語り合える男もなかなかいないのに、
女性にはどん引きされるでしょうね。
いたら、惚れる!

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